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映画レビュー

贅沢極まりない戦争ごっこ

2024年12月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 まだまだ冷戦真っただ中の1978年、凡そ10年後にベルリンの壁が崩れるなんて予想もしなかった頃、西ドイツのバーベンハウゼンで行われたNATO多国籍軍の軍事演習を記録したドキュメンタリーです。

 演習の冒頭、兵士たちを前にして司令官が

 「東側は例によってこの演習を挑発と宣伝するだろうがこれは挑発ではない」

と語ります。いやいや、そんな筈はないでしょう。東独との国境がそれほど遠くはなく、軍事演習にさほど適していると思えぬ土地でわざわざこんな大規模なデモンストレーションを行うのです。これが挑発でなくて何でしょう。

 その思いは、実際の演習を見ると一層強まります。「えっ、これが軍事演習なの?」と驚きました。軍は二手に分かれて互いに作戦を練りながら模擬的な野戦を行います。だから銃の実弾は一切撃ちません。戦車からの砲撃もなく、ただ、砲塔の上に取り付けた花火みたいな火薬をバーンと爆発させるだけです。それを監督官の様な人が見ていて敵戦車に命中なんて判断している様でした。そうして敵と味方の破損・兵士の戦死数を見込んでいるのです。しかも、参加兵にさほど真剣みは感じられませんし、地元の子供達はすぐ傍に集まって来て楽しそうに見物しています。

 悪い言い方をすれば「非常に贅沢な戦争ごっこ」です。現代のゲーム好きな人ならば是非参加してみたいのではないでしょうか。

 恐らくこの期間だけで数億・数十億円のお金が消えてしまったでしょう。そんな無駄な事が国際政治のリアルだったのです。

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