最強のふたりのレビュー・感想・評価
全445件中、421~440件目を表示
短い!
エンドロールがはじまった時、「え?もう終わりなの?」と思ってしまったほど、中身の濃い作品でした。
実話系にありがちな中だるみ的部分もなく、最初から最後まで文句なしです。
2時間の映画ですが、4時間だって見たい。
お金持ちの障害者フィリップと、貧乏な介護人ドリスという本作。
暗くなりがちな話なのに、底抜けに明るい。
無理に泣かせようというシーンがなく、笑いも寒くなく、よく考えると深い。
初対面時からフィリップと対等な物言いをするドリス。
途中、フィリップがドリスに感化されていく流れは「いいのか?」と思ってしまったりもするが、ドリスの方も影響を受け、お互いがお互いを”一人の人間”として接する。
是非多くの人と感動を分かち合いたいと思える本作ですが、フランス映画でメジャー系の国内配給ではなく、上映館数が少ないのが非常に残念です。
最高でした。
まさに一級の芸術作品
まさに一級の芸術作品に出会えたことが嬉しい。フランス映画界で化学反応が起きているのかは定かでないが何か動いた気がします。無声映画でモノトーンの「アーティスト」も素晴らしかったがあれほど極端にそぎ落とさずとも現代の映画づくりで太刀打ちできることを再確認させてくれた作品。
映画のエッセンス、展開、描写、背景、無駄な説明的セリフ、シーンなど微塵もない。それでいて心に響くものが伝わってくる。
映画の力とはこういうことを指すのだろう。スクリーンの中で進んでいくドラマと観る人の微妙な距離感、心理的関係を入りすぎず、離れすぎず、計算と感性で見事に創りあげている。
貧しい母親が窓拭きの仕事をしているところを車から見上げているシーン、母親との再会のシーンもセリフはない、重そうな荷物をさりっげなく持ってあげ、並んで歩いていくシーンだけですべてが伝わる。主人公同志の再会のシーンも庭のテラスの窓越しで撮る、エピローグもレストランの窓越しから文通相手との出会いをさりげなく見せる。劇中の絵画や音楽での対峙も価値観や人生観をセリフ以上に饒舌に表現してみせてくれる。冒頭の暴力的スピード、フォルテシモから始まり、また返ってくる、ソナタ形式のような構成もしびれる。
社会派のドラマであることに異論はないのだが、毎日流れてくる暗いニュースで見知っていることはなぞらない、経済的格差、身体的格差云々ではなく、人の本質的なものへの問いかけ、何かでくじけそうな人への暖かく慎み深いが力強いメッセージ、贈り物と受け取りました。ありがとうございました。
人は皆、希望に向かって生きようと日々より良い選択を考えている
まずファーストシーンの入り方がとても観客の好奇心を誘う作り方だと私は思って期待で、ワクワクドキドキした!「一体この二人は、この先どう関わりを持って行くのだろうか?」と心を掴むのが思わず巧い!!と叫びたくなる導入部から始まりカメラワークのセンスの良さで物語へとすんなり入り込んでしまった。
日頃フランス映画をあまり観ていない私は、このフィリップを演じるフランソワの事も、ドリス役のオマールの事も記憶の中に残っていないと言う事でも、すんなりと何の抵抗も無く、自然に物語の中へと引き込まれて観る事が出来た大きな要因で良かったのだ。
闘病+新しい友情=新たな希望というパターンの映画で、直ぐに思い出されるのが、J・ニコルソンとM・フリーマンの「最高の人生の見つけ方」を思い出したのだが、あの映画の場合は主演の二人の過去の作品の数々が重なり中々素直に物語に入れずに観た記憶があったのだが、そんな意味でも、本作は新鮮に観る事が出来たのは嬉しかった。
その一方で、私の個人的な事なのだが、私の職業は障害者の介護をしている関係で、フィリップとドリスの間に芽生える信頼関係と言うか、友情とは初めのきっかけは仕事を軸にして出来た関係ではあるけれども、その関係はやがて仕事を超越した人と人との繋がりへと発展して行き、二人を結び付ける間柄が二人の生い立ちの違いなどの総てを超越して、家族の物語を観ている様な錯覚すら覚える、その素晴らしい関係が描がかれている事が、誠に気持ち良く、そしてまた羨ましくも思えたのだった!
チョコレートボールをドリスは食べながら、「健常者用のお菓子」とブラックジョークを飛ばしながら、フィリップの口へ中々チョコを入れてあげようとしない所など、本当にハラハラドキドキしてしまった!
私も仕事の現場でクライアントに対して、日頃から身体障害者に対する自分の気持ちは自分では特別な憐れみも同情も差別も持っていないつもりではいるのだが、果たして相手は自分の事をどの様に見ていてくれているのか正直気になる事件に最近遭遇したのだ。
数年来、介護を通して付き合っていると家族にも理解されないと言う悩みを相談される事も決して少なく無いのだが、その話しを聞いていると、身体が一部分は本人の思う様にならず他人の世話を必要とする事が有るのだが、決して人間的な価値や能力が劣ると言う事など全く無く、喜怒哀楽の気持ちも誰とも変わらないのだとしみじみ思うのだ。それ故、最近クライアントから、相談を受けた私は、こちらも相談を受けた時は、個人として相手の立場にとり最善と思われる事を話したのだが、私の意見に対してクライアントは直接反論はせずにブログの中で、「今日ヘルパーの一言に傷ついた」と書き込みをされたのだ。この時は本当にこの仕事の難しさを感じた。普通は相手の意見をどんな事があっても否定せずに、只只肯定する事が介護の基本なのだが、下手な同情や気休めを言っても相手が余計に先々傷つくと考えた私は、仕事の顔を離れて個人的な気持ちで話したが理解されなかった。この映画は実話を基に制作されていると言うだけに、そこに描かれているエピソードの数々は、真実の持つ力強さが有ったと思う。只それだから余計に冷静には観られずに自分と重ね合わせて観てしまった作品だが、秀作で有る事は言うまでも無い事実だ!
『良い映画』
最強のBGM。
あまりの反響の大きさに、どのくらい最強な映画なのかと期待した。
確かにいい作品だった。幸せな気分で劇場をあとにできる。
ただ、今作のどこがそんなに「最強」なのかはハッキリしなかった。
強いというよりはサラッとしていて爽やかなイメージが残る。
この二人が結んだ絆は確かに「最強」、他の価値観や既成概念を
覆し、思うままありのままを受けとめる重要性を淡々と説いている。
障害者が健常者とは違う(気遣いだらけの)施しを受け、辟易として
いるところへ、そんな気遣いはなんのその、自分のことで精一杯の
男が職を求めてやってくる。この時点で二人の貧富の差は明らか。
金がすべて。の男と、金などくれてやる。という男の、一言一言が
ありとあらゆるシーンで交差し、ぶつかり合っているのに心地良い。
実はお互いに、大切なものを取り戻せないでいる。
いつの頃からか変わってしまった自分。不幸を何らかのせいにして、
どうせムダだからと投げやりになっている自分。とはいえ、何かと
他人のことは気にかかって、世話を焼いてしまう自分。今の自分に
必要なものは何なのか。本当の自分は、何から逃げているんだろう。
あの頃の自分を取り戻して、大切な相手に素直に接してみたい。
そんな切ない希望が、この一見愉快な二人から痛いほど伝わってくる。
事故で頸椎を損傷、大好きな妻をも失い、しかし今では文通相手に
一筋の幸福感を味わっている大富豪、どこが不幸だと思うほど金銭的
には恵まれているものの、すでに人生への挑戦意欲を失ってしまった。
失業保険を延ばすためだけの目的で、屋敷を訪れた黒人青年。
誰がこんな奴の介護など。と鼻持ちならない彼に対し誠意の伝え方を
訥々と説いていく大富豪の上品な面持ちと使用人達のキャラが面白い。
絶対的に価値観相違の相手とは(何があろうと)巧くいかないものだが、
この二人の価値観は驚くほど似ている。ひねくれた態度は表向きで、
実は内向的で思慮深く優しい性格なのだ。コイツなら分かってくれると、
そういう直感めいたものって、初対面でも感じる時は感じられるもの。
どんなに趣味が違おうと、根柢のところで合う人とは、なぜか通じ合う。
そんなこんなで色々な出来事をかわしていく二人。
このままずっと頼り合うのかと思いきや、意外な別れがやがて訪れる。
確かに自分の人生は自分で切り拓いていかねばならない。
どんなに通じ合う相手でも、一生涯自分に寄り添えるとは限らないのだ。
面白いのは、離れてみてその大切さに気付いてしまうジレンマとの闘い。
最後に二人が選んだ挑戦とは…?果たして。
号泣するような場面もないし、山あり谷ありというほどの曲折も経ない。
ケラケラ、クスクス、と笑っているうちにどんどん話は進み、最後には
ジーンとさせて、またサラッと終わる。
いかにもフランス的で、オシャレで軽快、でも中には必要なエッセンスが
しっかり詰まっている、そんなところが「最強」の映画なのかもしれない。
(私にとってはアースのセプテンバーが最強のBGMだった気がする^^;)
人生が素晴らしいんじゃない。ふたりの関係性が素晴らしいんだ。
自分、この手の映画って観賞前はちょっと身構えちゃうタイプです。
つか、評判聞かなきゃまず観ませんね。
だってねぇ。どうしたってねぇ。テーマ的に重くなりがちでしょ?
「車椅子の男性と介護人の友情」てトコからしてもう。
苦悩と絶望を滲ませながら物語は最後熱い涙を誘う、みたいな。それか真逆で本当絶望のうちに終わっちゃう、みたいな。
ま自分的最大公約数な考え方ですが。
んで、この『最強のふたり』ですね。
スラム育ちの介護人ドリスと、元健常者で車椅子の大富豪フィリップが主役という。
この映画は一体どうなのか?って話ですが。
いやぁ~、こりゃ全く裏をかかれました!
イイ!凄くイイです!
何がイイって全く泣かせないのがイイんだな!
『お涙頂戴』じゃないんだもの!
ずっと笑いっぱなし!
介護人ドリス君がもう最高!飽くまで健常者視点でありながら障害者に対して一切の色眼鏡持たないし一切の憐れみを見せない!そんな感覚すら持ち合わせてない!
フィリップが「そのチョコ私にもくれ」と言ったら、それに対するドリス君の返しは「これは健常者用だ!障害者にはあげない!ウケた?冗談だよ!ほら!」てw
これ普通アウトでしょ。
でも全然アウトじゃないんだなあ。そこに差別意識が全然ないから。
タブーをタブーにしてないし、オブラートにすら包まない。
しかも、普通ならドン底なこの現状を笑いに変えてる!
あ~最高!
感動の涙なんていらない!笑っとけ笑っとけ!
うん。
『お涙頂戴』路線になってたらね、それはそれでとてもイイお話になってたと思うし、それはそれでアリでしょう。
ただ、セオリー通りにその路線行ってたら「あ~とてもイイおはなしだった〜」で終わってたと思うんですよ。
そうしない話の運び方が本当に素晴らしかった。
そしてね、これは人生讃歌じゃないです。
生きる素晴らしさを滔々と説くってんじゃくて。
んー何て言えばいいのかな。俺らはこうしてるだけ!こうして楽しんでるだけ!みたいな。
ふたりの讃歌っていうか。
分かりますかねw分からないですよねwwまいっかwww
いやいや、本当ねタイトル通りに、最強のふたりでした。
笑いだけで感動させる!
あざとくない
今年のベスト映画
まず、ハリウッド作品と違って、
どこで終わるのか予測不可能なところが楽しい。
なつかし〜ヒット曲もうれしい!
でも、
内容はすごい!医療現場には衝撃的かも。
本物のドリスは、エンドロールに登場するけど、黒人じゃない。
ここだけ???
あとは、すごいなあ。このドリスくん。
この役者がすごいのかも。
スターがでる映画は、もう飽きた〜って思っている人が回りに多い!
スターが演技が上手いとは限らないし、どうしても代表作とだぶってしまう。
その点、このドリス役は新鮮だし、パワプル!
いいなあ〜。こういう生き方。
「風俗ファイルを作ろうぜ」というセリフがいいね!
人生一発逆転をみることができる!映画です!
だれでもドリスになることが出来るんじゃないかな。
夢と希望がギュッと詰まった、宝石みたいな作品です!
良作
この映画はトレーラを観てから気になっていた。
実話を基に作成されている映画は大抵面白い。
この作品も例に漏れず、面白い映画だった。
ストーリが面白くて映画化というよりは、
実話という点、裕福な障害者と育ちの悪い健常者の友情という
キャスティングの面白さで映画になったのだと思うので、
ストーリ自体は特に波風なく淡々と進む。
ストーリは淡々と進むが、消して退屈なわけでなく、
友情話がとても心地よいテンポで進んでいく。
上質のフランス映画を観させてもらった。
特に劇場で観る必要はないと思うが、
今年TOP5に入る良作だと思うので、DVDになったら観たほうが良いと思う。
人に進められる映画だ。
観てよかった
実は社会的な弱者と強者の逆転がウケた?
とにかく面白い。久しぶりに笑った。
お金は自由になるが身体が不自由な中年男と、身体は動くが移民の出で貧困な黒人青年。そんなまるで違う環境の二人が、いつしか心の交流を持つようになる。そんな話だぐらいのことは観る前から察しがつく。予告篇から作風も読める。ところが、そんな詮索など微塵もなく吹き飛ばされるのがこの作品。ひとつひとつのエピソードが際立っていて、しかも主人公ふたりの人生観に直結し、周りの人間も巻き込んで笑いの渦をつくる。
本音でぶつかることがイヤミにならず、互いのハンディキャップを笑い飛ばす原動力になっているのがいい。これは主役ふたりの上手さだ。
とくに黒人青年・ドリスの歯に衣着せぬ物言いが気持ちいい。
フィリップの教養や趣味を笑い飛ばし、詩のような手紙に「そんな文章を喜ぶ女がいるのか?」と毒づく。
粗野だが迷いや落ち込みを笑いに変え、怒るときはマジに怒るストレートな生き方をするドリスの方が、金持ちのフィリップよりも肩入れしやすい。
フィリップにもう少し感情移入できたなら泣ける1本にもなったのだろうが、残念ながら自分とは環境が違いすぎる。ひとのいい紳士だが、この作品ではイジラレ役だ。いつのまにかピアスまでしている。泣けなくても笑いだけでじゅうぶん元を取る。
フランスでこの作品がヒットしたのは、案外に社会的な弱者と強者が精神的に逆転する小気味よさが大衆にウケたのではないだろうか。王政をひっくり返したお国柄だ。
人間ドラマにアクションを自然に織り混んだ脚本、話に引き込むカメラワークと無駄なカットがない編集、すべてが洗練されている。
ドリスがちょっかいを出す秘書マガリと、ドリスの優しさを見抜く年配の助手・イヴォンヌが、作品に幸せを含ませている。
最強のふたり
火と水が、木と土に。
「最強のふたり」は、本当に最強だった。
これが、実話を基にしているのだから、嬉し涙、感激の涙もも出るわ。
原題は、「アンタッチャブル」。
ケビン・コスナ―の映画を思い出すけれど、ちょっとニュアンスが違う。
調べてみた。
≪アンタッチャブル≫とは、
1、批判の余地のない
2、比類ない
3、触れることのできない
という意味。
また、名詞では
インドの不可触賤民のこと。
不可触賤民とは、奴隷のまだ下の人の事。
上流階級の人は、手を触れても汚れると言って呼んだ蔑称のこと。
大富豪(これが、とんでもなく大富豪なんだな。すごいお屋敷の見学に行きたいくらい)のフィリップと職もなく毎日生きていくだけでも大変なドリス。
私など不完全もいい所の人間だから、友人や知人、はたまた見知らぬ他人様の良き所を、吸いこんじゃえ~と思っている。
それは、大富豪でも同じだった。良き人に出会えたなら。
事故で顔と首しか動かないフィリップは、自分の介護者に、気まぐれでスラム街の青年ドリスを選んだ。
ドリスの自由奔放な言動に振り回され、いつしか人生の楽しみを見出す。
フィリップは、気まぐれとはいえ、差別しなかったし、ドリスは、貧しくてもユーモアを持っていた。
そして二人は、人間にとって大切な思いやりを持っていた。
二人にとって、お互いは、「批判の余地のない」「比類なき」友人となった。
二人の友情には、他人は「触れることのできない」物を感じた。
最初は、≪火と水≫に見えた二人も、いつしか≪木と土≫に変わったようだ。
いえ、二人が、それぞれ育てたのかもね。
それと、女性陣。
イヴォンヌとマガリ―の二人。
この二人が、実は、フィリップとドリスの二人を、うまく成長させていたのかもしれない。
二人は、欧州の経済問題や現実を背景に、ユーモアや思いやりが、人間それぞれが持つ困難を、笑いに変え、前向きな気持ちにしてくれた。
最後に、二人のモデルとなった人物の紹介が少しだけある。
見逃さないで。
ヒューマンでコミカルないい映画
ドリスはいいヤツだ
原題のIntouchables は触れ合わない2つの世界と言う意味だそうだ。それを聞いて納得した。
バリに住む大富豪のフィリップと、郊外の団地に住む貧困層のドリスは、その格差から触れ合うことのない2人のはずだった…。しかしドリスがフィリップの住み込み介護ヘルパーに採用されたことで2人の生活は変わっていくのだ。
ドリスはフィリップにマッサージをし、抱き抱えて車に乗せる。まさに触れ合っている。
生への意欲を無くしていたフィリップがドリスといるときだけはホントに楽しそうに笑っている 。そのことに気がついてからはもう泣ける泣ける。ドリスはいいヤツだ。
フィリップとドリス、互いに背負った人生も、育ちも生活も趣味も、まるっきり違う。でも互いに無いものを持ち合わせている。
そしてラストシーンでもドリスはフィリップが自ら触れることを止めてしまった"あること"を取り戻すのだ。
笑えて、泣けて、心が温かくなる本作は、なんか人間っていいな…そう思える作品でした。
贈られなかった写真
正直を言うと。。ちょっと、予定調和な印象はありました。
富豪の男性がすりかえた、車椅子生活になる前の写真。。
写真をすりかえた事実に気付き、富豪の男性の気持ちに動こうとした、
そんな青年の、エネルギー☆=に心癒されます。
繰り返されるのは、お互いの再生、
そして、2人の関係から始まった、日々の輝きです♪
みんな それぞれ、複雑な人間関係の中で。。
いつの時代になっても、人々が心の奥深く求めるものは、
本当に自分のことを支えてくれる誰かの存在なのではないでしょうか?
最後、車椅子の富豪の男性と、新しいパートナーが
歩み寄ってゆくシーンに、すべての救いがありました。
自分も、そんな存在になれたらいいな 。。
そんなふうに感じた 作品でした 0^-^0
邦題より原題がしっくり深い
触れることが出来ない
触れてはならない
社会ののけ者
扱いが厄介なもの
ふたりに限らず登場人物みんなUNTOUCHABLEなものを抱えています。
オールドミスや同性愛、養子に離縁、失業・貧困・前科持ち、人種差別、そして障害。
そして観覧者自身のUNTOUCHABLEなものが思い当たる。
自分ではどうしようもないこと、悪いこと、恥ずかしいこと、上っ面だけを取り繕った偏見、踏み込んで欲しくない領域。
抱えながら生きているからこそ、笑いや寄り添う気持ちの尊さを重さや温かさを伴って実感させてくれる映画。
冒頭の導入シーンが後半再び登場する時に仕草や視線の意味合いが深まり実感に熱が帯びてくる。
フィリップの蓄えているヒゲ、触れさせず壁を作って過ごしてきた時間。
そして富豪フィリップの所有する車は、ロールスロイスでもなくメルセデスでもなくポルシェでもなく官能的なフェラーリのセダンであるマセラティ。フランス映画なのにフランス車でもない。
マセラティは素直に直球勝負の心地良さ、単なる高級車と上っ面だけ理解すると吹っ掛けられた絵画を掴まされる。マセラティは実用的ではないと解釈してしまうと白衣を来た人に荷台に乗せられる。みんなそれぞれ頑張っているのに悪意があるわけでもないのにUNTOUCHBLEなものや関係を増やしてしまう。身につまされる人間の業。
絵画、オペラ、音楽、ダンス、そして車と、すべて人間そのものを表現する手法。文化背景の深さ、すなわち人間理解の深さがにじみ出てくる。あのオペラの演目、どのような位置づけなのだろうか、ドイツ語に対するフランス人の解釈を知りたい。もっと造詣が深ければなぁと思い知らされる場面が多数。
そんな私でも、登場人物も、選曲した作成側も、アースウィンド&ファイアには心が震える。UNTOUCHABLEの壁を乗り越える瞬間が分かち合える。素晴らしい演出。
決してコメディ映画ではない。真剣・素直・率直だと人間は滑稽なものであることを気づかせてくれる映画、だから自然と劇場内が笑いに包まれる。真剣であるほど臆病になり、素直でいる難しさ、率直な言動の場違い。人間らしいから可笑しく笑ってしまう。UNTOCHABLEを抱えているからこそ、こみ上げてくる抑えられない笑い。
また、泣いてスッキリする感動映画でもない。ハッキリ決着リセットされるわけでもないので。
黒人ドリスが負のサイクルから抜け出すキッカケは、思いつきと思い込みで描いた絵画。一歩目はやっぱり自力でチャレンジする気持ちと行動。次に協力者の順番なんですよね。
ドリスが駐車違反者を諭す諭し方の変化に希望があり、相性の良さを超える絆までも築けた召使いを手放せる矜持を持ったフィリップに尊厳がある。
生き様に感動し、余韻が続く…。
ハリウッドリメイクの謳い文句が付いているが、ドリスの絵を投機買いした場面とダブる。この作品はこのままでいいんじゃないのかな?
全445件中、421~440件目を表示