ヤッターマン : インタビュー
いよいよ公開が迫る実写版「ヤッターマン」。その舵取りを担った監督の三池崇史を直撃。実写映画化のポイントや、映画化発表以来、大きな注目を集めている深田恭子のドロンジョについてなど、大いに語ってもらった。(取材・文:編集部)
三池崇史監督 インタビュー
「ドロンジョがいたら、『まあ、いいんじゃない?』って言ってくれると思う」
――オリジナルの「ヤッターマン」はもともと好きだったそうですが、オファーが来た時の気持ちは?
「最初は『えっ! 本当ですか?』って(笑)。なんと言うか、『ヤッターマン』を実写化できるなら、何でも実写化できてしまうんじゃないかと(笑)。何をやってもいいと言うか、自分たちも解放される気分ですね。30年前の(オリジナルアニメを)見ていたリアルな記憶が残っていて、もちろん自分の中でアレンジされているとは思うのですが、それらを引っ張り出して、子供の頃にテレビの前で見ていたものを映画化して暮らせるなんて、素敵なことじゃないかと思いました。映画を作るのはそんなに悲惨なことじゃないんだということを、自分たちで証明していくために(『ヤッターマン』実写化は)必要だったと思います」
――その30年前の記憶を確かめるため、オリジナルのアニメを見直したりは?
「プロデューサーたちから『これで勉強してください』とDVDボックスを渡されて見ましたが、イメージはブレてませんでした。昔見たのと同じように面白かった。あまりないんですよね、そういうの。
例えば、『燃えよドラゴン』はすごく好きな映画ですが、いま見返してみると思っていたほどでもなかったりする。それは映画をたくさん見て目が肥えたこということではなく、ブルース・リーの本当の魅力を見抜く力が退化したということなんです。子供の頃は見えていたものが、見えなくなってきてしまっている。『ヤッターマン』は、それが大人になっても見える。何かを刺激するんです。その違いはなんだと考えて、“実写版『ヤッターマン』はこうです”という、実写版ならではの本当の意味でのオリジナリティというのは必要ないと思ったんです。“『ヤッターマン』を生真面目に映画化する”ということに最高のオリジナリティがあると」
――お約束事も満載でしたね。アニメの有名なアイテムやセリフ、場面はほとんど入っていました。
「リスペクトする側としては、それらのお約束を守るのはすごく楽しいから(笑)。いまテレビで放送している新シリーズのアニメにはないものもあるらしいですが……。
例えば、昔のアニメではドロンボーダンスというのが毎週ありましたが、いまは情報量を押し込み、グッズを売ることも含めた告知も必要だったりするから、時間を無駄にできない。僕らは、そうしたことから解放されている頃だった。逆に、ビデオもなく録画すらできなかったから、その時テレビの前にいないと見られない。映像に対して貴重な体験ができた世代かなと思います。番組が終わるときにはすごく切ないんですよ。また1週間見られないのかって。その時の感触を映画にしただけなんです」