「復讐劇ではない、身を削らせて命の尊さを教える教育劇だ」告白(2010) 義理人情さんの映画レビュー(感想・評価)
復讐劇ではない、身を削らせて命の尊さを教える教育劇だ
今年上半期のなかで、最も良い出来栄えの作品に出合えた。
それは「告白」。
湊かなえの原作小説を実写化したものだが、中島哲也監督の天才肌な演出が
冴えまくり、「嫌われ松子の一生」や「下妻物語」で手がけた煌びやかな
様子をごっそりと割愛してしまっている。
松たか子だけでなく、岡田将生、木村佳乃。
こんな演技が出来たのか、と思わず唸ってしまう場面も数々。
岡田は内心の不安を明るさでひた隠そうとする若き教師を、
木村は物語が進んでいくに従って狂気を秘めていく殺人犯の母親役を、
実に繊細に演じている。
ストーリーを丹念に追っていけば、クライマックスの矛盾(というか謎)は
解消される。松たか子演じる森口は、結局のところ殺人犯にはなっていない。
しかし、そんなことはどうでもいい。
久し振りにエンドクレジットが流れるまでスクリーンに釘付けとなり、
筆舌に尽くしがたい余韻を残す作品に出合った。
今年の賞レース、本命が出現した。
なるほど~。すごく説得力ありますね。
お陰さまでスッキリしました。ありがとうございますm(_ _)m
原作の小説では、なーんてねの部分はありません。
ただ、既遂か未遂かに関しては触れてませんでした。
映画=未遂
小説=既遂
ってのが大方の認識なんだと思います。
これはやっぱり中島監督の演出なのでしょうか。
大衆が観る映像作品の最後の良心として、そのような猶予を設けたのか
それとも既遂だとしたら、それこそ救いようのない話になってしまう
からなのか。自分には分りません。
どちらにしても義理人情さんのタイトルである
身を削らせて命の尊さを教える教育劇だ、とまさにそう思いましたね。
寺尾聡さん主演の「さまよう刃」や先日TVでやってた「シバトラ」
の加藤雅也さんも、告白と共通した印象を抱きました。
義理人情さん、レスありがとうございました。
funifunimanさん、
コメントを有難うございました。
ラストの展開ですが、私なりの根拠は2つあります。
まず、体育館にセットされた爆弾を解除して母親の研究室へと持参したのは紛れもなく森口なわけです。森口に、解除された爆弾をもう一度タイマーをセットし直す専門的知識は皆無ですよね。
そして、携帯電話で「どうして関係のない人を巻き込むのですか?」と問いかけています。あのまま研究室で爆発してしまえば、紛れもなく多くの無関係の人を巻き添えにしてしまうわけで、森口の言葉に説得力に欠けてしまう。
以上2点から、犯人には大事な人を自分の手で失わせてしまったという“復讐”に見せかけることによって、猛省を促す手段を選んだという根拠になるのですが。
こんばんは。自分も今日、レイトショーで観てきました。
原作の方を先に読んでいたので、これをどのように実写化するのか
興味深くて見に行ってきました。
松たか子の最後の「なーんてね」が凄く気になっています。
原作とは切り離して考えて、あの松たか子の最後の一言だけでは
本当に既遂なのか未遂なのか確信が得られません。
義理人情さんのようにストーリーを丹念に追ってなかったのかも
知れません。
義理人情さんが、アレは未遂だったと感じたその理由をお聞かせ
寝返れば幸いです。宜しくお願いします。