劇場公開日 2011年3月18日

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トゥルー・グリットのレビュー・感想・評価

全74件中、61~74件目を表示

4.5ともに旅してる気分で!

2011年4月11日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

興奮

ジョン・ウェインがアカデミー受賞した西部劇のリメイク。ジェフブリッジズがオスカーノミネートされた作品ってことで、詳しくはしらないで見に行きましたけど、面白かった。
父親を殺された薄幸の女子が、老ガンマンと旅をするっていう敵討ちの正義の映画化と思ったけど、ちょっとイメージは違ったみたいで、主人公のマティがものすごくしっかりしてて、おっさん相手にお金の交渉をしたり、一人で葬儀屋に泊まったりと、なかなかの肝の据わりよう(笑)
でもなんかかわいいんですよね。
コーエン兄弟らしいというか、思いだけの映画じゃなくてクスリと笑えるシーンも結構あって。
野宿しながら犯人を追うっていうのが、いかにも西部劇っぽいですが、女の子には厳しいなぁ。当時の女の子としては、本当に変わってるんだろうなって思いますが。
実はホーストレッキング好きなので、こういう旅にはちょっと憧れます。焚き火したり、星を見たり。。。とか余計なことを思いつつ(笑)
ジェフブリッジの演じるコグバーンは渋くていいですね、酔っ払ってふらふらしてる時は、大丈夫かこのおじさん、っていう感じなんですけど、敵と対峙したり、追跡のシーンはかっこよくて、憎めない。すごい印象的な役です。ノミネートも納得な感じ。
あと、事前に知らなかったんですけど、旅のパートナーになる、テキサスレンジャー役で、マットデイモンが出てます。相変わらず色んなところに出てますねぇこの人は(笑)
ぱっと見マットって分からなかったですけど、彼もなかなかいい感じの役どころでした。
いわゆる西部劇、後ろから撃たないとか、正面から闘いに挑むとか、古きよき時代っていう感じですね。予定調和な感じが結構好きです。(日本の時代劇とも通じる部分があります)
個人的に印象に残っているのはやはり最後の方、マティの愛馬で疾走するシーンですね。星とかすごくキレイ。
上映してから地震でなかなか見れなかったりしたので、あまり公開が長くないかもしれませんが、なかなかお勧めです。

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NAO

4.5現代風の西部劇

2011年4月9日
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泣ける

興奮

コーエン兄弟の作品で、出演者も実力派ばかりで米国では大ヒットした作品です。

銃撃戦の多い、いかにもヒーロー映画のようにしないところが、現代風でした。特に評価されるべき所はやはり、出演者達です。ヘイリー・スタインフェルドの演技には驚きました。殺された父親の遺品の銃を見るまで泣かず、一度も妥協する事無く周りの人を圧倒します。プライドの高いレンジャーを演じたマット・デイモンと酒のみの保安官を演じたジェフ・ブリッジスも素晴らかったです。最後をきれいごとで終わらせない所も良かったです。

個人的にはもう少しジョシュ・ブローリンを見たいと思いました。

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mad tank

3.5最後にうるっときた。

2011年4月9日
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鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

単純

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えりーの

3.5“命”というこの軽くて重い代物

2011年4月1日
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鑑賞方法:映画館

笑える

怖い

難しい

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浮遊きびなご

3.5「オスカーなんてクソ食らえだ!」そんな西部劇。それがコーエン兄弟。それでイイのだ

2011年4月1日
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鑑賞方法:映画館

興奮

腕っ節は強いものの飲んだくれで頼りない保安官(ジェフ・ブリッジス)と、何かと「訴えてやる!」とダチョウ倶楽部ばりに連呼しては強がる少女(ヘイリー・スタインフェルド)との毒舌たっぷりな皮肉の応酬に、故郷テキサスを馬鹿にされると怒り出すガンマン(マット・ディモン)が加わり、滑稽で人間臭い会話劇が膨らんでいく展開は、コーエン節が健在していて、ファンとして嬉しい。

往年の正統派西部劇を彷彿とさせる壮大な見応えとマカロニウェスタンのドライな暴力描写が融合された不思議な西部劇の味わいを放つ。

時代劇で例えるならば、昨年の『十三人の刺客』に似た衝撃と云えよう。

しかし、そのクセの強い味付け故に全キャラクターに感情移入できず、盛り上がるまでのエンジンが遅れたのが悔やまれる。

そういうツカミの失敗が審査での明暗に繋がったのかなと今作の後味の悪さにふと思った。

でも、人間なんざぁ簡単に死ぬし、簡単に殺し合うバカバカしい生き物。

だからこそ愛しい生き物とも云える。

そんな悲喜こもごもをエンターテイメントとして投げ抜く破壊力こそコーエン兄弟の持ち味なのだから、賞を逃したのもそれはそれで運命なのかもしれない。

では最後に短歌を一首

『荒野吠え じゃじゃ馬駆ける 銃の風 勇気撃ち抜く 天罰の穴』
by全竜

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全竜

3.0西部劇初体験

2011年4月1日
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泣ける

単純

そういえば西部劇は初めて見た。

コーエン兄弟監督作品っていうのも初めて見た。

よく『○○監督らしい云々…』って批評を見るけど、オイラそういうのよく解んないんだよね。

ジョン・ウーって聞くと『あら!アクションシーンが華麗ですか?』って思うくらいかな…。

ストーリーは、
使用人に父親を射殺された14歳の少女マティが、凄腕だけど飲んだくれのアウトロー保安官・コグバーンを雇って、犯人を探して荒野を行く…って追跡劇。

その間、コグバーンと因縁のある悪玉一味との対決があったり、

別口で犯人を追い続けてるテキサスレンジャーのラビーフとの出会い、確執とか心境の変化が描かれていて、普通に面白かったな。

主人公達の中でも特にマティいいね。
可愛いコちゃんじゃないけど、信念を持ってる姿ってやっぱりカッコいい。

知ってみたら随分なワルだった犯人を『他の罪なんかじゃなく、父親殺しの犯人として』連れ帰り裁きたいんだ!
と、必死に訴えるところとか、

旅の始まりの1シーンで、
ほんの一瞬の躊躇もなく川に飛び込む真っ直ぐさと、そのマティを乗せて濁流の中を進む愛馬ブラッキーの信頼関係っていうの?
出会ったばかりの彼らなのに『強い絆』みたいなモノを感じさせられたりね、

ちょいちょい感動しちゃって…またもウルウルポイントがヒトとずれてるオイラ。
1人で鼻すすってたけど、花粉症の季節だからごまかせてたかしらん?

西部劇はね、オイラ割と好きなタチかもしらん。
ただ、ストーリーっていうか大画面で見るデッカイ景色が気持ちいいのかな〜?

また機会があれば、西部劇観てみよう。

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オイラ

4.0ヘイリーちゃん、降参です。

2011年3月28日
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鑑賞方法:映画館

知的

14歳といえば、中学2年生か3年生。
中学時代の私なんて、高校進学のための勉強を少しと、クラブと、後はひたすら遊んでいたように思うな。

そんな年端もいかない少女が、父親の仇を討つ、なんてスゴイこと。

少女であることを活かして交渉したり、機転を利かせて行動したり、とても利発で好ましいマティ。

飲んだくれ保安官ルースターやテキサスレンジャーのラビーフに、真正面から立ち向かい、本気にさせ、大人の男達を奮い立たせ、復讐をする。
その様子は、とても好ましい。

ホントに、映画初主演なの??と思いたくなるほど、堂々としていて、時に可憐で、「降参しました」と言いたくなる。

せっかくの悪役のジョシュ・ブローリン、もっと悪く活躍?!して欲しかったな~。

ただ、難を言えば、母親が頼りなくて、弟が小さくても、残された家族で生きていかなくてはならないにしても、それだけではなく、マティが復讐を誓うまでの、心の動きをもっと見せて欲しかった。

3.5点か4点かで迷ったけれど、ヘイリーちゃんにプラス0.5点で、4点にしました。

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りりー

4.5トルー・グリッド、懐かしの映画作り、

2011年3月25日
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鑑賞方法:映画館

単純

コーエン兄弟もスピルバーグも軽い西部劇が目標だったのだろう。ハサウェイ監督の「勇気ある追跡」のリメークだが肩が凝らず楽しめる彼らの遊び映画だろう。バックミュージックがケンタッキー・ホーム的な故郷調なのも、この映画の基調を表している。ジョンフォードが観たら「西部劇は俺の方が上だな」と云うかもしれないが、山小屋でのルースター、ラビーフ対4人組の打ち合いシーン等は俯瞰が効いて達者な西部劇画像だった。昔の作家はコメデーと悲劇は表裏一体と云ったが、現代のコーエン兄弟はコメデーとサスペンスは表裏一体と云うかも知れない。
        宋3世

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宋3世

4.5ウェスタンいいわぁ~♪

2011年3月22日
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鑑賞方法:映画館

興奮

3月19日、新宿武蔵野館にて鑑賞。公開初日ということもあり結構な客入りでした。
リメイク元は観た事ありませんでしたが
のっけの「処刑シーン」はコーエン兄弟っぽかったですね~。この時点で「観に来て良かった」と思いました。
内容はシンプルながらも決闘シーンなど興奮どころはしっかり押さえていて飽きさせません。主人公の女の子が話題にのぼっていましたが、この作品はマット・デイモンとジェフ・ブリッジズが素晴らしかったと個人的には思います。とりわけジェフ・ブリッジズはここんとこ出てる作品は全くハズレがありません。
絶品でございました。

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ゲオルゲ・ハジ

3.5一風変わった復讐譚

2011年3月21日
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鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

たった14歳の聡明で勇敢な女の子が、大の大人の男二人を牽引して父の仇を討つまでの、一風変わった珍道中?を回顧録で見せる、復讐譚であり西部劇の傑作!
と、説明すると聞こえがいいんですがww

まあ何というか、コーエン兄弟らしいというか…
「彼らのまだるっこしくて珍妙な味わいのノリは、自分はどうにも受け付けないわぁ」て人には全くハマらない映画だとは思います。
いや、スピルバーグ御大を製作総指揮に迎えてはいるので、それにしたってエンタメ色強めではあるんですけど。
微妙にテンポズラしたり、核心をひょいとスライドさせたりする、いつものコーエン節も、そこまで強めじゃないですし。

ただ、それを(苦手な要素として)差っ引いたとしても、この映画を魅力的にしているのが、14歳の少女マティを演じたヘイリー・スタインフェルドちゃんです。本当、彼女に尽きる。
この子、映画初出演っていうから驚きです。
啖呵の切り方が堂に入ってる!!
汗臭い野郎共を前にしても物怖じしない!!
ジェフ・ブリッジスもマット・デイモンもジョシュ・ブローリンも完全に彼女の引き立て役になってるしw
なんと、贅沢な俳優達を添え物にしているんだろうかw

うん、そうですねぇ。このノリに上手くライドできれば、きっと楽しめると思います。

一風変わった復讐譚でした。

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ロロ・トマシ

2.5ラスト30分以外“動きのない追跡”

2011年3月15日
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鑑賞方法:試写会

単純

正直言います。まともにウェスタンを観た事ありません。せいぜい「明日に向かって撃て」を1度観た程度です。はっきり言ってウェスタンファンではないのでしょうね。80年代、90年代あまりウェスタンはあまり製作されませんでしたしあまり知識がありません。この作品について知ってることは「勇気ある追跡」と言う作品のリメイクでジョン ウェーンがアカデミー賞・主演男優賞を受賞したという事くらいです。そして、私がこの作品に興味を持ったのはアカデミー賞作品賞候補であるという事とあのコーエン兄弟が監督を務めるという事だけでした。結果ラスト30分の時点である人が出てくるまでとても退屈しました。本当にこれがコーエン兄弟の作品なのかを疑ってしまうほどでした。そんな作品となっています。

チェイニ-という男に父親を殺されてしまった14歳のマティはコグバーンという男をたった50ドルで雇って、テキサスレンジャーのラビーフと共に追跡を開始します。

注目は撮影当時13歳だったヘイリー スタインフェルドの演技です。とにかく彼女の強さと弱さを使い分けた演技が見事です。しっかりしていてそうで緒戦は14歳の女の子です。それを完璧に表現しています。

しかし、見所はそんなところです。ラスト30分はまあまあよかったのですが、だからと言ってこれを名作と読んでいいのでしょうか?主演のジェフ ブリッジスも主演男優賞にノミネートされているようですが、私には「クレイジー ハート」での演技をただリサイクルしているようにしか思えません。悪役のチェイニーの登場もかなり強引ですし、欠点というか弱点だらけだと思います。はっきり言ってあのコーエン兄弟が作った作品とは思えません。

まあ、でも何だかんだ言って60年代の西部劇が好きな人は好きになると思います。ただ私がそうでないだけの話です。

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SAOSHIーTONY

3.0西部劇ってこんなもの?

2011年3月9日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

単純

寝られる

私は映画が大好き。
昔の映画もかなりみているほうだと思う。
が、西部劇は全くみていない。

今回観たのはアカデミー賞ノミネート作品だったので興味をもってみてみた。
でも、正直、私には西部劇はむかないようだ。
まず、主演の女の子があまりかわいくないし、どのキャラクタもあまり魅力を感じない。
ストーリーも単純で、ラストもこれっているの?というオチだった。
やはり、コーエン監督だからなのか?
西部劇もかなりみている母に「西部劇ってこんな感じ?」ときくと、「こんなもんよ。」
とのことだったので、私には西部劇はあわないのかもしれない。
ただ、ジェフ・ブリッジスはうまいな、とは思ったけれど。
ちなみに、「ノー・カントリー」はよかったと思うけれど。

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デルフィニューム

5.0まるでお伽話でも語るかのようなファンタジックな映像で、コーエン兄弟の演出の幅広さにびっくりしました。

2011年3月8日
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鑑賞方法:映画館

 西部劇は、米国の建国神話といっていいでしょう。ジョンーフォードは米国人の心の故郷として描き、セルジオーレオーネは悪と残酷の世界として描きだしました。片や『美化』。そして一方は『醜悪化』の収斂される世界。けれども今や、どちらもリアリティーを失ってしまっているのではないでしょうか。

 本作は、ジョンーウェインがオスカーを手にした名作「勇気ある追跡」(1909年)のリメーク。ジャンルとして消えた西部劇を、新鮮でリアルなドラマとしてよみがえらせのがコーエン兄弟監督。

 コーエン兄弟というと、まず思い浮かぶのは、『ファーゴ』や『ノーカントリー』の無慈悲に殺戮するシーン。ついで『バーン・アフター・リーディング』でのブラックユーモアをつい連想してしまいます。とにかく一癖も二癖もある映像が身上だけに、本作のような復讐劇であるなら、かなりシュールな展開を予想して、身構えて試写会に臨んだものです。

 話はほぼ同じですが、印象はオリジナルとかなり違っています。のっけからほのぼのとした音楽に、まるでお伽話でも語るかのようなファンタジックな映像。これまでの西部劇とは思えない演出で、主人公の父親が殺されるところが説明されていくのです。

 それもそのはずです。本作はオリジナルと違って、少女の目から復讐劇を描いているのです。しかも、その少女が老境を迎えたとき、昔を振り返って、自分の復讐のために、命をかけて助太刀してくれた二人の勇気ある西部の男たちを思い出すという体裁だったのです。だから、どことなく西部劇の荒々しいリアルティがデフォルメされて、男たちの心意気や優しさが滲む、ヒューマンストーリーっぽく見えてしまうのです。
 けれども、後述するようにちゃんと監督らしい残酷さや滑稽さは健在でした。

 さて無法者に父を殺された主人公のマティは、当時まだ14歳の少女でした。そんな彼女は、何とおませな女の子!法律の知識に巧みなマティは、口達者に父親が予約してあった新車のムスタングをキャンセルし、ついでに父親殺しの犯人チェイニーが奪っていった駿馬の、管理不行き届きによる弁償料を、管理会社からもぎ取ることに成功します。大人顔負けの弁舌でした。ここでちゃっかりと、助っ人の保安官を雇うギャラをマティは調達してしまうのでした。

 噂を頼りに真の勇気がある助っ人としてオファーしたのが、アイパッチが目につくコグバーン保安官でした。けれどもそいつは大酒飲みで、ホラ吹きに近い自信家。こんなおっちゃんが役立つのかと思いきや、銃の腕前は確かで、なかなか使える男だったのです。
 問題は、途中から助っ人として同行することになったラビーフとの相性。彼は誇り高いテキサス・レンジャー。保安官もレンジャーも、臆病なくせに虚勢を張って、いがみ合います。

 特にコグバーンは保安官として疑問です。正義漢ぶっている割に、平気で人を傷つけ、殺します。おまけに先住民の子供なんか見つけると、何度も蹴り倒してしまうのです。当時の差別感情でいえば、「当たり前」だったのでしょう。今の常識では考えられない正義漢ぶりでした。
 その残酷さや滑稽さは、コーエン兄弟がこれまでの作品で描いてきた人間像にも通じているのではないでしょうか。
 それでも3人は時に協力し、時に反発しながら荒野を旅します。
 その間に、画面に映し出されるのは、高い木からつるされた死体だったり、雪の中に突然現れる熊の毛皮をかぶった男だったり、荒涼としながら幻想的で美しい風景。少女の目線で映し出されていく荒野は、どこか異様に見えます。それは大人の世界を垣間見たという比喩でもあるでしょう。少女の真っすぐな目で、いがみ合うふたりの大人の姿は、どこまでも滑稽さに満ちていました。

 やがてコグバーンの余りの物言いに、キレたラビーフは別行動をとることになってしまいます。その結果、ラビーフは勝手に動いてしまい、コグバーンの立てたチェイニーの尾引だし作戦を台無しに。手下の跡をつけてチェイニーの居所に辿りつくはずだったのにを、すっかり手かがりを失ってしまうのです。ラビーフは強気にコグバーンには言い逃れするものの、マティには素直に詫びるところが印象的でした。そしてラビーフは、別れを告げてマティの元を去ることになります。でも、決して彼は諦めてはいなかったのです。一度約束したことは、銭金抜きにやり遂げるという誇り高き心情が、本作の魅力の所以といえそうです。

 手かがりを失って、諦めるしかないとコグバーンがマティに諭すシーンから、ぐんぐんストーリーは、反転していきます。
 圧巻は、やはりチェイニーの所属する、お尋ね者のネッドの一味との対決シーン。コグバーンがひとり馬に跨り、4人の敵を拳銃でなぎ倒していくシーンは、爽快です。もちろんラビーフも、自慢の狙撃の腕前を披露するばかりか、マティも大活躍します。
 けれども、本当の圧巻はこの銃撃戦ではなく、そのあと重傷を負ったマティを助けるべく、コグバーンが抱きかかえて、駆け抜けるシーンでした。星空のなかを、必死で走るコグバーンの姿にとても感動しました。

 終盤になんで男たちが報酬を受け取らず、マティの元から静かに消えたのか、劇中では気がつきませんでした。でも映画が終わってみて、その理由となるシーンをふと思い出したとき、男たちのプライドを重んじる粋な気持ちが見えてきて、そうなのか!とグッと感動がこみ上げてきたのです。
 重厚な西部劇を期待したムキには、ちょっと物足りなさも感じるかも知れません。でも本作が、コーエン兄弟監督のなかで一番のヒット作となった要因として、ふたりの男が。口癖のように、もう降りると文句を言いつつも、主人公の少女に命をかけて協力する姿に感動してしまうのですね。特に欧米の人は、男たちに騎士道精神を見つけて、多いに共感し、本作を支持したものと思われます。

 真の勇気ある人とは、名誉こそ大事であり、名誉を損なうくらいなら、金銭にはこだわらないという男たちの心意気。その勇気は、もちろんきれい事でなく、西部で生き残るための残酷さや滑稽さと、混然一体となっています。
 映像には、二人の保安官のその後は描かれませんでしたが、見返りを求めない潔さには、こんな男たちが確かにいたという実感が、しわじわと感動に変わっていったのです。

 それにしても、だみ声のコグバーンを演じたジェフ・ブリッジスは、アクの強い西部のオッサンぶりを良く表現していて、いかにもコーエン兄弟の主役に相応しい個性を放っていました。ハビエル・バルデムといい勝負でしたよ。

 哀愁を誘う音楽がグッドです。

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流山の小地蔵

3.5コーエン兄弟な空気

2011年1月8日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

難しい

コーエン兄弟監督の『ノー・カントリー』が好きな方には合うと思う 映画。 会話(セリフ)や立ち振る舞いは リズムがあるものの、内容は重く 独特の空気が流れています。 作品的には良いと思いますが、今回は個人的に趣味ではないということで、批評は少なめにします。

父親を殺された14歳の少女マッティは 犯人を追跡するため、隻眼の凄腕連邦保安官コグバーン(ブリッジス)を雇う。 だが、コグバーンは元泥棒で大酒飲みの 自堕落な男。 彼を信用できないマッティは コグバーンを一人で行かせずに同行、一緒に犯人を追うことになる(作品情報より抜粋)。

マッティを演じた ヘイリー・スタインフェルド。 大物子役 出現です! こんな14歳いたら恐いくらいのしゃべりで 大人たちを圧倒。 時々のぞかせる大人っぽい表情も お見逃しなく。

マッティに雇われる保安官コグバーンを演じた 去年のオスカー受賞俳優、ジェフ・ブリッジス。 …何言ってるのか、分かりません(要字幕)。 だらしないけど頼りになる保安官、シブいです。

マッティとコグバーンに同行する テキサスレンジャー・ラブーフを演じたマット・デイモン。 ちょっと外した感じのいい奴ってキャラは マットにピッタリだと思います (『オーシャンズ・シリーズ』のライナスもそうだったし)。 彼のテンガロハット、イケてました。

マッティの父を殺した犯人 トム・チェイニーを演じた、ジョシュ・ブローリン。 『ノー・カントリー』でも逃げてた彼、今回も逃げてます。 ちょい役です。

チェイニーと同行している悪党、ラッキー・ネドを演じた バリー・ペッパー。 クールな兵士やカメラマンなど、名わき役の彼。 イケメンなのに… 今回はヒゲもじゃの汚れオヤジ。。(涙)

西部劇を堪能すると思って観れば、納得のいく一本。 乗馬、銃(ライフル)の扱いに、どこまでも広がる荒野。 生きるか・死ぬか… さいごまでコーエン兄弟な空気、シブいです☆

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Blue