「デンゼルワシントンの無駄使い」フライト ぱんだまるさんの映画レビュー(感想・評価)
デンゼルワシントンの無駄使い
映画のストーリー説明からサスペンス色濃い作品で謎解きも絡んでくるか?と思っていました。が、実際は依存症に焦点を当てた人間ドラマで良い意味で裏切られました。
依存症、怖いですね。アルコール依存症。これで人生が狂ってしまったひと、苦しんでいるひと、そういった方々の話は良く耳にしますよね。アルコール依存症でなくてもちょっと思い起こせば私たちはいろいろなものに依存してしまっているのではないでしょうか。それを思い出させてくれる、問題として認識するキッカケになる、という意味で良い作品ではあると思います。
ただ。単純にエンターテイメントとして見た場合、退屈です。また見ようとはならない映画。デンゼルワシントンの魅力・演技によってある程度画面の吸引力はありますが。
原因として他の方のレヴューでもありますが中弛みとどうしても感じさせてしまう部分、要するに話の内容とそれの調理の仕方に対して時間が長すぎます。同じ尺で観客の集中力をひっぱりたいのならもっと飛行機事故に関して謎と解明と人間関係のところで怪しさをプラスしてサスペンス色を強める必要があるかと思いますが、それをやってしまうと映画全体の印象が更にぼんやりしてしまうので、やはり単純に作品自体のシェイプアップが必要。せっかくデンゼルワシントン使ってるんだから依存症を描きたいのなら機長で飛行機事故とか絡ませずもっとシンプルなキャラクター設定と脚本にすれば良かったのに。勿体ない。変に色気を出すからこういう中途半端な作品になってしまう。
今作の人間関係もすべてはたんなる主人公の人物像の描写としてしか機能しておらず、登場時間の多かった薬物依存症の彼女もキャラクターとして表面的で魅力がなく、彼女なりの主人公像の掘り下げもできてないし、別にいらなかったんじゃないのかと。ストーリーにも大して影響しないし。これ削ってれば上映時間も短くなって、まだ作品のぼやけた印象は減ったのではないか。途中で出てきてすぐ退場するガン患者のほうがよっぽど魅力があった。