劇場公開日 2010年12月17日

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トロン:レガシー : インタビュー

2010年10月25日更新

失踪したデジタル界のカリスマ、ケビン・フリンの息子サムが電脳世界「トロン」で繰り広げる冒険を、最新3D技術を駆使して描くSFアクション超大作「トロン:レガシー」。メガホンをとった新鋭ジョセフ・コジンスキー監督が来日し、インタビューに応じた。(取材・文:編集部)

ジョセフ・コジンスキー監督インタビュー
「地球外生物が宇宙ではなく、コンピューターの中に存在したなんてね」

圧倒的なスケールで描かれるデジタル世界「トロン」
圧倒的なスケールで描かれるデジタル世界「トロン」

1982年に世界で初めてデジタル・コンピューター・グラフィックスを全面導入したSFアドベンチャー「トロン」からイマジネーションを広げ、全く新しい物語として生まれ変わった本作。20年前にこつ然と姿を消したデジタル界のカリスマ、ケビン・フリンの息子サムが、父親が創りだしたコンピューターの中の理想世界「トロン」に迷い込み、未知の敵と激戦を繰り広げながら、「トロン」に隠された秘密に迫る。

監督デビュー作にして大役を任された
監督デビュー作にして大役を任された

これまでナイキやアップルのCMを手がけ、最先端映像クリエイターとして注目を浴びてきたコジンスキー監督。長編映画監督デビュー作にして超大作を任されたわけだが、「とても光栄に思ったし、プロジェクトに参加できることに大興奮したよ。僕の尊敬するデザイナーたちを集めて、独自の世界を作れることにワクワクした。予算や規模の大小にかかわらず、特にデビュー作品となればどんな人間でも緊張する。プレッシャーはあったけど、高いポテンシャルを秘めたこの作品をいかに面白く作るか、それだけに集中したよ。こういう大作では、チーム内でのコミュニケーションが何よりも大事なんだ。自分の意見をきちんとスタッフに伝えて、一致団結することが重要だった」と振り返る。

最先端技術を駆使した驚異的な映像が話題となっている本作だが、コジンスキー監督のこだわりは意外なところにあった。それは、父と息子のきずなを描く普遍的な親子愛の物語や、豊かな個性と自由意志を備えたデジタルミュータント“ISO”の登場など、新しく生み出されたオリジナルストーリーの要素だ。

「僕と脚本家とプロデューサーで協力し、このストーリーを作り上げた。脚本家のエディー・キツィスとアダム・ホロビッツ(米TVシリーズ「LOST」)の“ISO”に対するコンセプトは僕も魅力を感じたし、この映画に新しい要素を付け加えてくれた。デジタルの生命体というのはすごく面白いコンセプトだと思う。地球外生物が宇宙ではなく、コンピューターの中に存在したなんてね」

生身の人間による芝居も見せ場
生身の人間による芝居も見せ場

物語の主軸となる父と息子の物語は、「クレイジー・ハート」でオスカーを受賞したジェフ・ブリッジスと、「トロイ」「エラゴン」と着実にキャリアを積み重ねてきたギャレット・ヘドランドをキャストに迎えたことで、より骨太でエモーショナルなものとなった。

「僕にとって、生身の人間への演出は大きなチャレンジのひとつだった。役者が芝居のしやすい環境を作ることも、監督としての僕の仕事だと思う。だからリアルなセットをたくさん作って、彼らに実際に『トロン』の世界にいるように感じてほしかった。それにさまざまな最先端技術を駆使しての撮影だから、どうしても普通より撮影時間がかかってしまう。なるべく技術的なのしばりが演技の邪魔にならないよう気を配ったよ。そして何より、前作にも出演しているジェフ・ブリッジスと仕事ができたことはラッキーだったね。これまで数え切れないほどの映画に出演しているベテランのジェフには映画作りの基本を教わったし、彼には最新テクノロジーを教えてあげることができた(笑)。お互いに学ぶことの多い現場だったよ」

オリジナルでも人気の高かった「ライト・サイクル」
オリジナルでも人気の高かった「ライト・サイクル」

そんなストーリーの魅力もさることながら、やはり本作の見所といえば圧倒的ダイナミズムで描かれる映像美と、デジタル世界ならではの未来的バトル。オリジナルにも出てくる「ディスク」と呼ばれる円盤型の武器や、驚異のスピードと破壊力をもつバイク「ライト・サイクル」など、ディテールにまでこだわったさまざまなギミックで観客を楽しませてくれる。

「もちろん映像面でも、僕なりの新しいアイデアを取り入れたいと思っていた。オリジナルに出てくるディスクでの戦闘やライト・サイクルはもちろんのこと、何か新しいひねりを入れたかったんだ。僕の一番のお気に入りは単身飛行のライトジェット。ずっと何か新しい乗り物を作りたいと考えていた。というのも僕は小さい頃、パイロットか宇宙飛行士になりたかったんだよ」

インタビュー3 ~ジェフ・ブリッジス、最新のVFX技術で1人2役
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