劇場公開日 2009年11月14日

「刑事モノが得意のテレ朝ならもっと深くできたはず」ゼロの焦点 septakaさんの映画レビュー(感想・評価)

2.5刑事モノが得意のテレ朝ならもっと深くできたはず

2009年11月25日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

初めて「日劇」
という映画館で鑑賞。

入口前では
在日外国人参政権の演説が行われている
物々しい雰囲気の中、私にしては珍しく
道や建物内で迷うことなく、劇場へ入りました(苦笑)

しかし
この時点では、
まさか作品の冒頭に
たまたま初めて訪れた
この日劇がでてくるなんて、
そんな不思議な縁に気づくはずもありませんでした。

★彡     ★彡

う~ん、テレビ朝日。
これなら、2時間2夜連続ドラマと変わらないんじゃないかな・・・。

まずは、鑑賞直後に
感じたことを一気に記します。

①大好きな犬童監督
 映像にしても、音楽にしても、
 映画の域に到達していない気がしてなりませんでした。

 これなら、2時間2夜連続ドラマにしてしまったほうが、
 後半、あんな無理をして謎解きを急ぐ必要もありませんし、
 登場人物たちのバックボーンを、もっと掘り下げられた気がします。

 サスペンスもののわりには、ネタが甘い気もしました。
 謎解きよりも、戦後日本で、女性が生きていく艱難辛苦。
 戦争が引き起こす暗部。そちらに重点を置いたのかもしれません。

 ラストのクライマックスは、
 さすが、一気に盛り上げるのが上手いです!
 詳しくはネタバレになるので伏せますが、中谷さんの服を全身真っ白に
 したのも、ある意味が込められていると、解釈しましたが、正解かな??

②超豪華な女優の顔ぶれ
 他のレビュアーさんたちも書かれているとおり、
 広末さんと中谷さん。どっちが主役かわかりませんでした。

 ただ、
 登場人物の性格を考えると、

 中谷さん:アグレッシブ
 広末さん:ディフェンシブ

 この設定になりますので、広末さんのほうが主役っぽく
 目立ってしまうと、作品全体のバランスが崩れてしまいます。
 だから、中谷さんが主役っぽくなっているのが正解だと思いました。

 木村さんは、キャスティング時点では
 日本アカデミー最優秀主演女優賞を獲る前だったそうですが、
 『ぐるりのこと。』を犬童監督鑑賞し主演女優賞を獲ると確信。
 広末さん、中谷さんと互角にわたりあえると判断しオファーを出されたそうです。

 出番は中盤以降に集中していましたが、
 監督の期待に十分に応えられていました。

 それにしても、
 本当に薄幸な役が似合いますね。
 もちろん、褒め言葉ですが(苦笑)

★彡     ★彡

作品冒頭に白黒画像が流れます。
これは、伏線として用いられたのですが、
その後、カラー映像に切り替わります。

白黒画像の人々に表情を感じなかったのに、
カラーになった途端、急に華やぐんです。衣装、振る舞い、
CGで時代考証は考えられていましたが、どうも時代のズレ、
違和感がぬぐえませんでした。この作風なら、あえて終盤の
中谷美紀さん最大の見せ場まで、白黒で行ききって、そこで
カラーに切り換えるという手法もありだったなかな、なんて気もしました。
どこかの作品で使われている手法ですけどね(苦笑)

今回、サービスデーに
1,000円で鑑賞しました。
1,800円は、ちょっと高いかもしれません。

韓国、名古屋、金沢、雪降る極寒の夜。
撮影はとても大変だったと察しますが、
力を注ぐ焦点が、少しずつずれてしまったのではないでしょうか。

昇天してしまうほどの酷さではありませんでしたが、
笑点なら、9枚ある座布団のうち5枚は持っていかれるでしょう。

よって評価は「B-」にしておきます。

septaka