悪人のレビュー・感想・評価
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住みにくさ
日本は食事は美味しいし、色々と便利で清潔だし、だけどなんだか住みにくさを感じてしまう。その住みにくさの正体が作品を鑑賞して分かった気がしました。
生まれた土地から逃れられない感覚、無能だと思わされる後ろ向きな空気、自分の事よりも他人の事ばかり気にする感じ、一つの選択肢の中だけで生きる人達、他人をネタにして笑う文化。私は都市部にしか暮らした事がないのですが、地方だとこの傾向は更に強いと思います。祐一も光代もその限られた中で生きる人間であり、だからこそ追い詰められてしまったのだと、凄く真面目な人間なのではないかと感じました。
殺人や自殺率の高さなど、人を極端に追い詰める土壌が日本にある事を改めて突きつけられて、それが私自身理解できてしまうのでどうしようもない気持ちです。
田舎だから
田舎だからこうなってしまったんじゃないかな。この人たちは。
都会の孤独ももちろんあるけど、田舎の孤独が原因なんじゃないかな。
祐一のダサい金髪が哀しい。
下着姿の写メが哀しい。
岡田将生が演じるクズ大学生にゾクゾクきた。完璧なクズを演じる人を評価しちゃう傾向にある!
イカ刺し食べたい。
悪人は本当は、
『悪人』鑑賞
私の大好きな作品、
『怒り』の李相日監督の過去作。
ずっとずっと観たくて、
でも観るのを躊躇してしまっていた作品。
何故か分からないけど、
とんでもなく凄い作品のような気がして
怖いと感じていた自分がいたから、
李監督の演出に関しては
何度か観たり聴いたり読んだりしていて、
本物のお芝居を、
芝居じゃなく本物を
というか
その一本の芯みたいなものが凄く好みで
そして憧れでもありました。
簡潔に表すなら、
名作、いや迷作
といえば伝わるかな、
終始胸が苦しくて叫んでた。
内容や空気感、湿度が自分好みであったのはもちろん、キャストの熱量、技量、語彙が無くなる感覚でした、、。
こんな映画があって良いのか、
こんなお芝居をする人がいて良いのか。
どちらも良い意味で、です
全員が全員、
想像をはるかに超える芝居をしていて、
分からなくて、震えた
どの瞬間を切り取っても隙がない
表情や表現の変化が突然で
それはもう、追いつけないくらいでしたけど、
私の記憶としてずっと残ってくれるだろうな
と、いった感じです。
題名の、悪人。
この言葉だけを聞くと、
とっても軽く聞こえてしまうけれど
この物語はそう簡単に扱えるものではないと
私は感じました。
もっと深くてもっと苦しくてもっと痛い。
何故、
こんな苦しい物語を作ってしまったのか
作ってしまう
観てしまう
移入してしまう
結局は客観視しかできないそれでも
踏み込みたい気持ちがあるから
きっとどこまでも
はまってしまうんだろうと思います。
嗚咽になる程
愛おしくて残虐で
代わりなんて見つかるはずが無くて。
大切な人がいない人間が多すぎる
失うものがないから、強くなった気になる
いつだって傍観者で
それを突きつけてくるから悔しかった。
誰が本当の悪人、?
罪を犯した人、
その人を生んだ両親
それとも、その人を愛した人
世間
マスコミ
横目で知らないふりをした人
嘲笑った人
一緒に苦しんだ人
罪を犯した人が本当に悪人なの?
誰の立場に立てば正解で、
誰の味方をして
誰のせいにすれば正解だったのか
愛してしまったら悪人
共感してしまったら悪人
じゃあ知らないふりをしている人は、
悪人じゃないの?
責任を押し付けて吐き出す場所にして
暴力
ナイフ
刺さる言葉にしかならないし
真意なんて誰にもわからない
謝れば良いの
悔やめば良いの
自分を壊して、
誰かの苦しみを笑えば楽になりますか、
傷つくのが怖くて
自分は強い人間だって思い込むために
踏み込まずに外から暴言を吐いて守って
そんな世界は嫌だな
だからこそ
二人の、二人しかいない
透明で冷淡な世界を救ってあげて欲しかった。
できればあの時、鍵を掛けて
誰も入れない
踏み込む事ができない
騒音も雑音もない
紛れもなく綺麗な世界に
人間の醜さと美しさ
2回目を鑑賞し終えて、改めて良い映画だったと実感。
人間って性善説か性悪説か、昔から議論されるテーマではあるが、そもそも善悪の定義なんて現代で成されたもので、時代や国が変われば定義も変わる。他のレビューで悪人は殺人を犯した祐一に決まってる的な内容も散見されるが、作者が問うているのはそんな表面的な内容では無く、もっと本質的なものでしょう。
出会い系サイトで知り合った女にバカにされ衝動で人を殺めた男、その男から愛を受け取り庇う女、殺された女を理不尽な理由で人気の無い山中に車から蹴落とし置き去りにする大学生、殺された女の父親はその大学生に怒りの暴力を振るおうとし、殺した男を育てた祖母は詐欺に逢って現金を騙し取られ、殺人犯の身内だとしてその祖母を執拗に追い回すマスコミ群。
人間は多面的な生き物であり、虫も殺さないような一見穏やかな人でも、心の中では何人も殺しているかもしれない。が、実行しなければ罪に問われる事は無い。誰しも大切な誰かを愛する心を持ち、同時に誰かに殺したい程の怒りを持つ事だってある。これは主人公の祐一と同質であり、実行したかしないかの差でしかない。もちろんその2つは天と地ほどの隔たりがあり、普通の感覚の持ち主であれば実行できない。実行した後に自身に降り掛かってくる現実が想像できるから。
殺人は罪だが、国家間の戦争になれば相手国の兵士を殺しても基本的には罪に問われない。平和を望む心を持つ人が、戦争に駆り出され否応無しに武器を持たされ、人を殺す事は悪なのか?愛する人が襲われそうになり、暴漢を殺したら悪なのか?愛する人が病気で苦しみもがいている時、もう楽にしてくれと懇願され実行するのは悪なのか?
鑑賞した後に、そんな事を色々と考えさせられた。
映像は暗く、静かで、美しく、どこまでも切ない。俳優陣の演技は皆素晴らしく中でも妻夫木聡と深津絵理の絡みは、胸が締め付けられるように切なくて涙が溢れてきた。特に後半、妻夫木聡が深津絵理の首を絞めるシーンは、愛する人を守る為に、唯一そんな方法しかなかった切なさに涙が止まらない印象的な場面だった。
故樹木希林や柄本明、岡田将生の演技も申し分なく、特に満島ひかりは完璧に尻軽女にしか見えなかった。
楽しい映画ではないが、深く考えさせられる、自分にとっては大切な素晴らしい作品の一つ。
タクシー運転手は無神経すぎ
出会い系サイトがまるでまともな男女が知り合えるような印象・・・本当は佳乃(浦島)と同感覚の女性が多いだろうし、男はやりたいだけが多いのだろう・・・
事件は増尾がドライブ中に、ニンニク臭いという原因で佳乃を人里離れた山の中で置き去りにしてしまい、約束をすっぽかされた祐一がその車を追跡していたために途方に暮れていた佳乃に会ったことが発端だ。途方に暮れていたはずなのに祐一を罵倒する佳乃。プライドだけは高いようだが、久留米の床屋の娘であり、保険外交員の仕事も父親に頼るくらいの女。そんな過失致死とも思える事件の後、偶然にも寂しい女光代がメールしてきたわけだ。
出会い系サイトであってもまじめな交際に発展する場合もある。かなりリアルな展開なところが痛い。会ってすぐにラブホに入った二人は真剣に愛し合うようになる・・・そこからは逃避行。光代はいったん自首しようとする祐一を引き留めたくらいだったのだ。
演技力はリアリティあふれ、母親代わりとして祐一を育てあげた祖母樹木希林が詐欺まがいの健康食品を買わされるなんてサブストーリーも考えさせられる場面だ。本当の悪人は誰なんだ?と見終わった人たちは議論するであろう濃い内容。被害者、加害者家族である祐一の祖母と床屋の主人(柄本明)はさておいて、本当はいい人なんだという性善説的なところはどの人物にも当てはまりそうにないのだが、唯一いい人だと感じたのはバスの運転手(モロ師岡)だ!一方で、タクシー運転手は無神経すぎて酷い(笑)
本当はいい人なのに・・・などと観客、読者を誘導させるテクニックなんてのが感じるが、極論をいうと、ヤクザ映画の登場人物はみないい人になってしまう点が痛い・・・キネ旬もなぜ1位に選んだのか・・・
人間って、
人間って、
一度生まれてしまうと終わりまで止められないんだと思った。
本人の生まれ持ってきた資質と、後々生育環境から影響を受けて加味された部分と、両方含めて自覚の有無を問わず一生負って行かなけれはならない自分という存在。
あれだけ温かく素朴な理髪店の両親の元に生まれ育っても"満島ひかり"は誕生するし、
“樹木希林“がどれだけ大切に育てても孫は殺人犯になる。
「同じ国道を行き来するだけの人生」と呟いたのは"深津絵里“。この店員だけが運命を打破して生きようとしてたかも。
どうにもならない人生の哀しみ。それを突き放した目で描写する原作者。
そんな映画だった。
登場する若者たちはうちの子供たちと同世代なので、いろいろと他人事とは思えず、うなだれてエンドロールを見る。
救いはどこに?
登場人物全員がそれを探していたなぁ・・・
あと、撮影手法での感想-
ラストのカットで主人公の目をアップに迫るやり方、
「夢見るふたり」の松たか子。
「横道世之助」の吉高由里子。
そして今回の妻夫木聡。
安易な多用は監督の力不足=逃げにつながりかねないが、妻夫木の夕陽を見つめる顔のロングは、銘シーン。
(TSUTAYAにて、樹木希林追悼コーナーよりレンタル)
被害者の女にまったく同情出来ない
一番の悪人は殺された女だろ。レイプをでっち上げるとか騒がれれば、どんな男だってキレる。正直、殺されて当然と思ったわ。この救いのない結果の原因も、殺された女にあるし、その連鎖によって関わった人達が不幸になってしまう胸糞悪くなる映画。
悪人。 キャストがいい。みんなの演技力。 樹木希林の演技…切なかっ...
悪人。
キャストがいい。みんなの演技力。
樹木希林の演技…切なかった。
普段は優しい孫。側にいた、育てたおばあちゃんの気持ち考えるとつらいな。
満島ひかり演じる娘にも問題はあるが、タイミングや不運が重なって起きてしまった殺人。
陥りそうな深い闇
深い内容で10年後ぐらいにまた見ると考えが変わりそうな作品。
誰もが(自分含め)登場人物の誰かになりそうな現代人を描いている。
事実、見たあと考え出すとこの作品が離れずこびりついた。
自分も愛を求めてああなる可能性はないとも言えないし、人間の弱く繊細で悲しい部分がありありと現れているような作品だし、人間の真っ黒くて醜くやらしい部分もまじまじと見せられる作品でもあるのかなと
どういう視点から見るのかも評価や考えを変えさせるだろう。
柄本明のセリフは考えさせられたなという感じ
受賞で騒がれる前から見たかった作品。 深津絵里よりも妻夫木聡に最優...
受賞で騒がれる前から見たかった作品。
深津絵里よりも妻夫木聡に最優秀主演男優賞あげたいと思うほど。
出会い系で出会った女が殺される。
同じく出会い系で出会った女と逃亡生活する。
どんな出会いであれ、1つ1つの出会いを真剣に求めていた結果なのだろうか・・・。
殺人を犯した人を「悪人」というならば、その一言だけでは片づけられない。富士山のように、その人の一側面であって、たまたまその殺人者ということが山の良く見える部分を占めているだけなのかもしれない。
殺された女。
殺された女の父親。
殺される女と直前まで一緒にいた大学生。
大した楽しみのない服屋の店員。
薬の悪徳業者。
誰が悪人!?となったら、それぞれに悪い定義があってそれによって順番付けしていく。
でも。
相対的に悪人がいるのではなくて、みんな絶対的に悪人とも思えてくる。
最後にガラスが割れることで、現実が現実として、悪が悪として浮きだって印象的。
「ノーボーイズ・ノークライ」でもそうだけど、妻夫木聡は家庭環境が複雑で影のある役がすごくはまっている。うつろなような、焦点が合っていないような、それでいてたまにすごい眼力がある。そんな役は彼しかいない。
役者さんはよいけど。。
何が言いたいのかがよくわかりませんでした。
悪人と言われる人は本当に悪人?というのがテーマだとすると。。
この映画では殺人を犯した妻夫木が「女に罵られて暴言吐かれたからカッとして殺した。」
も、罵った満島ひかりや蹴り捨てた岡田将生、もしくはマスコミの方が悪であるかのように書かれているように感じる。
満島ひかりも岡田将生も悪いが、妻夫木がもっとも悪い。どんなに追い詰められても人を殺して言い訳がない。
その上でどれだけ情状酌量の余地があるか、ということだと思うが、誰もが鬱屈した気分を持ったりするし、人付き合いで悩んだり、人を傷つけたりしたりがいたりするわけで。
犯罪というのは所謂線引きの話で、やったらアウト、手のがあるわけで、その手前はセーフ
セーフだけど傷つけたり酷いことはある、なんて日常感覚でわかり切ってること。
恋愛なんか振られて自殺なんてのもあるし。
「女に罵られて暴言吐かれたからカッとして殺した。」
アウトでしょ。同情の余地なんかない。
例えば冤罪着せられて、人生無茶苦茶になった後ならまだ同情の余地あるけど。
さらに言えば、岡田将生や満島ひかりにそういった裏側がまるで無いように描かれているように見える。
柄本明が「人のこと笑ってればいい」とか「大切な人はいる?」や「必死な人間を笑うな」などとテーマめいたなこと言うけど、それまで描いてきたことと矛盾して見える。
つまり、
『人付き合いが下手で「表面上」いわゆる上手く立ち回れない人間は必死にもがいてて鬱屈した何かを抱えており、なにか起こすと悪人とレッテル貼られるけど中身は悪人ではないかも?
そして人付き合いが上手で「表面上」いわゆる上手くやってる人間は必死にもがいたりしていなくて実は裏では悪人かも?』
という、「表面上」見えてる印象でレッテルを貼っているように見えて仕方ない。
(被害者遺族として相手の事情を推し量るなんて無理な話だけど、この映画ではそう言っているよに見える)
ということで、徹底してテーマらしきものに乗れませんでした。
良かった点は役者さんの演技は良かった。
特に満島ひかりさん!彼女の演技は見てて楽しくなるので好きです。
あと、樹木希林さんも楽しい、独特の演技がいい!
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