マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙のレビュー・感想・評価
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メリル・ストリープ
名優メリル・ストリープの渾身の演技を堪能する映画。 内容的には何か...
激変の時代を生きた女性首相の偉人ダイジェスト
第二次世界大戦終結間際から1990年の首相退任までのサッチャーの政治家生活を描いた伝記映画。夫に先立たれ認知症が世間に公表された頃を軸に、過去の主要な出来事を頻繁にインサートして、イギリス政界や当時の社会状況をダイジェストした記録もの。映画「リトルダンサー」にある国営化政策の撤廃にからむ労働組合との軋轢、IRAのテロに対する強硬姿勢、アルゼンチンと戦争したフォークランド紛争、最後は人頭税導入で保守党内部で孤立するところなど、一応歴史のなかのサッチャーの立場は理解できる。対して私生活は説明不足で、娘キャロルは何度か登場するも息子マークの成人した姿はなく、夫デニスとの婚約エピソードはあるが、幻覚に度々現れるほどの夫婦愛の核心は描かれていない。故にサッチャーを演じたメリル・ストリープのひとり舞台に終わる。20代はさすがに若い女優に任せ、中年から晩年までのサッチャーの妥協なき強靭な女性像を見事に演じて、実力をみせつける。この演技で三度目オスカー受賞の名誉を獲得する。ただ精巧なメーキャップが内面の表現を削ぐ晩年は個人的にあまり感心しなかった。「クレイマー・クレイマー」「ソフィーの選択」、「フランス軍中尉の女」の名演には及ばない。
伝統に凝り固まった男性組織の硬直化を打破する、女性政治家の必要性をより深く描いても良かったのではないか。副首相の辞任劇が生きたはず。
情報量は多いがドラマとしての面白さはない。
人としての強さを持った女性
【マーガレット・サッチャーとメリル・ストリープの生き方、魂がダブって見えた作品】
私の記憶では、首相就任後、強硬な政治姿勢を労働者階級から批判されていた記憶が微かにあり(私が覚えているのは当時ブリティッシュ・ロックを牽引していた「The Smiths」の強烈な批判コメントの数々)、良いイメージが無かったサッチャー首相だが、この映画を観て少し彼女の印象が変わった作品。
この映画は首相就任前の彼女の政治姿勢と、3度保守党党首として総選挙に勝利する過程や首相就任時の出来事の数々
1.支出削減制作
2.フォークランド紛争
3.人頭税の導入 ・・・・
そして、首相を退いてから認知症を患いながらも前向きに、高邁で強固な意思を持って生きた稀有な一人の女性の人生を描き出した秀作であった。
<2012年4月8日 劇場にて鑑賞>
女性
●言葉が行動に。行動が習慣に。
サッチャーについて、他に描くべきことはいくらでもあるのでは
総合55点 ( ストーリー:40点|キャスト:75点|演出:55点|ビジュアル:70点|音楽:70点 )
英国病と言われた大英帝国の落日と経済の停滞・ビッグバンといわれた経済の大改革・労働争議・IRAの反政府活動との戦い・フォークランド紛争に加えて、閉鎖社会英国における初の女性首相としての険しい道のり等、彼女にまつわる話題は事欠かない。たくさんの困難にも負けずに大きな改革と前進を成し遂げたサッチャー首相を描く作品なので、そのような政治家としての半生を政治の裏側まで描くのかと期待していた。
しかし、具体的な問題や歴史的な事柄が明確に出てくるのではなく、サッチャーという家庭人や個人としての細かなことや人柄に焦点があたっていたし、それも抽象的な演出が多くてわかり辛い。しかもそれは政治家を引退してからのことが中心になるし、時代が頻繁に前後するし、幻想と現実を行き来するのも分り辛さに拍車をかける。細切れで政治問題も出てくるが、時代の大きなうねりを作り上げた政治家としての活躍が大きく取り上げられることがなく、せっかくの有名政治家なのにただの一人の人物としての描き方に終始している。どんな問題が出てきて、それに対してどのような対策をとったのか、どんな目標をもってその達成のために何をしたのか、そのようなことが殆ど出てこない。選挙に落ちた、選挙に勝った、爆破事件があった、そんな歴史的事実を途中途中に放り込んでくるだけで、彼女がそれにどう動いていったかを省いている。
メリル・ストリープの演技は良かったし、全体の質感は悪くない。でも映画一本使って描くことが、鉄の女と言われた彼女にも家庭があって歳をとってからは幻想や痴呆に悩まされていました、だけでは明らかに物足りない。監督が女性だから家庭生活に目がいったのかもしれないが、この偉大な政治家を取り上げるのならば、他に描くことはいくらでもあっただろう。
面白いし勉強になった
悪くないかな
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