劇場公開日 2008年10月11日

  • 予告編を見る

僕らのミライへ逆回転 : インタビュー

2008年9月29日更新

エターナル・サンシャイン」でアカデミー賞脚本賞を受賞し、「ヒューマンネイチュア」「恋愛睡眠のすすめ」など、いずれもユニークなアイデアで観客を楽しませてくれるミシェル・ゴンドリー。最新作「僕らのミライへ逆回転」のPRのため来日した彼に、インタビューを行った。(取材・文:編集部)

ミシェル・ゴンドリー監督 インタビュー
「手作り感のある映画作りをやりたかったということなんだ」

撮影中のミシェル・ゴンドリー監督
撮影中のミシェル・ゴンドリー監督

いつも風変わりなアイデアをもとに映画作りに励むゴンドリー。そうしたアイデアは「寝ている間か、シャワーを浴びている間か、あるいは現実にあることを僕が誤解してしまったり、自分の中で全然違う捉え方をした時なんかに、面白い発想が生まれることがある」というが、「寝ている間」になんて、まさに「恋愛睡眠のすすめ」のまんま。彼はいつも自分が楽しいと思うことや、そうした妄想の数々を映画にしてしまう天才だ。そして、本作の主演として迎えたジャック・ブラックとは、好きなことに真っ直ぐな、良い意味での少年(ガキ)っぽさが共通している。

ジャック・ブラックの存在が 作品にパワーを与える
ジャック・ブラックの存在が 作品にパワーを与える

「ジャックが演じているジェリーは、自分のやっていることや自分の考えが正しいと思っている役。そこは僕と共通していると思う。自分が作っているものが、他とはちょっと違うということがあっても、それをすごく信じ込んでるんだ。今回ジャックを選んだのは、とてもファニーな人で、いま言われたように少年の心を持っているから。そうした彼のエネルギーが映画を盛り上げてくれると思ったし、それはコメディにとって最も重要なことなんだ」

今回は、数々のハリウッド映画をチープにリメイク(劇中ではスウェーデン製の映画=“スウェード版”と呼ばれる)し、それらが街で大評判になるという内容。これはまるで、リメイクや続編企画ばかりのハリウッドを皮肉っているようでもある。

「どちらかと言えば、“手作り感”というものへの愛情から作った映画なんだけど、確かに皮肉にもなっていると思う。ハリウッドのリメイクや続編モノはどんどんお金をかけるようになっているけど、それをめちゃくちゃ安くやったらどうなるだろうってね。でも、繰り返しになるけど、そうした“ハリウッドのアウトサイダー”的な意見を述べているのではなくて、自分が好きな、手作り感のある映画作りをやりたかったということなんだ」

今度はどんなアイデアで 楽しませてくれるのか?
今度はどんなアイデアで 楽しませてくれるのか?

劇中では「ラッシュアワー2」「ロボコップ」「ライオン・キング」などなど、新旧のハリウッドの有名大作が続々作り変えられていく。それらのタイトルを選んだ基準はどこに?

「基本的になるべく多くの人が知っているであろうものだ。また、『ライオン・キング』なんかは、この2人がアニメーションの作り方をまったく知らないのに、それを作ろうとした時どうやってやるかという解釈が、なるべく面白くなるようなものを選んだ。最初はフランス映画も1本入れようとしたんだけどね。2人が適当なフランス語をしゃべり、そこに英語の字幕が出るというね(笑)。最終的には残らなかったけど」

ゴンドリーが映画作りで一番面白いのは、「ストーリーを作るところ」だそうで、「仮に脚本が既にあるものに関わるとしても、自分が参加して直せるものがいい」と語る。「完成された脚本がプロデューサーから送られてくる場合もあるけど、そうした脚本というのは、プロデューサーがいろいろ変えてしまったりしているものも多い。そうしたものには興味が持てないんだ」

そんなオリジナルのストーリー作りへのこだわりを見せる彼は、「これから先も自分でオリジナルの脚本を書いていくか、ストーリーを作っていくことになると思う」とアイデアは尽きない様子。「小説を読んでインスピレーションが沸くものもあるので、そうしたものも、自分で書き直して脚本にして撮りたい。次回作はガールフレンド(『TOKYO!』でも共同脚本を担当したガブリエル・ベル)と一緒に考えた『The Return of the Ice Kids』という作品になる予定だよ」

今度はどんな奇想天外な世界を見せてくれるのか、今から楽しみだ。

“観る楽しさ”倍増する特集をチェック!

「僕らのミライへ逆回転」の作品トップへ