劇場公開日 2009年10月10日

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「希望が見える」パンドラの匣 kokkoさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5希望が見える

2009年10月28日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

笑える

今年は太宰治生誕100周年ということで、
多くの作品が映画化さますが、実は原作を未読の私には、少し難しい内容ではないか?と思っての鑑賞でした。
しかしそんな不安は一気に払拭される内容。
この映画のメイン舞台である健康道場という結核療養所は、
世間から見れば、隔離された世界です。しかしそのような中でも
主人公の青年「ひばり」が自分の生きがいを見つけることができる希望の世界なのです。
療養所に入所した利助は、そこで出会う人々との交流を通じ「これからの時代の新しい男」
になるという目標見つけ、元気を取り戻していく姿。現代でも通用する生き様のように感じました。
又個性的なこの健康道場への入所患者や、看護師達との日々の会話も、シュールでコミカルでユーモア
たっぷりです。笑える箇所も多く、決して重い、暗い内容だけではありません。
看護師のマア坊役の仲里依紗さん、竹さん役の川上未映子もとてもインパクトがありました。
原作当時の雰囲気を感じさせる凝ったつくり、映像の撮り方、台詞も独特な世界観を演出しており
ある意味古臭くなく、おしゃれな映画のつくりになっています。
音楽も菊地成孔さんということで、映画のながれをさらに盛り上げているように感じました。
人間誰しも死に向きあうことがいずれはありますが、希望という道をみつけたい、と思える作品でした。

kokko