劇場公開日 2011年7月23日

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モンスターズ 地球外生命体 : 特集

2011年7月20日更新

ワーナー・ブラザースとレジェンダリー・ピクチャーズによる新ハリウッド版「ゴジラ」の監督に大抜擢されたギャレス・エドワーズ監督が、総製作費わずか1万5000ドル(約120万円)で作り上げた怪獣SF「モンスターズ 地球外生命体」(7月23日より公開)。昨年のカンヌ国際映画祭で上映され、高い評価を受けた話題作の見どころとは?

クエンティン・タランティーノ、ピーター・ジャクソン、リドリー・スコットらが絶賛!
低予算なのに“超A級”のモンスター・パニック・ムービー!

総製作費わずか1万5000ドルの低予算SFながら、カンヌ国際映画祭で大絶賛!
総製作費わずか1万5000ドルの低予算SFながら、カンヌ国際映画祭で大絶賛!

■観る観客を選ばない独創的なアイデアとセンスが認められ
 新しいハリウッド版「ゴジラ」の監督に大抜擢

低予算を逆手に取った独創的な世界観は必見
低予算を逆手に取った独創的な世界観は必見

ここ数年、日本では製作費がかさむ怪獣映画があまり作られなくなってしまった。日本はかつて、ゴジラをはじめとする巨大怪獣映画のお家芸でもあったのに……。だが海外では、POV(主観映像)のみで構成した巨大怪獣もの「クローバーフィールド HAKAISHA」やエイリアンの物量大侵略に怪獣も登場した「スカイライン 征服」、スティーブン・スピルバーグ×J・J・エイブラムスの宇宙怪物系の「SUPER 8 スーパーエイト」等、現在も盛んに作られ話題になっている。異色の怪獣映画「モンスターズ 地球外生命体」もその1本といえるが、低予算を逆手にとった独創的で秀逸なアイデアで、群を抜く完成度を誇る。しかも、怪獣映画が即、男性向け映画という概念をも打ち破り、ほのかな愛をからめたロードムービー風の雰囲気で全編を貫き、女性にも受け入れられる世界観を構築した。クエンティン・タランティーノピーター・ジャクソンリドリー・スコットら、名だたる映画作家たちがこぞってベタ誉めしたのもうなずけよう。

だからこそ、最新アメリカ版「ゴジラ」の監督に、「モンスターズ」の実績のみでギャレス・エドワーズが抜擢されたのだろう。ゴジラほどのとてつもないキャラクターを取り扱うには、アグレッシブな考え方と柔軟性のある若い才能が必要なのかもしれない。


■撮影スタッフ5人。主演俳優2人以外はすべてエキストラ
 映画は、“アイデア”と“情熱”がなければ作ってはいけない

男女2人によるロードムービー風の雰囲気 主演の2人は実生活でもカップルとか
男女2人によるロードムービー風の雰囲気 主演の2人は実生活でもカップルとか

ギャレス・エドワーズは、イギリスで主にTV作品のVFXの仕事に携わってきたが、映画監督にずっと憧れていた。しかし、日々の仕事をこなしているだけでは、夢は夢のままで終わってしまう。そこで一念発起……監督・脚本・撮影・美術・特殊効果等を自ら兼任し、超破格の製作費で作ったのが長編映画監督デビュー作となる本作だった。映画製作にデジタル技術が導入されてからは、撮影や編集のコストが大幅に削減され、個人資本でもやり方次第では映画製作が夢ではなくなった時代を迎えたのだ。作品の出来さえよければ、商品価値が認められ、世界にはばたける可能性もあることを実証して見せた。

5人のスタッフと2人の主演俳優のみで、少々危険なメキシコ・ロケを敢行し、主役2人以外のエキストラはすべて現地調達だという。ゲリラ撮影はもちろん、通りがかりの人たちまでも強引に出演させ、ポストプロダクションは自宅の地下室で数カ月を費やして完成させた。仕上がった作品はシンプルな物語だが、メキシコの生々しい空気感がストレートに伝わってくるし、安っぽさを感じさせないカメラワークや映像設計にも感心する。そして、なによりも映画作りが“情熱”と“アイデア”が勝負であることを実感させてくれるのだ。


■モンスターたちが繁殖する“危険地帯”で、多くの人々が暮らしている
 そして今、私たちの目の前にも、モンスターたちが現れる……

廃墟と化した風景も生々しい モンスターたちが繁殖する“危険地帯”
廃墟と化した風景も生々しい モンスターたちが繁殖する“危険地帯”

物語のSF設定がまず面白い。09年に宇宙探査機が大気圏突入時にメキシコ上空で爆発し、その残骸がメキシコに降り注いだ。以後、メキシコに未知の生命体が繁殖し、国土の半分が危険地帯“INFECTED ZONE”として隔離される。ちょっとばかり「ニューヨーク1997」風を意図した安易なコンピュータ画面に危険地帯が明示され、タコのような触手を持った巨大怪獣のシルエットがぼんやり映っている。

6年後のメキシコ。スクープを狙う新聞カメラマンが、上司から怪我をした社長令嬢をアメリカ国境まで送り届けろという命令をいやいや任される。最初は安全な航路を選んだが、カメラマンの不手際から船便のチケットを盗まれてしまい、やむなく2人で危険地帯のルートを進むことに……。

TVでの報道や一般市民の反応を通じて、地球外生命体が存在する社会的不安や緊張感が日常茶飯事となっていることが分かる。それがセミドキュメント・タッチだからよけいリアル。メキシコのまんまの空気を撮るしかなかっただろうが、それが実に効果的に映る。

最初は反発し合っていた2人が危険な旅を続ける内に、互いが相手の人間性を少しずつ理解して好意を抱くようになる……そして2人の前に、タコとクモを融合させたようなユニークな巨大怪獣2匹が登場してくる。とにかく巨大なヤツである。そいつらに、ついに遭遇してしまった2人はいったい……。


■緊張感たっぷりの15秒スポットをチェック!


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