劇場公開日 2010年3月12日

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シャーロック・ホームズ : インタビュー

2010年3月10日更新

名探偵シャーロック・ホームズの陰にかくれたパートナーという従来のイメージを破り、ホームズと対等な相棒として、まったく新しいジョン・H・ワトソンのイメージを作り上げたジュード・ロウロバート・ダウニー・Jr.とともに初めてのバディ・ムービーに挑んだジュードに、出演を決めた理由や役づくり、ダウニー・Jr.との共演について聞いた。(取材・文:サトウムツオ)

ジュード・ロウ インタビュー
「ロバートのような天才と一緒に仕事が出来たのはとてもラッキーだった」

「誰もやったことがない部分を掘り下げるプロセスがとても楽しかった」と語るジュード・ロウ
「誰もやったことがない部分を掘り下げるプロセスがとても楽しかった」と語るジュード・ロウ

──名探偵シャーロック・ホームズの相棒であるジョン・ワトソン博士を演じることにした決め手は何でしたか?

「僕が演じたワトソンはとてもファニーでおかしなキャラクターだったからだよ(笑)。独創的な脚本だけど、アーサー・コナン・ドイルの原作(映画の原作は、それを翻案したグラフィックノベル)にも非常に忠実だった。ロバート・ダウニー・Jr.も僕も、世界中のシャーロッキアンが満足するするようなホームズ=ワトソン・コンビを忠実に演じたかったのはもちろん、誰も踏み込んでいないような領域にも踏み込んでみたいと思ったんだ。アクションもあるし、格闘シーンも多い。

僕は原作のファンになってしまったけど、シャーロック・ホームズ・シリーズが築いてきた歴史がとても好きだね。おまけに、テンションの高い映像を撮るのがうまいガイ・リッチーがメガホンを取ることも大きかった。彼はドラマを動的にすることに長けている。彼の過去作品を見ると、『今風で、ストリート系だ』と、簡単に枠にはめてしまいがちだけど、そのエネルギーと知性でもって時代モノを作らせると見事にうまくいくんだよ」

本作ではホームズが事件を解く上で 欠かせない相棒として描かれる
本作ではホームズが事件を解く上で 欠かせない相棒として描かれる

──原作にはどのようにあたって、ワトソン博士像をつくったのですか?

「コナン・ドイルのオリジナル原作を読み返してみて、ワトソンのキャラクターについて、誰もやったことがない部分がたくさんあったから、そこを掘り下げるプロセスがとても楽しかった。彼は軍隊で厳しい訓練を受けた元軍人。見てのとおりプロらしく、服装もお堅い感じだが、悪党たちとの危険な戦いも、自ら進んでホームズと一緒に挑む。もちろんホームズのほうが頭脳明晰な“超人”役だが、ワトソンもホームズの陰に隠れることなく、彼の対照的な存在の相棒として描かれている。ワトソンも頭がキレるし、ホームズが事件を解く上では欠かせないパートナーなんだ」

──そのワトソン像を具体的に説明していただけますか?

「ホームズとワトソンはものすごく相性がいい部分もあれば、相性が悪い部分もある。一緒にいるのがたまらなく苦痛という時もあるのに、お互いが存在していないと生きていけない。これも映画の大事なテーマだと思う。ワトソンは結婚して、医者としてきちんと仕事をして、普通の生活を送りたいと思っている。ところが相棒はいろんなものを爆発させたり、銃をバンバン撃ったり、火事騒ぎを起こしたりしてしまう。でもワトソンは、きっとホームズが引きこんでくる謎めいた世界への冒険が、本当は好きでたまらないんだろうね。それがなくなると、かえって寂しいのかもしれない。いい相棒ってそういうものだし、ワトソンは自分でもそれは分かっているんだろうね」

気分は「明日に向って撃て!」 のブッチとサンダンス?
気分は「明日に向って撃て!」 のブッチとサンダンス?

──そういう意味で、痛快なバディ・ムービーであるともいえます。撮影前に参考にしたコメディ映画やアクション映画はありましたか?

「あるよ。『明日に向って撃て!』(1969年のポール・ニューマンロバート・レッドフォード共演の西部劇)や『おかしな二人』(1968年のジャック・レモンウォルター・マッソー共演のコメディ)かな。2人組の当意即妙なコミカルなムードを学んだよ」

──相手役のロバート・ダウニー・Jr.は「チャーリー」で英国人チャップリンを演じたこともある名優ですね。彼の英国なまりや身ぶりはどうでしたか? 彼とともに演技していて、驚嘆したような瞬間とかありましたか?

「彼とのかけあいのシーンで、リハーサルから本番にかけて、彼は演技をするたびに変化をつけてくるんだよね(笑)。ホームズらしいしゃべり方も、しぐさも完璧だった。まるで無尽蔵な演技の引き出しを持っているかのように、いろんな演技をしてくるんだ。演技の天才だった。僕たちはすぐに打ち解けた。2人とも本当にいいものが作りたかったので、お互いにプレッシャーをかけあったり、率直に意見交換した。魔法のようにうまくいくこともあった。彼のような天才と一緒に仕事が出来たのはとてもラッキーだった」

続編にも期待!
続編にも期待!

──「リプリー」や「クローサー」のようにミステリアスな役が似合いますが、今度はアクションシーンが満載です。映画に備えてトレーニングとかこなしたのですか?

「練習、練習、練習の連続で、僕は映画にフィットするように努めただけだよ。少々たいへんだったが、ワトソン役のトレーニングは楽しかったよ」

──オープニングから、ハイスピードカメラ(スローモーション)が駆使されたりして、ガイ・リッチー監督らしい映像が随所に出ています。彼の出来上がった映像をご覧になって驚嘆された部分はありますか?

「とてつもなく大きな予算のフランチャイズ・ムービーだけれど、ガイは僕らをとてもリラックスさせていて、そのムードがものすごくテンポのいい映像のはしばしからにじみ出ているのは素晴らしいことだね。ガイは、コナン・ドイルが書いたホームズの物語のさまざまな紆余曲折や独特の頭脳戦、さらには科学やサスペンスまで盛り込み、ハラハラするアクション映画を作り上げて、さらに斬新な映像でものにしている。よりエネルギッシュにして、観客がそのハラハラを体感できるものにしていると思うんだ」

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