劇場公開日 2011年3月18日

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「復讐」トゥルー・グリット ミカエルさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0復讐

2023年2月7日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

この映画は、1969年に公開された「勇気ある追跡」という西部劇映画のリメイクで、その映画にはジョン・ウェインが主演していたと見る直前に知り、彼が念願のオスカーを受賞した作品であったと見た後に知りました。作品名の"トゥルーグリット”という意味が最初わかりませんでしたが、上映中のセリフの中で“真の勇気”と訳されていて、なるほどと思い、それを「勇気ある追跡」とうまい具合に訳した昔の映画のタイトルにセンスを感じました。
父親を殺され復讐を誓った14才の少女が、大酒のみだが、真の勇気を持つアイパッチをした連邦保安官を雇い、のちにテキサスレンジャーも加わり、壮絶な犯人追跡劇を繰り広げるというのがストーリーです。
私はこの映画から“仇討ち"というものを考えてみました。日本では、江戸時代は武士階級では慣習として公認されていて、禁止されたのは明治に入ってからだそうですが、今の世の中でも、殺人事件が起きた時、被害者の親族にマスコミがインタビューをすると、きまって「犯人に極刑を望む」といいます。その復讐という考え方は、表面的には人間の社会からなくなっていますが、人間の心情からは決してなくなるものではなく、古今東西の映画や芝居のテーマになっていることも多いことから、人間の永遠のテーマといえるでしょう。
コーエン兄弟の映画を見るのは「ファーゴ」「ノーカントリー」に続いて3作目ですが、前2作は理由もない殺人に次ぐ殺人で、最後はため息をついて終わるという状態でしたが、今回の映画は、殺人に対する動機づけはあるし、ラストは意外な展開で、私にとっては、女性というものを考えさせる、心に残るシーンでした。コーエン兄弟もマルくなったということでしょうか。

ミカエル