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シロは生まれてきた時、キタロー扮する藪獣医に見放されるも新米警察官・早川勇作(市原隼人)の必死の介護で息を吹き返す、そのシロが成犬になって勇作の相棒の警備犬になり今度は勇作の命を救うと言う数奇な運命、絆の物語といえば愛犬家の皆さんは涙腺崩壊ものでしょう。
爆発物検知はワンちゃんの得意技ということで、連続爆弾魔のテロ捜査が描かれますが警備犬係を邪魔者どころか悪者扱いですのでしばらく我慢が続きます、さんざん反則技で痛めつけておいて最後は勝利と言うプロレスまがいの筋書きは一昔前の映画とはいえ安直ですね。
映画でも犬の活躍する物語は数多いしK-9などシェパードの警察犬は定番、日本でも「刑事犬カール」(TBS:1977~)なんて人気ドラマがあったし本作と同時期に日テレでも「デカワンコ」が放送されていましたね。同じシェパードでも本作では白い珍しいシェパードでした。
不勉強なのでひとくくりで警察犬と思っていました、警察犬と警備犬の違いがあることは本作で知りました。ほんとかどうかは分かりませんが同じ警察でも警備犬担当は犬屋と蔑視され不当な差別、爆発物を発見するし間抜けな警察官よりよっぽど役に立つでしょう。劇中ではマスコミも揚げ足取りばかりの偏った報道シーンにうんざりです。製作幹事の日テレはよくOK出しましたね。
同じ爆弾魔でも「スピード」などと比べたらサスペンスづくりのセンスが雲泥の差。
問題は安直な犯人像、最初の爆破事件の被害者が連続爆弾魔?、では最初の爆破犯は別にいた?、契約社員と邪険にされた逆恨みらしいが、ニートの若者が研究所モドキの広い部屋で爆弾づくり、資金はどうしたのでしょう、いつもパンツ一丁のいでたちは何なのでしょうと疑問が尽きません。
素性まで分かっているのに指名手配もせず次の犯行さえ看過、多くの子供たちや、かのスティーブ・ジョブスもどきまで危険にさらし右往左往の警視庁の体たらくぶりも余りにも恣意的。
狙われる企業名が松芝電気、単に松下と東芝をもじっただけのセンスのダサさに至ってはもはや空いた口が塞がらない。
褒めるとすればテレビドラマではなかなかできない迫力の爆破シーンと珍しいホワイト・スイス・シェパードの起用くらいでしょうか。プロデユーサーも犬の映画と甘く見たのでしょうか、脚本段階でサスペンスに強い作家さんを何人か投入して練り上げていればハリウッドものに引けを足らない力作ができたかもしれないのに残念です。