ザ・コーヴ

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ザ・コーヴ

解説

日本のイルカ漁に実態に迫り、世界中の映画祭で激しい議論を巻き起こしたドキュメンタリー。第82回アカデミー長編ドキュメンタリー賞を受賞。1960年代に人気TV番組「わんぱくフリッパー」で調教師兼俳優として活躍したリック・オバリーは、和歌山県の太地町で行われているイルカの追い込み漁を知り、イルカ漁中止を訴えて太地町を訪れる。入り江に隠しカメラを設置した撮影隊は、イルカ肉の水銀問題や偽装販売疑惑、さらにイルカ肉を学校給食に使用していたことなどを次々に明らかにしていく。

2009年製作/91分/PG12/アメリカ
原題または英題:The Cove
配給:アンプラグド
劇場公開日:2010年7月3日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第82回 アカデミー賞(2010年)

受賞

長編ドキュメンタリー賞  
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映画レビュー

2.0The Coveからドキュメンタリー作品の存在意義を考える

2020年7月21日
iPhoneアプリから投稿

2010年に公開され大きな論争を巻き起こした作品。

なぜイルカは助ける存在で、牛豚はそうではないのか。
イルカは知能が高く、牛豚は知能が低いから?(それって優生思想と一緒じゃない?)
牛豚は家畜で人間に食べられる存在だから?
決して納得できるロジックではない。この作品を観ても、答えは結局見つからない。

確かに、太子町のイルカ漁は直視できないほど残酷だ。しかし、屠畜の現場もテレビでは決して放送できない残酷な映像だ。

イルカ漁を行う側は強力な「悪」で、反対する側はか弱い「善」で、まるでゴリアテに対するダビデのように描かれている。

イルカ漁を行う人間は野蛮な民で、高度な文明を持つ我々(制作側)が啓蒙する必要があると言わんばかりだ。

個人的にはイルカ漁に賛成でも反対でもない。ただし、イルカ漁だけを一方的に道徳的な悪とみなすのは、フェアではないということだ(彼らの一部の言動は、帝国主義時代のアプローチのように暴力的だ)。

イルカ漁に水銀摂取を結びつける論理には、相当の悪意を感じる(マグロ肉の摂取時とどう違うのか。具体的なエビデンスは?)。

森達也監督が言うように、ドキュメンタリー作品において主観を完全に排除して中立な位置で視点を置くことなど不可能に近い。

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atsushi

1.0☆★★★ ※ 鑑賞直後のメモから あ痛たたたたたた…お金を払ってこ...

2020年1月4日
iPhoneアプリから投稿

☆★★★

※ 鑑賞直後のメモから

あ痛たたたたたた…お金を払ってこの映画を観てしまったって事は、言ってみたならテロリストにお布施をしてしまった事になる。

とにかく、最初から最後まで、思い込みだらけの痛すぎる人達から見た、〝とんでも日本〟の在り方なのだが。これをマトモに受け入れてしまう人が果たして居るのだろうか?…って、居るからアカデミー賞まで取っちゃったんでしょうなあ!
映画では一切映らない撮り手側の生態が実は面白いんですけどねえ(苦笑)

懇切丁寧に、「ここですよ皆さん!ここで何かが起きますよ!」…と。CGアニメ等を駆使して観客へ訴える。
ところが水銀汚染やら、世界中で魚類の魚介量が激減したのは「日本の責任!」と、一方的に決め付ける。
映画の中身を観てもらうと解るのだけど。それらは単なる思い込みでしかない。何故ならば、ドキュメンタリーでありながら、具体的なデータなどの類いは一切作品の中では登場しないのだから。

娯楽映画として観た場合、退屈しないのだからこその採点なのですが。でもどうやら、今回は大幅にカットされたプリントによる上映らしい。本物の本編を観ると、もっと〝とんでも日本〟として描かれているのだとか…。
だとするならば、全くの別物をレビューしてしまう…とゆう、かなり間抜けな事になってしまう。
全くもって困った事であります。

2010年7月18日 シアター・イメージフォーラム/シアター2

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松井の天井直撃ホームラン

1.5捕鯨の賛否はナシにして

2012年2月16日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知的

騒がれているので見た事なくなくても、そこそこに知られていると思うけども
私も、欧米人が捕鯨批判のためにと聞いて見るの渋ってたのですが
この度見て、後悔だけ残りました

いわゆる説教映画です
後、出てくるデータに関してもほとんど捏造に近いものなので
捕鯨という物に興味がある人はその部分だけ見ると楽しめるのではないかと思います
捕鯨とか残虐性とか偏見なく見れば、漁の大変さが伝わると思います

この映画はドキュメンタリーとは言いませんね
ようするに宗教映画です
この映画は、基本的に倫理観の押し付け
別にイルカである必要性がありません
キリストを信じてない人間は蛮族、かわいそうな人たち
そういった映画と何ら代わりません
下手すれば、○○真理教だとかのカルト教団が作ってる勧誘映画に近い

フィクションとして見ても展開が大雑把で退屈でした
海洋生物映画として1.5って所です

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アオン

4.0映画『ザ・コーヴ』に見られるオリエンタリズム

2011年12月26日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

知的

難しい

映画館上映から一年以上経っているにもかかわらず、いまさら取り上げるのもナンセンスだとは思うが、今日鑑賞してみて気になった点があったので、そのことを少々。

この映画で挙げている問題点は以下のとおり。

1:人間よりも知性のある(と考えられている)イルカを、和歌山の大地町にいる漁師たちが食用として乱獲している。(これが主題)

2:イルカには多量の水銀が含まれており、食べるのはかなり危険であるが、多くの日本人はこのことを知らない。

3:イルカの殺し方が極めて残酷であり野蛮である。

ただこの映画は、途中で1から2へと、制作者側の主題が大きくすり替わっている。つまり、彼らの本当の目的は1を阻止するためであるが、後半から2へ方向性をシフトすることで、あたかも「我々は“日本人のためを思って”こういった反イルカ捕獲活動をやっているのだ」といった形にうまく仕立て上げている。そして観客に自分たちの「善意」を伝えたところで、今度は3に主題が切り替わり、イルカの大量虐殺という「むごたらしい」映像を流してこの映画は終わる。

で、イルカを食用とすることやその殺し方が、生命倫理に抵触するのかどうかについてはさておき、ここに故エドワード・サイードの指摘する「オリエンタリズム」が垣間見られるのではないか、というのが個人的な感想だ。つまり、「理性ある西欧人」から見た「非論理的で野蛮な東洋人(日本人)」という構図が、この映画のフレームになっているのである。

彼らが世界的に反イルカ捕獲活動を展開しているのであれば、あえて日本にだけその焦点を当てるのはおかしな話だ。実際、日本以外にもイルカを捕まえている国はいくらでもある。映画の前半では、日本以外の国のイルカ捕獲事情も取り上げられているが、それはほんのわずかだ。残りはすべて日本にのみ話題が集中している。

人間は生きるために他の生き物を殺して栄養をとるわけだが、殊にイルカに関してはその知性の高さを主な根拠にして、食用とすることを彼らは認めない。しかし、この映画ではその認めない理由を、イルカの知性の高さよりも、ほとんど2や3とすることで、見る者の感情に訴えようとする。その背後には、日本人(東洋人)の「無知」(大方の日本人が、イルカに水銀が含まれていることや、そもそも日本でイルカが食用にされているのを知らないという事実)や「残虐性」(イルカを船で網の角まで追い込み、入江を文字通り血の海にして殺す漁師たちの姿)を描くことだけに終始している感が否めない。

また、そんな「未開人」である日本人たちを「啓蒙」し、「道徳心ある善良な国民」にすべく、我々はこのような反イルカ捕獲活動を続けているのだ――こうした、一見もっともそうな大義名分をこの作品に託し、自分たちの論理(それ故、立入禁止の場所に勝手に入ることも、そこでの現状を隠し撮りすることも許されるという考え)を全面に出しておきながら、日本側の論理は否定するという姿勢も見受けられる。

さらに、大地町における捕鯨活動(イルカも鯨の内に含まれる)には古くからの歴史があるのだが、彼らが「日本人の多くが知らないものを伝統文化と呼ぶのは間違いだ」としている点も、結局のところ、「何をもって“伝統文化”とするかどうかの基準は、我々西欧人にある」というオリエンタリズム的なメッセージに他ならないのではないか。

ちなみにウィキペディアによると、和歌山大学でイルカ漁に反対する学生の数が、この映画を見る前と比べて4倍に増えたと報じているが、それは「日本人による日本人へのオリエンタリズムが形成された」という視点で見れば、制作者側にとってこれ以上の喜びはないだろう。

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