オーストラリア

劇場公開日:

オーストラリア

解説

「ロミオ&ジュリエット」「ムーラン・ルージュ」のバズ・ラーマン監督が自身の母国オーストラリアの歴史を背景に描いたアドベンチャーロマンス。同じくオーストラリア出身のニコール・キッドマンとヒュー・ジャックマンをキャストに迎え、イギリス人貴族の女性と粗野なカウボーイが繰り広げる苦難の旅と情熱的な愛の行方を描く。

第2次世界大戦直前のオーストラリア。1年も帰ってこない夫を訪ねるためロンドンからはるばるやって来た英国貴族サラは、ようやくたどり着いた夫の領地で、彼が何者かに殺害されてしまったことを知る。夫が遺した土地と財産を守るには、1500頭の牛を遠く離れたダーウィンまで売りに行くしかない。サラは現地で知り合ったカウボーイのドローバーの協力を得て、牛の大群を引き連れて過酷な土地を横断する旅に出るが……。

2023年には、本作のために撮影された膨大な量のフィルムを基にドラマシリーズとして再構築した「ファラウェイ・ダウンズ」が製作された。

2008年製作/165分/アメリカ・オーストラリア合作
原題または英題:Australia
配給:20世紀フォックス映画
劇場公開日:2009年2月28日

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(C)2008 TWENTIETH CENTURY FOX

映画レビュー

4.5盗まれた世代をピックアップした芸術作品

2024年9月3日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

悲しい

興奮

幸せ

今作は物語であり、ノンフィクションではない。
オーストラリアの景色も、零戦や船のディテールも、当時の人々の服装も何もかも全て拘った映像。
リアルさを追求し、静寂も含め音にも徹底的に拘っている。
しかし、実際の人物、団体、出来事とは関係ない。

今作の見どころは人の心の変化、立場の変化、世界の変化。
すぐに急に変わるものと、時間をかけてようやく変わるものを丁寧に描いている。

空から神の使いのように現れた大日本帝国軍の戦闘機が、白い悪魔のようにも見えるが、結果的にサラ・アシュレイ(ニコール・キッドマン)とナラにとっては奇跡的な魔法のような効果をもたらし、さらに悪の支配を終わらせ、世界を良い方向に変化させていて面白い。

二部構成(前半は牛を回収する西部劇で、後半は別れと再会の戦争映画)で本編166分と長尺だが、面白くて繰り返し視聴した。
迫力満点なので大画面での視聴をおすすめしたい。

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Don-chan

2.0まさかの日本軍

2023年12月31日
PCから投稿
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プライア

3.5地平線の見える乾季の大平原。 地響きを立てて疾走する牛馬の群れ。 過酷な自然を相手の人の営み・・

2022年12月23日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

悲しい

楽しい

興奮

いい映画です。大地の匂いがするさわやかな作品でした。

歌声は通じる。歌声は願いをかなえる。

オーストラリアの先住民アボリジニの人間復活を祈る鎮魂の祈り。
地平線の見える乾季の大平原。
地響きを立てて疾走する牛馬の群れ。
過酷な自然を相手の人の営み・・
カントリーアンドウエスタンのメロディーに乗って
繰り広げられる大地の歌。
この映画は赤い大地の西部劇です。

カメラワークが美しい。
アボリジニのハーフ・ナラ少年(ブランドン・ウォルターズ)が
亡くなった母親に抱きついて泣きじゃくる
高い水槽の俯瞰シーンがことのほか美しい。

クレーンがまっすぐ上空にカメラを引いて行くと
せわしなく走る家人や去って行くジープ。
やがて気の遠くなるような果てしない地平線が
少年の無念を歌い上げる。

そのナラ少年の大きな瞳が印象的な
アボリジニの神秘的な人間性がこの映画のテーマかもしれないが、

英国からこの地で農地を営む夫を訪ねてきた女性
サラ(ニコール・キッドマン)の様変わりようはどうだろう。
気が強く、細くて背の高いイギリスの女性が雇ったカウボーイ、
ドローヴァーに恋してから艶っぽく変身して行くのは、
キッドマンのこの映画に込める思いと彼女自身の成長なのでしょう。

そして乾季になったら野生馬を求めてふらりと居なくなるカウボーイの
ヒュー・ジャックマンが「大いなる西部」のグレゴリー・ぺックにそっくりだから、
いやがうえにも西部劇になるのが嬉しい。

物語はロバート・ゴダードの大河ミステリーを観るよう感動的な物語。
ネタばれを一つだけ許してもらえるなら、
崖に向かって狂ったように暴走する牛の群れの
前に立ちはだかるナラ少年の祈りの歌が
切迫した緊張感と共にが涙をそそりました。

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ezu

4.0魔法の国オーストラリア

2021年7月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 「私だって魔法くらい使えるわよ」「俺だって鉄の爪が生えてくるわい」という会話があったかどうかは知らないが、『オズの魔法使』とそのテーマ曲がふんだんに盛り込まれていたのは嬉しいことです。特に、「虹の彼方に」の旋律に孤児たちの賛美歌が重なる音楽にはふるえがくるくらい美しい使われ方。

 今作の主演女優ニコール・キッドマンが義援金を募っていた今年2月のオーストラリア山火事のニュースは記憶に新しいところですが、美しい自然の裏側で苛酷なまでに乾燥した大地であることも伝わってきました。洗車するにも水を使っちゃいけない法律があるなど、日本では考えられないことです。

 アシュレイという名前によって記憶が甦り、オーストラリア版『風とと共に去りぬ』とも揶揄されるほどの戦時下ロマン大作ではありましたが、冒険モノの要素もあり、戦争や人種問題も絡んで見応えのある作品となっていました。意外にもアボリジニと白人との混血少年ナラのナレーションによって進められ、彼の祖父キング・ジョージの神秘的な姿が印象に残ります。その辺りの演出は若干チグハグな感じもするのですが、終盤には気にならなくなりました。

 何者かに夫が殺されたサラ・アシュレイ(キッドマン)の気高さと立ち直りの早さ。無骨で粗野なドローヴァー(ヒュー・ジャックマン)の華麗なる正装など、最悪な出会いから恋愛へと移行するストーリーよりファンを楽しませてくれるはず。そして、日本軍の侵攻というクライマックスでも胸が張り裂けそうになるほど主人公たちの安否が気になってしまいました。

 脇を固める俳優も素晴らしく、日本軍よりも憎たらしく感じるフレッチャー(デヴィッド・ウェンハム)の存在感はたいしたものです(槍に縁がある?)。他にも飲んだくれの会計士や行動を共にするアボリジニも印象的。ほとんど歌を歌わないアジア系シングソングも気になるところ。

 エンドロールで流れたドローヴァーのテーマはどこかで聴いたことある声とピアノ伴奏だと思ったら、やはりエルトン・ジョンだった。『オズの魔法使』を思い出させる「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」という曲もあることだし、ファラミアが履いていたワニ皮ブーツだって「クロコダイル・ロック」を思い出してしまう。ミュージカル映画に作りなおしたほうがよかったりして・・・

【2009年3月映画館にて】

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kossy