ひゃくはちのレビュー・感想・評価
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補欠のきもち
原作とは別物と思えば、あり。
3年間死ぬほどがんばって、それでも甲子園のグラウンドの土を踏めない選手がいること。
友情も踏みにじってしまえるほど、人が怪我することを願ってしまうほど、試合に出たいという、切望。
それでもどこかで、レギュラーにはどうやったってなれないと気付きながら、本番で仲間たちを和ませるために転ぶ練習をふる、ノブとまさと。
こんなに一生懸命な夏が、自分にもあったかな。
練習は嘘をつかない
練習は嘘をつかない。
ベンチ入り出来る者と、スタンドで応援するしか叶わないその差は大きい。
試合に参加出来なくては日頃の“成果”を発揮出来ないのだから。
仲の良い2人。毎年プロ野球に幾多の人材を送り込んでいる名門高校野球部に《一般受験》で入って来た。全国から集まって来た“プロ予備軍”がライバルだけに、2人は口にこそしないがレギュラーになれるとは考えてはいない。
寧ろ「負けたくない!」その気持ちだけが心の支えとなって日々、歯を食いしばり、共に励まし合いながら試合に参加出来るメンバー入りに向かって必死に命を掛ける。
自分をわきまえ“その時”に備え、どちらか“その役割”を担っても良い様に“その”特訓 を欠かさない。
その2人が…。
「お前たちレギュラーに俺達の気持ちが分かってたまるか!」
思わず叫ぶ青野君。
私も身に覚えがあるだけについつい共感してしまう。
他にも、若い新人女性記者役の市川由衣に言う。
「本当は、スタンドにいる奴らはレギュラーの誰でもいいから死んでくれないか…って思っているのを知って貰いたいんです」
強豪高になればなるほど、作品中に描かれているような練習中のピリピリ感は強く、なかなかリアルです。実際はもっとえげつない位の足の引っ張り合いは激しいのですけどね…。
出演者の中では青野君のキャラクターが兎に角良いですね。つい応援したくなります。
監督役の竹内力が、また如何にも居そうな監督で、カラオケで歌う「野風増」が雰囲気にマッチしてます(笑)
少ない場面ながら父親役の光石研が泣かせる役所。
この父親との電話のシーンから大事な甲子園の切符をかけた試合へ。
必死になって、必死になって得た“成果”を今こそ“発揮”する場面。
ちきしょう。泣かせやがってこの野郎!!
立花君がちょっと可哀相だったけどね(笑)
(2008月年9月10日テアトル新宿)
補欠にシャッター向けるのは、一人前の記者になってからだ
映画「ひゃくはち」(森義隆監督)から。
本来なら、高校野球補欠選手をテーマにした映画だから、
「グラウンドは生き残りをかけた戦場です」なんて台詞が
ピツタリになんだけれど、ちょっとつまらない。
また、映画タイトルの「ひゃくはち」にちなんで
「ボールの縫い目も108つなんだよなぁ」を選ぼうと思ったが、
「この縫い目が煩悩」という発想に、もうひとつピンとこない。
そこでメモしたフレーズを読み直したら、この台詞が光った。
高校野球を取材する立ち場の新聞記者、
先輩から新米への厳しいけれど、的確なアドバイス。
「補欠にシャッター向けるのは、一人前の記者になってからだ」
「気分でシャッター切りやがって・・」と吐き捨てる台詞も、
私には、なかなか気に入ってメモの対象となった。
ついつい、女性の新米記者に対して、優しくなりがちであるが、
まずは基本中の基本を教えるその姿勢が、心に響いた。
物語とはあまり関係ないが、この作品を思い出すなら、
この先輩のフレーズだな、と感じて気になる一言。
どんな世界も、まずは基本でみっちり鍛えること。
レギュラーと補欠の違いも、このあたりにありそうだな。
煩悩球児ばんざい!
いや~観て良かった!!!素晴らしくいい作品でした。
なかなか時間が合わなくて、ムリかなぁ。。やめるか。。
なんてグダグダ悩んで決めたんだけど、決めて良かった!!
高校球児の世界、私は全然分かんないのだけど^^;
この補欠部員たちの見事な生きざまに笑いながら号泣した。
…今作は、適材適所がそこかしこに活きている。
主人公が補欠部員。
このタイプの映画なら普通は「熱闘甲子園」みたいな感じで
汗と青春の爽やかスポ根ムービーとなりそうなものなのに、
敢えて万年補欠の二人を主役にし、せめてものベンチ入り!
を狙う設定になっているのが面白い。
じゃあこの二人が頑張ってレギュラー入り!甲子園に出場!
などという画期的な展開にもならない^^;そこが素晴らしい。
監督が竹内力。
このヒトしかいないでしょう…!!この役が出来るのは。
絶対にいそうなリアリティの下、見事にその責務を果たし、
強面全開のサンダー振り!しかも歌まで聴ける。これがイイ♪
夜遊び、女遊び、タバコ。
たぶん彼らが全部しちゃいけないこと(爆)なんだろうけど、
したことのない高校生がどこにいるんだ!?と言わんばかりの
バカっぷり。お金を出している親が観たら泣きそうな場面も、
普通の男の子が成長する過程には不可欠の通り道。
ここで逸れるから、また本道に戻れるのが男道。PG-12の世界。
スカウト、ドラフト、癒着関係。
絶対そうなんだろうな~(汗)がリアルに再現されている。
これがあるからスターが生まれるのは頷けるし、それらを
当の球児たちが納得づくで動いているのにも泣かされる(T_T)
間接的に「野球」が表現されていて、完全スポ根ドラマには
なっていないものの、彼らが怠けているのではないことは、
早朝からの練習風景や、そこかしこの場面で垣間見れる。
後半からの一ベンチを賭けた二人の闘いは、それまでの
二人のお気楽ぶりを吹き飛ばすかのように壮絶で見応え十分。
補欠には補欠の意地がある!!
その底意地を、ひとつはベンチ入りへの闘いで、
もうひとつは、かなり意外な形で見せられるのだけど(爆)
これこそが最高の「適材適所」であり、この映画の真骨頂。
こんなに笑えて泣ける野球映画は初めてだった。
ひゃくはち個の煩悩。ひゃくはち針の縫い目。
この映画に、ひゃくはち回の拍手を贈ります。ありがとう。。
あと、ひゃくはち館くらい拡大公開して欲しいですねぇ~。
(だいすき、ってこういうことだよね!分かるから嬉しい(^。^))
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