劇場公開日 2008年1月12日

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レンブラントの夜警 : 映画評論・批評

2008年1月8日更新

2008年1月12日よりテアトルタイムズスクエアにてロードショー

レンブラントが生きた時代のオランダを絵画的/演劇的な空間に再現

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画家として不動の地位を築き上げたレンブラントは、なぜ失墜し、破産宣告を余儀なく
されることになったのか。

シャルル・マトンは「レンブラントへの贈り物」(99)で、「トゥルプ博士の解剖学講義」に着目し、トゥルプという権力者がレンブラントを経済的に追い詰めるドラマを作った。グリーナウェイはこの新作で、「夜警」に着目する。この大作を通して、絵のモデルとなった権力者たちの悪行の数々を告発したレンブラントは、陰湿な報復にさらされていく。

だが、この映画の魅力は、名画をめぐる謎解きだけではない。近代資本主義の出発点は、レンブラントが生きた時代のオランダにある。グリーナウェイは、そんな社会を、歴史を踏まえてリアルに視覚化するのではなく、すべてを徹底して「夜警」から読み取り、絵画的/演劇的な空間に再現する。そしてそこからは、現代にも通じる勝者と弱者の関係、欲望や孤独が浮かび上がってくる。

かつて「コックと泥棒、その妻と愛人」(89)でサッチャー時代のイギリスの光と影を描き出したグリーナウェイが、「夜警」の謎解きを繰り広げながら見つめているのは、現代社会の光と影でもあるのだ。

大場正明

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