「晩年のシーン過多でどうにも」マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙 肉ネ~ムさんの映画レビュー(感想・評価)
晩年のシーン過多でどうにも
他のかたのレビューにもありましたがサッチャーさんのなにを描きたかったんでしょうか?自分にはよくわからなかったですね。
「鉄の女」とまで言われた人の老いてボケた姿でしょうか?と皮肉を言いたくなるほど晩年のシーンが多いです。冒頭とラストとせいぜい中盤に一回でよかったんじゃないでしょうか。ストーリー展開上もそれほど効果があったようには思えないどころか本編に没入できず逆効果に思えました。
肝心の過去の回想の内容のほうでも、あっという間に議員になり大臣になり党首になり首相になってしまいました。そのあとも英国病、労働党と労組、IRA、アルゼンチンとの闘いなどがさらりと過ぎていきます。
英米人のサッチャーさんへの思いいれはよくも悪くも日本人よりははるかに強く、このあっさりしたトーンにはなにかしら彼らなりの意味があるのかもしれませんが、映画という娯楽性を帯びた(というより娯楽そのもの)コンテンツとしては、もうちょっとテーマを絞ってドラマ性を持たせてほしかったと思わざるをえません。
ジェンダー(西欧初の女性リーダー)でもいいし、アタマの回転の速い変人女性の成り上がり物語でもいいし、「鉄の女」の光と影でもいいし、サッチャーさんを軸にした英国現代史(EC/EUとのバトルとか)でもいいし、おそらく一般家庭のそれとは違う家族関係でもいい。どれを選んでもサッチャーさんを知らない人が観てもそれなりに惹きこまれる映画にできたはず。そういえば子どもに先立たれているようなのですがその辺もなぜか深掘りなし。意味不明です。
なんだかサッチャーさんが気の毒になってしまいましたよ、晩年のヨレヨレシーンに尺を取りすぎてて。
内容とは直接関係ありませんが、ポンドを捨てなかったのは大正解でした。
フォークランド紛争は女性首相だったからこそアルゼンチンが舐めたことにより勃発し女性首相だったからこそ舐められまいとして一歩もひかず実戦に到ったのかもしれないですね。だとすると舐められないことが戦争を回避する第一歩だと感じます。
当時イギリスはなんでアルゼンチンの沿岸にある小島にこだわって戦争してるんだとうと子供ごころに思った記憶があります。正しい対応だったのかどうか自分には判断つきませんが、当時の日本だったらまずなにもしてないだろうなと思います。