トゥルー・グリットのレビュー・感想・評価
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コーエン作品としてはサスペンス要素はあまりない
父親を殺害された少女が、父の仇をとるために、保安官を雇い復讐の旅に出る。途中で同じ犯人を追う男が仲間に加わり、保安官と敵対しつつも同じ目的に向かう。
コーエン映画としてはサスペンス要素はあまり少なく、少女の一途さ、保安官の優しさがにじみ出る映画。
生と死の均衡
西部劇にはバランスがあると思う。人が簡単に死ぬ、命がけで誰かを助ける、両者のバランスをとると、いい西部劇ができる──ような気がする。
隻眼のコグバーン(ジェフブリッジズ)は、恐れも情けも知らない老保安官だが、悪い奴らをあっけなく撃ち倒す一方で、蛇に噛まれたマティロス(ヘイリースタインフェルド)を命がけで助ける。殺すことと守ること、そのメリハリが本作をどうしようもない傑作にしていた。──と思う。
ラビーフはレンジャー隊を誇りにするいいカッコしいだが、所々まぬけを露呈させてしまう憎めない奴。役に立たないようでいて、ここぞのところで、320ヤード先の賊頭ネッドペッパーをカービン銃で仕留める。マットデイモンがいい味をだしていた。
マティロスはチェイニーを殺して父親の敵討ちをはたすのだが、蛇の毒で片腕を失う。
25年経って、コグバーンを尋ねるが3日前に亡くなっていた。
「昔の知り合いで、彼とにぎやかに旅をした」
しみじみして硬派なラストだった。
Bone Tomahawk(2015)は想定外の残酷シーンに度肝を抜かれたが生真面目な西部劇だった。そのシェリフと相棒の関係が、トゥルーグリットのコグバーンとラビーフに似ていた。トゥルー・グリット自体、勇気ある追跡(1969)のリメイクだとは後で知った。
いずれ西部劇というものは、終焉するジャンルだと思っていた。が、そんなことはなかった。ジョンフォードやセルジオレオーネがつくった教科書を、ペキンパーやウォルターヒルやイーストウッドがつないだ。古豪たちが築き上げた滋味をバスターのバラードやトゥルーグリット、あるいはSlow WestやBone Tomahawkにも見ることができる。
このテンポが信頼
見事。
ちょっとたるくなかなーって思うその瞬間にきちんと気持ちよくカットが変わる。
軽やかにストーリーが進み気持ち良さでワクワクする。
コーエン作品ならではの命の軽さがストーリーを読ませない。
終盤にこの旅を逆回しで見せてくれるシーン、グッときたな。
ラストもまたウェットにならないカラッといた終わりで良かった。
良い映画!
All for Hailee
ヘイリーのあどけなさが残る頬と対照的な目力の強さと台詞の切れ味が序盤から炸裂する。大人と駆引きをし、名優共を脇に追いやる存在感。しかし、話のバランス的に突出しすぎているように思える。男達の生き様や背景描写が少し浅く、動機に引き込ませる推進力が薄い。俳優陣の演技が悪いわけでもなく、映像も音楽も良いのだが、どうも淡々と話が進む。これは大人物になる少女の話かと思いきや、それを感じさせないラスト。ここまでの役者を使ったのであれば、1シーンであっても存在だけで黙らせるような女優を起用して欲しかった所。
妙に凝った西部劇は苦手
見覚えあると思ったらジョン・ウェインの名作「勇気ある追跡(1969)」のリメイクだった、原作は同名のチャールズ・ポーティスの68年のベストセラー本、学校の教材にもなったようでコーエン兄弟ににしてみればリメイクと言うより原作に惹かれたようだ。
1880年代の南部の様子など知る由もないが黒澤の時代劇を観ているような殺漠さ荒涼さに似て映るのは不思議だ。
助っ人の老保安官(ジェフ・ブリッジス)の娘想いの行動は見えるが表情やセリフでは心が描けていないように見えたのは残念、むしろ敵の首領が娘の勇気を買ってくれたのは意外だった。マット・デイモンにはいいとこ無しかと気が揉めたがちょっとだが見せ場があってほっとした。
リアリティ志向かも知れないが公開縛り首や切断された指のアップ、毒蛇に食われた死体、愛馬の安楽死、腕を亡くした主人公と無慈悲な描写の数々、健気な娘の敵討ち物語で溜飲がさがるといったベタな映画にはするもんかとのコーエン兄弟の意気込みがほとばしる。
もはや好き嫌いの世界だが妙に凝った西部劇は苦手なのかもしれない。
にぎやかな旅
いやー、いいなぁ。西部劇ってなんでこんなにしみじみ良いんだろう。
アメリカの時代劇みたいなもんだから、
日本でいえば忠臣蔵みたいなもんだろうか。
いちばん印象的だったのは、なんと言っても「シンプル」なこと。
テクノロジーで複雑化した現代とは違って、
「生きること」が本当に生々しくって、だから力強く感じるんだろうか。
原作・過去作との違いは考察ブログとか読んではじめて知ったけど、
見た限りではコーエン版の本作が一番いいと感じられる。
主人公サイドのコグバーンもマティも完璧じゃなくって、
悪役まで過剰に悪役じゃないというか。
そういうリアルな機微みたいなものの塩梅がちょうどよく、
すっと腑に落ちるけどしっかり心に残るものがあるっていう。
ラストの「私も彼とにぎやかな旅をしたの」ってシーン、本当に良かった。
ロジャー・ディーキンスの撮影が美しい
これは何故か定期的に観たくなるんだよね。今回は1年ぶりぐらいに観た。
派手なアクションはない。ただただアメリカのだだっ広い荒野をあてもなく彷徨う。町は汚く、男も汚く、何日も風呂に入ってなく汗臭そう、昼間っからアルコールの匂いがぷんぷんと漂ってきそうな感じ?それに対比するように描かれる、アメリカの大自然が美しい。これでしょ。西部劇はこうでなくちゃ。ロジャー・ディーキンスの撮影が本当に美しい。
そしてジェフ・ブリッジスがカッコいいんだわ。これこそおっさんのロールモデル。
コグバーンみたく、いざというときに自分の身を捨てて、行動できるヤツを本当に尊敬すべきなんだぜ。
自分の身は極めて安全である、日本の中流階級の一般人が、「挨拶をちゃんとする」とか、「優しい」とか、「毎日規則正しい生活をしてる」とか、「定職についてる」とか、「結婚してる」とか、「年収XXX万円」とか、「友達がXXX人いる」とか、「良いねがXXX個ついた」とか、そんなもん尊敬とは全っ然関係ねぇからな!笑。俺はそんなヤツ一切尊敬しねぇ!
こりゃまた完全にコーエンだね! トゥルーグリットとは何ぞやと。シブい。
こりゃまた完全にコーエンだね!
トゥルーグリットとは何ぞやと。シブい。
本物の勇気を持った女性の誕生
オリジナルは未鑑賞です。
様々な大人と厳しい環境の中で成長してゆく少女のイニシエーション・ストーリー。コーエン兄弟がどうこうというより、この時代に女性が活躍する話を書いたというのが一番のすごさじゃないんだろうか?
ライフル協会推奨作
西部劇の演出はどうして発展しないのか。
ヘイリー・スタインフェルドの下手糞な演技が、リアリティのない脚本と見事に絡み、転がり落ちている。
その古びた銃で、何時迄も仲良く撃ち殺し続けるがいい。
コーエン兄弟の西部劇
オリジナル版、原作とも未見。
彼女を「勝気で頭がいい」とみるか「生意気で小賢しい」とみるかでかなり印象は変わる。追う側3人がある種3角関係になっていて道中関係が変化していくのが面白い。
ならず者側も極悪人という感じではないのもいい。
悪くない
んだけど、・・・何か退屈な時間がずっと続いた映画という感想。
主人公の少女の演技が光っているのも印象に残った。
全てには代償が伴う
かっこいいしスタイリッシュ!
ヘイリースタインフェルドとコクバーン役のジェフブリッジフの演技が光る!町山さんも言っていたがこれはラブストーリーでもあるなと感じた。
とにかくいい映画!ウエスタン好きでなくても観やすいし観て欲しい!
まとまりのあるきれいな作品
まとまりのあるきれいな作品、という感じ。下品でちょいグロもあるわけだが、本質は純粋そのもの。プラス、展開はシンプルなので素直に楽しめる内容。
いいシーンはいくつかあるが、食べ物投げて的当てを微妙に長くダラダラやっているところなんかは、アホらしくていい。
でもやっぱりラスト前、馬が倒れるまで走るシーンは残酷でありながらとてもきれい。
まるで娘を助けるかのように
マティはコグバーンと永遠に一緒にいたいんだと。
良かったと思う
西部劇なんだけどロードムービーっぽくてバディ感もある感じです。
しかしながら好き嫌いは別れるというか、緊張感がないというか。敢えてそうしてるんだろうけど。
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