パンドラの匣のレビュー・感想・評価
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面白がる気満々で見たが。
奇異な時代、環境、集団。
そうでしたか、だけかな。
純情らしかった時代をその無根拠な印象のまま語った感。
面白がる気満々で見たが、無理には面白がれぬ。
太宰治の世界
太宰治っぽい世界観をうまく映像化している。ちょっと現実離れしてて、妖艶な感じ。やっとるか、やっとるぞ、がんばれよ、ようしきた、というお決まりの掛け声、変なあだ名、患者は男、看護師は女。音楽もどこかモダン。話はくだらない、というかどうでもいいとるに足らない男女のものだけど、その世界観に引き込まれた感じ。思えばこの作品で初めて染谷将太を認識してすごーく好きになったんだよなぁ。
久々に心からいい映画見た!
何より曲がよかった!
画面の色合いにとても合っていてきゅんとした!
俳優陣の演じるそれぞれのキャラクターが一人ひとり愛しく思えた。
単調なストーリーにも関わらず飽きずに見いってしまった。とってもいい映画でした。
不思議な映画
正直、楽しむ映画ではなかった。
ずっと日常がスラスラと進む物語。
しかし隔離施設という重い設定の中で、妙に明るい登場人物達というギャップに心地よい違和感を感じる。が、時にその現実の厳しさも交わる、なにか不思議な映画だった。
染谷さんの演技はやはりずば抜けてよかった。物語のオチもよかったが、なにかもうひとつ欲しいというきもちにさせられる。
同じ太宰治著作でも『ヴィヨンの妻』とは大違いだな
こりゃ、イイ映画だ
実に、抑えのきいた演出をされる監督さんだなぁ
『ヴィヨンの妻』を
先に鑑賞していました。
同じ太宰治さんですし、
重い内容になるのを覚悟していたのですが、
リーフレットどおり、とてもポップな内容でした。
原作は未読ですが、
ここまでポップにしてしまうと、
現実感が薄れ、コメディになってしまいそうなのですが、
そうなってしまわないところに、監督の技量を感じました。
生死、恋愛、自我意識。
押さえる所はキッチリ押さえてある。
ストーリーの組み立ても、
観客に息抜きをさせるための
タイミングもよく全く飽きが来ない。
当然、スクリーンから眼を離させない。
晴、雨。
昼、夜。
畑、小さい池。
そして、人形。
スクリーンのいたるところに
暗示、メッセージが隠されている。
特に、闇夜を照らす光の使い方には感嘆させられた。
また、終盤の人形を用いた恋心の表現からは、たった
数秒の行為なのに、女性から男性への一途で切ない心情が
ヒシヒシと伝わってきて、思わず胸を締めつけられてしまった。
ラストの展開にも驚いた。
まさか、ああなるとは、
選択肢の中のひとつではあるが、
わたしにとっては、意外な結末だった。
◇ ◇
主演の染谷将太くん。
オーディションで選ばれたそうですが、
演技よりも、むしろナレーションの上手さに感心しました。
朴訥とした語り口、
決して簡単じゃないはずですから。
一番驚いたのは、川上未映子さん。
芥川賞作家として有名。帰宅後知ったのですが、
なんとこれが映画初出演どころか、演技そのものが初めてだったんですね。
とても、信じられません。
セリフだけじゃなく、細かい仕草、
表情演技。すべてが、完璧でした。
あなたでなければ、竹さんは演じられません!!
★彡 ★彡
菊池さんが担当をされた
音楽も、とても良かったです。
作品に、別の彩を加えてくれていました。
ただ、気になることが。
パンドラの匣は誰の物が
開けられたのでしょうか?
それとも、開けられなかったのでしょうか??
希望が見える
今年は太宰治生誕100周年ということで、
多くの作品が映画化さますが、実は原作を未読の私には、少し難しい内容ではないか?と思っての鑑賞でした。
しかしそんな不安は一気に払拭される内容。
この映画のメイン舞台である健康道場という結核療養所は、
世間から見れば、隔離された世界です。しかしそのような中でも
主人公の青年「ひばり」が自分の生きがいを見つけることができる希望の世界なのです。
療養所に入所した利助は、そこで出会う人々との交流を通じ「これからの時代の新しい男」
になるという目標見つけ、元気を取り戻していく姿。現代でも通用する生き様のように感じました。
又個性的なこの健康道場への入所患者や、看護師達との日々の会話も、シュールでコミカルでユーモア
たっぷりです。笑える箇所も多く、決して重い、暗い内容だけではありません。
看護師のマア坊役の仲里依紗さん、竹さん役の川上未映子もとてもインパクトがありました。
原作当時の雰囲気を感じさせる凝ったつくり、映像の撮り方、台詞も独特な世界観を演出しており
ある意味古臭くなく、おしゃれな映画のつくりになっています。
音楽も菊地成孔さんということで、映画のながれをさらに盛り上げているように感じました。
人間誰しも死に向きあうことがいずれはありますが、希望という道をみつけたい、と思える作品でした。
雰囲気ものと思ってみた
キャストや音楽はよかったと感じますが、随分雰囲気を大切にしたものだと思います。
作家の川上未映子さんについては、役回りこそ好きであれ、しかしながら中途半端な演技には嫌悪感を感じました。
懐かしい
「懐かしい」わけではない。そんな年齢では無いので。
ただ、懐かしく感じた。
結核により戦争召集を免れ日々知ることを考えている主人公のひばり、終戦を機会に生きることを決意し、結核療養所である「健康道場」へ入所。
ここで、巻き起こる婦長竹さん・看護婦マア坊と友人つくしとの療養生活と恋愛模様を描いた映画。個人的には竹さんよりマア坊なのだが、ラストがちょっと見えてしまう。
匣のなかの光るものはなんだ!
いままでのサナトリウム
を題材にしたものとは明らかに違う
(本作では、『健康道場』の名称)
それは死に接する悲しさがウリだった
(その世界はその世界で好きなのですが)
しかし本作は死や、病気がすぐそばにあるのに、
明るい、かたくなな前向きさ、日なたに向かっていく
活力あるポップの表現
これが、太宰治の『軽み』らしい。
小説が映画の原作なのでコトバが重要で
力を持つのはあたりまえだが
これほど、コトバや音にこだわった映画は始めて
文章のうつくしさ、音の響きの綺麗さを
ジャズと合わせて耳に届ける
ナレーションによる音とコトバ
韻を踏むセリフ、あいさつの繰り返しの効果
あるいは、急展開する押入れでの
コトバの氾濫と、音楽のテンポアップ
動揺、期待が表現された部分は
全編のなかでも異彩を放ち印象に残った。
配役は
なよっと見えて気概ある骨太さを好演し
新しい男にふさわしい 染谷将太
小悪魔風予測不能、まわりを元気にする茶目っ気ある 仲里依紗
クールなモダンボーイ 窪塚洋介
おんなっぷりと心に強く芯のあるアネゴ肌 川上未映子
他にも、チャーミングな魅力ある健康道場の面々、適材適所好適
なぞを残すは匣の外の黒子
それから、付け加えたいのが、
ポスターと、チラシ、宣伝材のアートの美しさ
紙質を吟味するのは、当たり前で
緑青色グラデーションの出し方、切り替え、配置のバランスが絶妙
今年一番、きれいなポスター、チラシだ。
映画予告も、本編と同じ、コトバが韻を踏む醍醐味
早いカット割りと、映像の不思議さ。
本編を見に行きたくなる
派手な映像でなくても人を惹きつける好例。
コトバ、音、美術、役者、映像すべてに凝り
独特の世界観をみせてくれた優秀作品です。
過去の何かに似ているようで似ていないアバンギャルド文芸映画
原作に忠実であるかどうかなど何の判断基準にもならないと思っている。だけど、この映画は原作にかなり忠実でありながら、とても独創的でエレガントなのが憎たらしいくらいいい。
何よりキャスト。仲里依紗と窪塚洋介のキラキラした感じは出色。川上未映子と主人公の染谷将太に代役は想像つかない。
隔離世界の異色学園ドラマとして、とても美しい。
主題曲の余韻にずっと浸っていたい感じ。
心地好い名文と心地好い音楽が胸に響いて。
これは素晴らしい、秀作です。
太宰治の原作のフレーズをアフレコしながら、物語は展開し、
心地好い名文と心地好い音楽が響きます。
そもそもこの小説は、主人公ひばりが友人つくしに書いた手紙という形式で話は展開していきます。
それを見事に映像化しています。
映画が小説に寄り添い、とても良い効果を発揮した作品だと思います。
そして、キャスティングが素晴らしい味を出しています。
どの役もハマっていて、作品の世界へ引き込まれて行きます。
芥川賞作家・川上未映子さんも(あまり台詞はないから成り立った今回の役柄かもしれないけれど)スクリーン負けしない女優っぷりでした。
凛とした佇まいは強く、儚く、美しく。
良い作品でした。
秋のひと時に是非この映画、オススメします。
2009年の今、映像化しても全く色褪ることの無い、太宰治の原作の素晴らしさに改めて感動致しました。
P.S:もしかしたら太宰治の熱烈なファンは映像化は厭なのかもしれない。
僕は映画と小説は別物と捉えているので違和感無く観れました。
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