G.I.ジョー : インタビュー
ジョシュ・ハートネット、木村拓哉と共演した「アイ・カム・ウィズ・ザ・レイン」に続き、本作でもデニス・クエイド、シエナ・ミラーら国際的なキャストとの共演となったイ・ビョンホン。初のハリウッド大作への出演を果たした彼に、本作への出演理由や撮影時の苦労などを聞いた。(取材・文:森山京子)
イ・ビョンホン インタビュー
「エッフェル塔を壊してしまって、もうパリには行けないと思った(笑)」
――「G.I.ジョー」に出たことで、アメリカでアクション俳優とみなされてしまうという心配はありませんでしたか?
「確かに『G.I.ジョー』は今まで僕がやってきた作品や目指してきた方向とは違う作品だと思う。でも、僕なりにこの映画に出たいと思った理由はあるんだ。僕は子供の頃から映画館という空間が大好きだった。アニメやファンタジー、アクション映画を通して新しい夢の世界を発見して、それで映画館が大好きになったんだ。だから、僕のアクション映画に誰かがファンタジーを見出して、映画館が好きになってくれるかもしれないって思った。こじつけに聞こえるかもしれないけど、そんな気持も出演を決めた理由の一つなんだ」
――最初に見たハリウッドのアクション映画を覚えていますか?
「初めて見たアメリカ映画は『パピヨン』で4歳だった。超満員で従兄弟のお兄さんに肩車して貰って見た。マックイーンもカッコ良いけど、僕のアクション・ヒーローはやっぱりブルース・リー。ジャッキー・チェンも好きだった。中学1年の時に『酔拳』を見て、帰りに買った日記帳に「ジャッキーはカッコいい。僕もああいう風になりたい」と書いてある。ジャッキーとは今は義兄弟みたいに仲良くしていて、その話をしたら面白がってくれたよ」
――日本の格闘家の須藤元気が、ストームシャドーを最後まであなたと争ったと話していますけど?
「その話は知らないなぁ。もしかしたら彼の方が良かったかも知れないよ。今回はアクションが重要な映画だから」
――この映画のために特別なトレーニングをしたのですか?
「ストームシャドーは忍者出身という設定だから、日本の友だちから忍者のDVDを借りて、体の動きや歩き方、目つきなんかを参考にした。アメリカに行ってトレーニングしたのは刀や剣のアクションを1カ月程度。僕は子供の頃からテコンドーをやっていたので、基本的なアクションの感覚は持っている。だからアクションが難しいと思ったことはないんだけど、スネークアイズ役のレイ・パークを見た時は、本物の武闘家は動きが全然違うと思った。これじゃ僕が見劣りするんじゃないかとプレッシャーを感じてしまった」
――ケガをしたのはそのせいかもしれませんね。
「どうかなぁ。空中を飛びながら足蹴りをするシーンで、右膝の靱帯を切ったんだ。なかなかいい映像がとれなくて、僕の方からお願いして十数回テイクしてもらったのはホントだけど。緊張していたから、切れた瞬間は分からなかった」
――英語のプレッシャーはなかったんですか?
「普段から英語の発音がいいと言われることが多かったから、自信はあったんだけど、いざ撮影が始まったらダメ出しの嵐。初めのうちはアクセントが気になって演技に集中できないこともあった」
――セリフもアクションもクールに決まっていましたよ。特にエッフェル塔にナノマイトをブチ込むシーンはカッコ良かったです。
「エッフェル塔を壊してしまって、もうパリには行けないと思った(笑)。映画が公開された後でパリの街を歩いたら、危険な目に遭うかもしれないね(笑)」