「想像力と記憶」潜水服は蝶の夢を見る mittyさんの映画レビュー(感想・評価)
想像力と記憶
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主人公が脳梗塞になる話というのは、多少知っていたのですが、病気の話は個人的には苦手で、観るのを避けているのですが、友人から「あの映画観た?」と聞かれたので、思い切って?観ました。
40代の働き盛りであったELLE誌の編集長は、ドライブ中に脳梗塞を起こし一命は取り留めたものの、全身麻痺の状態となったのですが、左目だけが動き、左目のまばたきの動きでコミュニケーションを取るようになる、という話です。実話に基づくものらしいです。重いテーマのはずなのに、なぜか、可愛そう感(悲壮感)が漂わず、まぶたでの会話とともに、進んで行く心の声(ジャン=ドミニク・ボービー)がどことなくユーモアがあり、左目だけをバチッと開いている姿もなんだか可愛らしい。やはり、監督の手腕だろうか。
意識と記憶は全くの正常で全身麻痺の状態は「閉じ込め症候群」というらしい。潜水服とはこの状態を意味しているんだと思います。左目の20万回のまばたきとそれを解釈する言語療法士の気の遠くなるようなやりとりによって、一冊の本を書き上げたという。情熱と執念を感じました。最後、テロップで本が出版された直後にボービーは亡くなったとあり、残念な気持ちになりましたが、決してお涙ちょうだい的な映画ではありません。(テロップでは出版の10日後に亡くなったとありますが、実際は2日後だったらしいです)
ラストの氷河が逆再生されるシーンは過去への復帰をあらわしたのか。言葉に表しにくいのですが、力強さを感じた映画でした。
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