SOMEWHERE

劇場公開日:2011年4月2日

SOMEWHERE

解説・あらすじ

「ロスト・イン・トランスレーション」のソフィア・コッポラ監督が、父フランシス・フォード・コッポラとの思い出や、2児の母となった自らの経験を投影して製作。第67回ベネチア国際映画祭で金獅子賞を受賞した。米ロサンゼルスにあるスター御用達の有名ホテルを舞台に、派手なセレブライフをおくる映画スターのジョニー・マルコが、離婚した妻のもとで育った11歳の娘と再会し、人生を見つめ直す姿を描く。

2010年製作/98分/G/アメリカ
原題または英題:Somewhere
配給:東北新社
劇場公開日:2011年4月2日

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(C)2010 - Somewhere LLC

映画レビュー

4.5 傍にいなくてごめん

2026年5月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、映画館、VOD

来る日も来る日も「酒と女」に溺れる自堕落で享楽的な生活を送る映画スターが、腕を骨折したことから余儀なくされる退屈なギプス生活の中で、娘と過ごす時間から気づく本当に大切なもの。

(女性からの怒りや仕事によって)溜めては、それを発散してバランスを取る。つまり、男女の仲。本編中、その繰り返しという差異を伴う反復。娘のスケートに見入っていって、一瞬あるべき"こっち"側の世界に来るかと思ったら、女性からの怒りメールで現実に連れ戻される。そうやって作中何度も揺り動かされ続ける。
最初はケータイ片手間に見ていたのに、次第に被写体に近くなっていっく演出は、ジョニー・マルコが娘に見入っていくさまをよく表していた。そうした一見なんてことのない平坦なシーンなのに変化(ドラマ)があるという、静からにじみ出る動というようなシーンの組み立てが絶妙だし、なにより生きた人間のリアルな感情・心境の変化の機微をすくい取るよう。セリフのない間の長い取り方が絶妙かつ効果的で、主人公の感情を追って、観客が主体的に感じ考えれば、より作品と深く結びつけるような瞬間がある。だから、ぼくはソフィア・コッポラが大好きなんだと思う。

「もう一日遊ぶ?」ギターヒーロー対決に、イタリアでのプールからのジェラート。あくまで「(自分のためでなく)娘のため」にしている"子守"感から、ポスタービジュアルにもなっている、ストロークス/I'll Try Anything Onceが流れる象徴的なシーンでは、ジョニーが本編中で初めて心の底から楽しみ、他の女性を必要としないで満たされる重要なシーン。
『ジャッカス』クリス・ポンティウスが演じる、ジョニー・マルコの友人の存在も忘れてはいけない。彼はスターになる前のジョニーを知り、また、ジョニーの娘クレオとは(年の差を感じさせない)友人のように接することができる貴重な存在だ。つまり身内であり、主人公親子の橋渡し的な存在も担える。公開当時の時代感もあるだろうけど、ギターヒーローもWiiスポーツによるテニスも、コントローラーでなく実際に体を動かすゲームであり、まるで現実よりうまくいく仮想現実を投影しているようにも思えた。
クレオが泣いてから、ラスベガスで遊ぶカジノシーンは娘のためかと思ったけど、実際にダイスを振っているのはジョニーなのは、クレオがまだ子供だから?

車で走る路上シーンの多さ、とりわけ冒頭の延々と同じところをグルグルとひたすら回るだけの長回しが主人公の置かれた状況そのもののメタファーのようで象徴的。どこにも行けないで、どこに向かっているのかも自分自身分からないで、無為なことを繰り返すだけの同じ日々。底抜けモテてモテて、それゆえに恨みもたくさん買っているプレイボーイ=庶民が想像するザ・スター的な"(非)日常"。
11歳の娘クレオがあれだけ料理の腕前があり、しっかりしていることから伝わる、親の離婚からしっかりしないといけないお大人になることを強いられた環境。初登場シーンの「ハイ」と、作品終盤の「バイ」が繋がる。それに対して娘と別れてからの主人公こパスタ作りがザルで、対照的だった。U2ボノも泊まった部屋に泊まれるくらいのスターになっても得られないもの。俺は空っぽの男だ、何者でもない。不毛な堂々巡りを自らの意志でやめて、自身の足で歩き始めること。また一からやり直すように、そして父になる。

『ヴァージン・スーサイズ』・『ロスト・イン・トランスレーション』と比べると、本作の魔法は正直少し弱い。ただ、『ロスト・イン・トランスレーション』の精神的姉妹分として、全編にわたって類似するカットやシーン、展開が散りばめられている。
例えば、現地語での吹替版(今回は日本語じゃなくてイタリア語だから本当にロスト・イン・トランスレーション)だったり、バーガンディ・リディアよろしく女性からのメールが飛んできたり、音楽を聴きながら肩に頭を載せたり…。何より、メインキャラ放置のユーモアのセンスはいつ観ても最高で、主人公が困らされているシュールな絵面。本作においてはダンスシーンも多いけど、特に好きなのはイタリアでの授賞式シーン!映画の世界の中で直接流れる楽曲が、他の作品より多い気がする。
何より、世界がエル・ファニングと出会った作品なのだから!

P.S. ブラック・フラッグにサブ・ポップと音楽Tシャツ着がちなジョニー。
語弊を恐れずに言ってしまえば、セックス依存症やジャンキーがサウナで整うなどより健全な方法で、それ以上のカタルシスを得るような。

♪Smoke Gets In Your Eyes

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とぽとぽ

未評価 誰でもない誰か

2026年1月18日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

《シネ・リーブル池袋 さよなら上映会》監督•脚本: ソフィア・コッポラ『SOMEWHERE』鑑賞。冒頭のシーンから「なんか長くない?」とか「このカットいる?」と焦らされ続けてから登場する、16年前のエル・ファニング嬢の可愛らしさが衝撃的。フェラーリの荷室が前にある事を今日知ったのも衝撃的。#8の

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はにわさん in 2026

4.0 フィルムでなおさら味がある✨

2025年5月6日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

Bunkamuraさんの粋な計らいで35mmフィルム上映にて☺

ソフィア・コッポラってどんな人の中にも潜む『虚無』の部分を切り取って表現するのがとってもお上手。それを楽しむ映画なんだと今回理解。

ジョニーの車、FerrariではなくPORSCHEだったらスコアもっとあげて4.5は堅かった。特に冒頭の周回するシーンでは大好きなPORSCHEのエンジン音を5周分も聴けちゃうんだから!Ferrariでマジで残念……(←ただのPORSCHEの音好き)

ジョニー役の人、キーファー・サザーランドにしか途中から見えなくなってた💦
エル・ファニング、適役!!透明感とモヤモヤの表現が素晴らしい!!

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らまんば

4.0 倦怠感をじっくり見つめる

2025年5月4日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

よくある映画は、何か事件を起こして、ショックで主人公を変貌させますが、この作品は、まったくそんな気がなく。

日常生活の延長でゆるく、じわじわと、炙り出しました。

品があるなあ、コッポラの血を継いでるよな、ラグジュアリーだけじゃない、人物の見つめかたに、ゆとりがある。

つか、白黒クラシックの映画みたい。
きっと、淀川さんが生きていたら、皆が瞠目するよな文章を寄せていたんじゃないか。

ぎゃーぎゃー叫ぶ、プラカードを振り回す、
喜怒哀楽を汗水ダラダラ見せつける
社会を変えようと、同意者を倍増させんがために、
いきりたつような
そんなうるさい映画がやたら目立つこのご時世、

エレガントな、デリケートな、真の優しさ、いたわり、気遣いが、沁みてきます。

なぜ、あのやたら長い冒頭、クルマなのか。
観ている間、ドライブしているよな錯覚でした。

見終わったあと、ああ!これは心の旅であった!と。

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青樹礼門