法と秩序
1969年製作/81分/アメリカ
原題または英題:Law and Order
スタッフ・キャスト
- 監督
- フレデリック・ワイズマン
1969年製作/81分/アメリカ
原題または英題:Law and Order
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ミズリー州・カンザスシティで当時最も犯罪率の高かったアドミラル・プールヴァ―ル地区警察の日常を追った記録です。土地柄なのでしょう、警官は殆どが白人であり、犯罪やトラブルを起こすのは黒人が多いと言う印象でした。だから僕はてっきり、「現在のBLM(Black Lives Matter)に通じる、『白人警官が権力を笠に着ての黒人への横暴』を取り上げたドキュメンタリー」なのだろうと思っていました。確かに、そうした場面もないではなかったのですが、視線はもっとフラットでした。
とにかく警官は大変なのです。家主と店子の争いに巻き込まれ、泥棒の被害者の事情聴取を行い、訳の分からぬ事を言う酔っぱらいに閉口し、タクシー料金を巡るクレームを仲裁し、迷子の子をパトカーに乗せていたら傷害事件の無線連絡が入り、怒りに震える犯罪被害者の興奮も抑えねばなりません。一方では、月給が安過ぎると仲間内でボヤキ合います。と思えば、ライフルを持って現場に踏み込むといった緊迫の場面もありました。こんなグジャグジャな事が毎日起きていたら、そりゃ疲弊して苛立ったりもするよなと妙に同情してしまいました。だからと言って、権力の濫用があってよいという訳ではないのですが。
映画館から帰宅後、改めてフライヤーを読み返している。
’ミズーリ州カンザス・シティの、最も犯罪率の高いアドミラル・プールヴァール管轄区にある警察の様々な活動を追っている'
…成る程、えらく殺伐、というか、殺気立っているというか、そんな感じがしたのはそういうことか。
警官達がヤケに高圧的であったけれども、対する者達も、ヒトクセ以上ある者ばかり。
建前を取っ払った、彼等の丁々発止はストレートに相手を突き刺すし、それを観ている観客には滑稽であったり。
優しさだけでは生きていけない。さりとて力だけでもなぁ。
矛盾に満ちた人間という生き物を観察できる作品だと思いました。