エンディングノート

劇場公開日:

エンディングノート

解説

ガンの宣告を受けた一家の父が自らの人生を総括し、家族へあてた“エンディングノート”を残すまでの姿を軽妙なタッチでつづったドキュメンタリー。2009年、何事も「段取りが命」をモットーに高度経済成長期を支えてきた熱血営業マンの砂田知昭は、67歳で会社を退職。第二の人生を歩み始める。しかし、その矢先に重度の胃ガンが発見され、自身に「自らの死の段取り」を課すことになる。監督は知昭の娘で、是枝裕和監督らの映画制作現場に従事してきた砂田麻美。

2011年製作/89分/G/日本
配給:ビターズ・エンド
劇場公開日:2011年10月1日

スタッフ・キャスト

監督
製作
是枝裕和
プロデューサー
是枝裕和
撮影
砂田麻美
編集
砂田麻美
音楽
ハナレグミ
主題歌
ハナレグミ
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(C)2011「エンディングノート」製作委員会

映画レビュー

4.0砂田麻美の凄味に嗚咽を忘れる

2022年3月31日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会、映画館

こんなものを見せられて、平常心を保っていられるはずがない。初見では、嗚咽を漏らした。だが、鑑賞回数を増やしていくごとに、自らの父親が旅立つまでをカメラにおさめた砂田麻美の明確な意志というものに凄味を感じ、嗚咽を漏らすよりも、彼女の仕事ぶりを細かく検証し、感嘆…を繰り返した。ただただ、砂田親子に喝采をおくりたい。

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大塚史貴

5.0父親の最期を実の娘が克明に映像で綴ったドキュメンタリー

2023年4月5日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

末期がんを宣告された父親の終焉までの足跡を実の娘が克明に映像で綴ったドキュメンタリー。

以前、ある方が「がんはいい死に方だ。逝く方も遺される方も準備ができる」と言っていたのを思い出す。この言葉通り、本作ではがんが主人公の身体を徐々に蝕みつつも、家族と一緒の生活を送り、落涙や放心を繰り返しながら、双方が別れの準備をしていく様がつとめて朗らかに記録されている。美しくも切ない家族の物語。

本作のように、遺される者の悲哀や落胆だけでなく、逝く者の死への葛藤と受容も描かれている作品は珍しいのではないか。ハナレグミの「天国さん」がたまらなくいい。パートナーや家族、自分の両親と観て欲しい、素晴らしい映画。

強いて難癖をつければ、まさに死の際の演出とナレーションの2点。臨終の場面、「表現者」と「実の娘」の間で揺れ動く気持ちは分からないではないが、末期がんの父親に被写体となる覚悟を決めさせたのなら、監督本人も最後まで加虐的なドキュメンタリストとしての覚悟を決めて欲しかった。またナレーションは監督が担当しているが、声がアニメ声すぎる。予告編を読んでいるプロの男性のほうが良かったのではと思う。

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えすけん

0.5うらやましい!差額ベッド代が出せるお金があって、それ相当の医療が受けたいね。

2023年3月16日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD
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When I am 75♥️

4.5【高度経済成長期を担った敏腕営業マンが、ステージ4の癌を告知され、終末を迎える姿勢に頭を深く垂れたドキュメンタリー作品。家族を愛して大切にしていたからこそ、あの終末を迎えられたと思った作品でもある。】

2022年12月28日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

幸せ

ー 癌の末期の方のドキュメンタリー作品という事で、重いトーンかと思いきや、ステージ4の癌を宣告された、故、砂田さんの姿を娘さんの是枝監督の当時助手であった砂田麻美監督自身が飄々としたトーンでナレーションを担当し、父の死に向かい会っている姿が印象的なドキュメンタリー作品である。-

◆感想

・映画の対象となった砂田知昭さんが、バリバリの営業マンで、役員まで上り詰め、退職を迎える姿から物語は始まる。
ー 休日もなく、接待ゴルフをし、会社に貢献する姿。高度経済成長は、砂田さんの様な方々に寄って成し遂げられたのだなあ、と思う。そして、定年退職の日に皆に送られる姿。
  だが、御夫人とは土日も厭わず働いてきた結果の溝が出来ている・・。-

■だが、砂田知昭さんが、ステージ4の癌告知をされてからの、自らの終末に向かっての精緻な段取りをする姿は、心に響く。
ー この方が、周囲になるべく迷惑を掛けずに終末を迎える過程を、自ら”to do 1"から精緻に計画して行く姿。
  自分の事だけではなく、周囲の事も考えた用意周到な計画。そこには、砂田さんの人間性が見て取れる。自分の葬儀を”シンプルに、コストを掛けずに”行う事を考える姿勢。ナカナカ出来ない事ではないであろうか。
  砂田さんがサラリーマンとして、役員まで上り詰めたことが良く分かるし、人柄も伺える。
  宗教も仏教から変えている。ここまで、遺される妻や、子供たちの事を考える事が出来る人は、稀ではないだろうか・・。-

・更に驚くのは、砂田さんが、身体が病に侵されて行く中でも、母や妻と共に伊勢旅行をしたり、ギリギリまで生の喜びを享受している姿である。
ー 医者も驚いている。-

・だが、年を明ける事が難しいと医者に告げられた時に、妻が涙ながらにアメリカに居た息子に連絡を取るシーン。
ー 砂田さんの息子さんが、急遽、孫を連れ日本に戻って来る。そして、彼は父親譲りの聡明さで、総てを仕切って行く。勿論、砂田さんが書いていたエンディングノートが元になってはいるのだが。
  砂田さんご夫婦が、キチンと子供を育てていた事が、良く分かる。-

■”to do 10"のご夫婦だけの会話のシーンは可なり沁みる。涙がボロボロ出る。
  妻からの感謝の言葉・・。夫からの感謝の言葉。

<今作は、日本の高度経済成長期を担った男の、見事なる生の終活を描いたドキュメンタリー作品である。
 故、砂田さんの妻や家族を想っての、終活プランを実行していく様。
 それを支える息子さんを主にした、家族の姿。
 砂田さんが、激烈な仕事をする中で、如何に家族を愛して、大切にしていたからこそ、あの終末期の迎えられたのだろうと思ったドキュメンタリー作品である。>

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NOBU