キャタピラーのレビュー・感想・評価
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久しぶりに悪趣味(えげつない)な映画を観てみたくて。『発掘』
なんかガンダムの最終話のタイトルみたい。
私ね。面白いAAを見つけるとコピペで保存するというしょうもない趣味を持ってるんですよ。
そんなコレクションの中から探し物をしてたわけ。そうするとこのレビューの下書きを発掘しちゃったんですね。書いていたことの一切を忘れていました。どうやらクリスマスの嫌がらせに書いてたようです。『Dr.コトー診療所』のことを書いていることから察して
もう2年半も前のことじゃん!今さらながら行きますよ。
(っ’-‘)╮トウ!
「ファーゼルクリスマス!Mr.ローレンス!」ウキウキ浮かれる聖夜にこの作品のレビュー持ってくるあたり、相当の悪意を感じちゃいますよね。
悪趣味と書いて「えげつない」と読みます。この映画が「えげつない」じゃないよ!「えげつない」と感じる私が悪いんだよ!「えげつない」は不謹慎とも書けます。クリスマスに合わせて、わざわざ借りてきてまで観たがってる私が不謹慎だよ!
うそです。私は悪くないですこの映画本当に「えげつない」です。以前に一度鑑賞済なのですけれど、イチャイチャ浮かれるこの世を呪って呪って呪いつくしてやろうとやろうと、そう思っての再鑑賞です。←なんちゅうことを言うてくれるんや…なんちゅう…
困ったね…日頃心温まるハートウォーミング系の作品しか観ていないから(大嘘)本作どう評価していいのやら困ります。うそです。むしろ心凍り付くような、あるいは後味の悪~いハートガクブル系が好みです。同時に借りてきた『冷たい熱帯魚』も、できることなら機会を見つけて駄文を書いてみますね。『野火』とかも、また観直してみたいです。悪趣味でごめんなさい。
ええやないか!好きな映画観てもええやないか!←誰に!一体何に!キレてるんだよ!前回は『Dr.コトー診療所』を観て、ポカポカと心が温まったわけです。大変面白かったので、アマプラのFODチャンネルに加入してTVドラマ版も観た次第です。綺麗に浄化された心を再び私に相応しく、呪われたように汚したくて、こちらをチョイスしました。
ごめんなさい、どうしても、このしょーもないスタイルから離れられません。
この映画、江戸川乱歩の『芋虫』のまんまなんですよね。20歳代に乱歩にハマっていた時期に読んだきりですので、詳しいところまでは覚えていないのですが。調べてみると、元々は『芋虫』の映画化を目指したものの、著作権料等の問題もあって「着想を得て制作された」程度とお茶を濁した表現になっているんですよね。『芋虫』の10年後発表された小説『ジョニーは銃をとった』との関連は何かしらあったのかな…と思ったです。(映画化に際してはジョニーも、モチーフになったとかで)あっ『ジョニーは戦場へ行った』も観てみたくなってきたかも。反戦がどうとかこうとかの高尚な気持ちではなく、後味の悪~い気持ちを味わいたくて。とことんえげつないです私。
タイトルのキャタピラーって「キャタピラ⇒戦車⇒戦争の忌まわしさ」とか、そんなアホな解釈していた時期が俺にもありました。調べてみると、毛虫、青虫、芋虫等の英語訳=“Caterpiller”だったんですね。そのまんまですやん。えっ、ちょっと待って!待って!芋虫とかは“Worm”じゃないの?ルアーフィッシングで使うアレ。“Worm”でも正解だったようです。でも、この映画のタイトルとしては『キャタピラー』の方が合ってるような気がします。私が曲解?していた戦車の件を含めていいのなら。(๑• ̀д•́ )✧+°ドヤァ!
やっぱり悪趣味!えげつない!ビジュアルは勿論なんですが、爛れた情念がぐっちゃんぐっちゃんの作品でした。日野日出志が描く漫画みたいな。日野先生も『芋虫』に着想を得て『毒虫小僧』を描かれたのかな?曖昧な記憶を辿れば、やっぱり乱歩先生の作風にドンピシャの趣を感じます。前述のように、男女の爛れきった情念が、恐ろしいまでに描かれているんですよね。とにかくセ〇クスシーンが多いの。それもビジュアルのおどろおどろしさも相まって、えげつなく描かれているの。「ええんか!こういうのんが見たいんか!こーゆーのんがっ!」みたいな。いくらゲテモノ好きな私でも「これはないわーガク((( ;゚Д゚)))ブル」って思うような。それくらいのえげつなさ。四肢が無い上に、顔面まで重度の火傷爛れのビジュアルのエグいこと、エグいこと。声帯と聴力までをも失ったのに、性欲だけは人一倍旺盛ってんですから始末が悪い。妖しげな妻との行為が「これでええんか!こんなんが見たいんか!こんなんがっ!」と幾度も描かれているんですよ。本当に目を背けたい地獄絵図なわけ。
私の記憶が確かなら『スイート・マイホーム』のレビューを書いていらっしゃった方が『屋根裏の散歩者』に言及されていた記述があり「あっ!なるほど!言われてみれば!」と思い、改めて同作のあらすじを軽く辿ってみたのですね。幻の1970年版を含めると、4度もの映画化があったようで。その他、TVドラマも含めれば、何度も映像化されていたようですね。したらね、Wikipediaのあらすじの記述にこうあったんですよ。(犯人の男は)ことさら女装が気に入って、女の姿で際どい悪戯をするなど「犯罪の真似事」を楽しみはじめた。だって。ちょい待て!待って!そーゆーことやるから女装家への偏見が増すんだよ!私は、世を忍ぶ趣味のために、自制心というブレーキを常に踏みっぱなしですからね!←また女装ネタかよwもとい、それだけ乱歩先生の影響って計り知れないものがあるんだなぁと、再認識です。
この頃は、まだ女装ネタ書いてるし…
異色の戦争映画
反戦をスキャンダラスに提起する技(ワザ)
この映画を映画館で観たならば、とても衝撃を受けたの思います。
若松孝二監督という人。
反戦映画なら「日本のいちばん長い日」
などとは全く違っている。
「ジョニーは戦場へ行った」と、江戸川乱歩の「芋虫」に影響され
下敷きにしているとのことですが、
手足を爆弾で吹き飛ばされて失い、耳は聞こえず、話せず
「生き神様」として戻ってきた夫の久蔵。
その世話は妻・シゲ子に委ねられる。
食欲と性欲だけを残しただけの芋虫のような夫。
軍服を着せてリヤカーに乗せて畦道を行き、
村人は
「生き神様」を拝む。
時にシニカルな笑いに誘われて、
見せ物にされる久蔵の怒り、
世話してる自分の優位を見せつけるシゲ子の復讐的な怒り。
2010年作のこの映画のスタンスは出尽くした感のある戦争映画に
まだ別の切り口があることを示し、
風穴を開けた。
映画の冒頭と映画のラスト。
当時のニュース映像を使用していると思われるが、
ラストには東京裁判で処刑されるA級戦犯の絞首刑のシーン。
これはよく映倫を通ったものだと感心する。
軍国調のナレーション。
軍国婦人団のバケツリレー訓練。
現在の視点ではバカバカしいので、
大真面目に訓練した婦人たちが戯画的にしか見れない。
戦争はいつでも庶民が犠牲を払わされる。
終戦後80年目の夏が来ようとしている。
異色の反戦映画。
12日間で撮影したとは思えない完成度である。
キャタピラー
あらすじを読み見ましたが、本当にあらすじの通り気持ち悪いですが、性的なシーンや気持ち悪い男って当時のどういうのかを見たかった。というのも気持ち悪い人って人によって様々かと思いますが、顔や体系が殆どで、この芋虫男も該当する話だろうなと思いますが、それ以上に周りのそのシゲ子に対する重圧が気持ち悪かった。その四肢をなくした男で、体の自由が利かず、周りの面倒をそのシゲ子に頼むが、本人が嫌がる行為は性的なものは最大ですが、それ以外に身の回りの世話の邪魔や、近所の方々から苦情がくるように仕向けるあたりが、まさに「男」を感じます。男の人自体、悪いという訳では無いけど、男の人が何にそんなに怯えるのか?何でそんなに男や女に対して虐めるのか?もっというと根源の方ってきっと男であると思いますが、男の人が主体で女の人を虐めてるのでそう思わずにいられないので、根源は男という話です。女の人同士の戦いに性的なものは無いどころか、それをすると取り返しの付かないことになると思うし、女でも性的な暴力するといいますが、本人かなり追い詰められていると思いますね。それくらい小さな頃から日常的に暴力を男の人に振るわれてると想います。男の子もそういうのあってもまだ、じゃれ合いと周りは笑って友達同士なんだね!って話を男の子には肯定する形が多いですが、女の子に対しては懲らしめるや貧乏がついてくる気がします。それが特に女の子や女性は今だに強いと思い、昔から変わってないなって思いました。あと、男性のイジメって後を引いて社会人になっても続きますが、その代償に女性が肩代わりして、その男性達も自分へのいじめが曖昧になって終わったと思い込んでいるのではないでしょうか?それくらい、社会的な問題を男性は隠蔽していいのかな?本当にずっと悩んでる小さな事って本当はかなり重要な話なのにね。大きい悩みって昇進や結婚の以前になぜ?そんなに大きい悩みに囚われているんだろう?それって小さな悩みである、過去のプライドや虐め、学力だったりして?病院でカウンセリングを受けるよりも、しっかり、会社の社長や警察官と会話したほうがいいと思う話ですね。シゲ子もなんだかんだで、私の話なのかな?って思う話なのではないでしょうか。だってなんだかんだで、努力や忍耐をして幸せになる結末っぽいですね。私への虐めではないから頑張れるのかな?笑。根本的な話、自分への虐めをもう家事やら、その芋虫男に聞いて謝って終わってるからな。
芋虫かと思ったら芋虫じゃなかったけどやっぱり芋虫だった。
「ジョニーは戦場へ行った」と「芋虫」から着想を得て…とのことですが、だいぶ「芋虫」してました。「キャタピラー」は日本語で芋虫ですし。セリフもそのまま使っている部分もありました。著作権の問題で揉めたらしいですが…そりゃそうよな。(著作権自体は切れていたが、倫理的、道徳的観点から問題となったらしい)
「芋虫」は倒錯的な表現を多用したエログロ小説ですが、「キャタピラー」は反戦メッセージを含んだものとなっております。主題歌が「死んだ女の子」であることからもそれが伺えます。また、社会から不条理を押しつけられた哀れな夫婦の物語という見方もできるでしょう。「軍神って何なのよ!」というセリフが全てを物語っています。
性欲を一方的にぶつける様なシーンが多く、そこは注意がいるかも知れません。冒頭の暴行シーンなどは少しきつかったです。
救いのない話ではありますが、久蔵の気が触れてしまったのは唯一の救いだったのではと思います。それは彼にも少なからず良心や人間性が残っていたことの証なのですから。
生殖行為が可能ゆえ、なぜ励まない?女性なら位の一番♥
FAプ〇のヘンリ〇塚本作品程度の作品。
ある意味に於いてそれなりの反戦意識はあろうが、フィクションである。
さて、ヘン〇ー塚本と若松孝二の共通点はピンク映画だと思う。
兎も角、この手の作品はFAプロでも昔の成人映画でも沢山あり、今更、2010年に突然現れた怪作でも名作でもない。所謂、ジャパニーズ・ニュー・シネマを気取ったサブカルチャーの一つである。
『ジョニーは戦場へ行った』と手塚治先生の『寄子』をリスペクトしている。と言うよりも、リスペクトした作品には遠く及ばない。勿論、江戸川乱歩の『芋虫』は当然の事である。
上野の山へ出かけると、白装束の傷痍軍人が沢山いた。
亡父に動物園に連れて行かれると、その人達を見て、亡父曰く『彼奴等、逃げて帰ってきた奴等だ』と言って馬鹿にしていた。ひどい時は『働かないで、簡単に金稼げて良いよな』って言っていた。その時、戦争に行かされたら直ぐに怪我してでも帰って来ようと決心した。
生殖行為が可能ゆえ、なぜ励まない?女性なら位の一番に考えるでしょ。何も泣くこたない。男の都合の男目線なク〇映画。
子供が産めない?そう言う事?
成人向けHARDCOREな作品にすべきだ。『罪とバチ』って事でしょ。日本人は女性を求めて、中国を侵略したわけではない。
性描写がしつこい
「お国にご奉公出来ない」とは「生産性のない人間」のこと
戦場で両手足を失くし、口もきけぬ体で帰って来た夫は、寝て食って妻と「やる」だけの生き物・イモムシ(catapillar) になってしまいました。しかし、戦時下では妻は「軍神の妻」として黙々と彼の世話をするしかありません。村人は無責任にそれを称賛します。
彼を戦争の被害者と呼ぶならば加害者は一体誰なのでしょう。敵兵なのか、自分の上官なのか、敵国なのか、日本国なのか。しかし本作は、彼こそが加害者でもあった事から目を背けようとしません。臓腑を抉られる強烈な主張と描写。これが戦争なのです。
作中の「お国にご奉公出来ない」は、そのまま現在の「生産性のない人間」に、「軍神の妻ですから」は「自助」・公助・共助に、時代におもねる村人の言葉はSNS世界にそのまま繋がっています。イモムシの時代は近未来にすぐ続いているのです。
両手足を失って戦場から送り返された男と言うと、『ジョニーは戦場へ行った』(1971)を思い出しますが、あの映画には多少なりともあった抒情性が本作には一切なく、戦争の愚劣さをグイグイ押し付けられるだけでした。キツい。
作品終盤の広島に湧き上がるキノコ雲のシーンを『オッペンハイマー』を観た日に目にするのはやっぱり辛かったなぁ。
手と足を もいだ丸太にして帰へし
石川県の鶴彬 つる・あきら
川柳作家。享年29歳。獄死。
手と足を もいだ丸太にして帰へし
この川柳でもって、戦時中、彼は警察に連行されて、獄死しました。
容疑は治安維持法違反の思想犯。
ベッドに縛り付けられておりましたが、拷問等は行われず赤痢による死亡ということになっております。
東京・中野区の野方署でした。
若松監督は、この句にインスパイアされて、たぶん本作を撮りましたね。
我が家に傷痍軍人会のおじさんが二人来て、
白装束で玄関に立ってアコーディオンを弾きました。
物悲しい奏曲が終わったときに、うちの母がおじさんたちに言った言葉が忘れられません。
「ご苦労さまでしたとの一言も言わないんですか?」
「いや。あなた方の体をこんなにした国と闘いなさい」
そう言って母は台所に走り、大きなおにぎりを彼らに持たせました。
国を挙げての 「軍神ご っこ」を痛烈に描ききった究極の反戦映画
この作品、気持ち悪いとかあまり良い噂は聞いてなかったが個人的には大...
神の国
昔々、東アジアに神の国がありました。その国は西洋列強に対抗するため国を一つにしようと天皇制を敷き、国民は天皇が支配する神の国なのだと信じて天皇のために戦場に行くことも恐れませんでした。戦場では勇猛果敢に現地の女性を犯しては殺し、戦果をあげました。
敵にやられて両手両足がなくなっても皆から軍神様としてあがめられ妻からは手厚い奉仕を受けられました、性欲も満たしてくれます。
時には妻が大八車に乗せて散歩に連れて行ってくれます。道行く人が自分を軍神様とあがめてくれ、妻も誇らしげでした。
でも軍神様は食べることと寝ることしかしない。妻は時には世話をするのが嫌になりました、でもやっぱり国に貢献した軍神様を支えるのも国への奉仕だとして世話を続けます。
やがて日本は敗戦を迎えます。どうやら天皇は神ではなく人間だったようです。そして軍神様も浅い池に身を投げて亡くなります。彼もまた神ではなかったようです。
国を一つにするために作られた神、戦意高揚のために作られた神はいなくなりました。神から解放された人々は幸せに暮らしました。
軍神さま
【第二次世界大戦中に多大なる過ちを犯した国と、その国の命により戦地に赴いたある男への強烈すぎる因果応報を描いた映画。】
ー 故、若松監督は今作を製作するにあたり、どの様なメッセージを伝えようと思ったのだろうか。反戦映画のようにも見えるし、その要素もあったかはと思うが、私は人間の根源的な欲求の奥深さと愚かさを描いた作品ではないかと思った。ー
◆感想
<今作の着想の一つに、江戸川乱歩の”芋虫”がある事を知っている上で記す。>
・村の期待を担って戦地に赴いた黒川久蔵(大西信満:若松組の常連とは言え、良くこの役を受けたものだと思う。)は、中国に赴き、彼の地の女性に非道なる行為をするシーンが冒頭に描かれる。
そして、その因果応報により、四肢と言葉を失い、顔にはケロイドを負った人間とは思えない姿で久蔵は村に戻る。”軍神様”という称号と、”3つの勲章”を持って・・。
ー 妻のシゲ子(寺島しのぶ)の最初の驚愕の反応。
だが、徐々に何もできない久蔵に対し、サディスティックと言っても良い接し方に移行して行く姿を演じる、寺島しのぶさんの冷徹な目と振る舞いが怖すぎる。
且つては、自分を虐げていた夫に対して、ジワリジワリと主導権を握って行く姿。ー
・シゲ子が、夫の根源的な欲求に、積極的に”ご褒美”と言いながら応える姿と、四肢を失った夫に軍服を着せ、見世物のようにリヤカーに乗せて村内を連れまわす姿。
ー 強烈すぎる、シゲ子の夫に対する復讐である。
”3つの勲章”を、割烹着につけて。
そして、昭和天皇、皇后の写真と軍神の記事と、勲章のアップが度々映し出される。ー
・敗戦を迎え、喜ぶ知能の足りないクマ(篠原勝之)と、シゲ子たち。
一方、久蔵は芋虫の様に這いながら、池に向かい水面に映ったケロイド状の自分の顔を見て・・。
<ラスト、敗戦一直線の旧日本帝國が壊滅していくシーンと、玉音放送。
戦犯たちが処刑されるシーン。
そして、流れる元ちとせの『死んだ女の子』
この曲は、広島の原爆で亡くなった子供達に捧げた坂本龍一プロデュースの苛烈な曲である。
この映画は反戦映画なのであろうか・・。
嫌、違うな。
この作品は愚かしき国と、その命に盲目的に従い、敵地の女性達に非道なる行為を行った男達に対しての、強烈すぎる因果応報を描いた映画である。
そして、その報いを受けてしまった無辜なる女性や子供達への鎮魂歌なのである。>
軍神という歪さ
芋虫ごろごろ~軍神さまごろごろ~♪
新聞の一面にもでかでかと“生ける軍神”として掲載され、村人からも軍神として崇められ、軍神の妻としてお国に奉公するのだという義務感。食べて寝て、そして性欲処理のためにシゲ子は身を削る。田んぼを耕し、織物をし、食事、下のの世話の辛い日々が続くのだ。時には大八車に軍神さまを乗せて村を歩く。召集令状がきても狂喜する人々。死んで灰になって戻ってきた家はまだまし。生きた屍を戻された人はどうすればいいんだ?
口も聞けない、耳も聞こえない芋虫。最初は殺して自分も後を追って死のうと考えたシゲ子だったが、色んな思いがあったのだろう。せっせと世話をして、世話をすることで自分を見出そうとしたのだろうか。村人は軍神さまのためにと米や食料を分けてくれるし、外に出たら皆合掌し拝んでくれるのだ。
若松孝二ならではの反戦映画。しかも障害を受けたことへの悲しみだけではないのだ。久蔵(大西)は中国の戦地で女性をレイプしたことへの罪悪感が次第に膨らみ、毎日のようにシゲ子の体を求めていたのに勃起しなくなってゆく。冒頭でのそのレイプシーンが強烈な芋虫映像のために忘れてしまいそうだったが、フラッシュバック効果によって、その彼の罪も思い出させる趣向だったのだ。軍神?敵国の女をレイプすることが崇められるのか?夫婦生活の性欲を表現するとともに、そんな戦争の非情さをも描くのだ。
物語途中、戦争のドキュメントフィルムとともに皇軍が連勝し続けているというニューステロップが流れるのだが、映像は真逆の東京大空襲や米軍が沖縄上陸するというものを流す。当時の大本営による情報操作、マインドコントロールがいかにいい加減なものだったかと強烈な皮肉をもって表現しているのだ。
もうひとつ、暗いままの映像にするのではなく、赤い着物を着た知恵遅れのおっさん(篠原勝之)を入れることで色彩面で退屈しないようにしている。これがまた面白い。
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