「実話に基づく、第一級のサスペンス・ドラマだ。」アルゴ 瀬戸口仁さんの映画レビュー(感想・評価)
実話に基づく、第一級のサスペンス・ドラマだ。
1981年のイランアメリカ大使館人質事件中に、カナダ大使館に退避した米国外交官6人を、ニセSF映画『アルゴ』をでっち上げ、ロケハンと偽って、イラン国外に救出する作戦を描いた、戦後現代史のサスペンス・ドラマ。
この作戦は「カナダの策謀」(Canadian Caper)と呼ばれる。本作は史実に比べ、カナダ側、特にテイラー大使の役割を軽視しているとの批判があった。とはいえ、カナダから依頼されたCIAが、実際の作戦遂行にあたっている。
事件当時の米国とイランの状況など、鑑賞前に背景知識があったほうが良いかも。テンポが良く、最後まで飽きずに見ることが出来るし、知性にあふれた野心的な作品だ。
実録ドラマらしく、刺激的で緊張感がある。奇抜だが命を懸けた救出作戦を、分かりやすい語り口ながら、実にリアルに描いた、第一級のサスペンス・ドラマだ。
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