ラストデイズ

劇場公開日:

解説

孤独なロック・スターの最期の2日間を詩的に描いた作品。ロック・バンド“ニルヴァーナ”のフロントマン、故カート・コバーンをモデルにしている。監督・脚本・編集は「エレファント」のガス・ヴァン・サント。撮影も「エレファント」のハリス・サヴィデス。音楽監修はロック・バンド“ソニック・ユース”のサーストン・ムーア。出演は「サラ、いつわりの祈り」のマイケル・ピット、「ブレックファースト・オブ・チャンピオンズ」のルーカス・ハース、「サラ、いつわりの祈り」(監督も)「ランド・オブ・ザ・デッド」のアーシア・アルジェント、“ソニック・ユース”のメンバーであるキム・ゴードン、「マグノリア」のリッキー・ジェイ、「ジュリアン」などの監督として知られるハーモニー・コリンほか。

2005年製作/97分/アメリカ
原題または英題:Last Days
配給:エレファント・ピクチャー
劇場公開日:2006年3月18日

あらすじ

人気の絶頂にあるカリスマ・ロック・ミュージシャンのブレイク(マイケル・ピット)は、ひとりリハビリ施設を抜け出して森の中を彷徨っている。やがて廃家のような自分の屋敷にたどり着いたブレイク。ここには彼の取り巻き連中が居候しており、今日はルーク(ルーカス・ハース)、スコット(スコット・グリーン)、アーシア(アーシア・アルジェント)、ニコール(ニコール・ヴィシャス)の4人がいた。屋敷にはセールスマン(タデウス・A・トーマス)やモルモン教の布教活動をしているフライバーグ兄弟(アダム&アンディ・フライバーグ)、近所に住むドノヴァン(ライアン・オライオン)と彼が連れてきた私立探偵(リッキー・ジェイ)、そしてレコード会社の重役(キム・ゴードン)らが訪ねてくる。夜、居候たちが寝静まったあと、ブレイクはひとりで自曲を弾き語りし、ふらふらとクラブに出掛ける。明け方に帰宅したブレイクは、まっすぐ温室に向かい、猟銃で自殺する。屋敷を出た居候たちは、ニュースでブレイクの死を知るのだった。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第58回 カンヌ国際映画祭(2005年)

出品

コンペティション部門
出品作品 ガス・バン・サント
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映画レビュー

3.5引っ張られる(※追記あり)

2025年2月28日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:VOD

大槻ケンヂは若くして死んだカート・コバーンを「あいつはバカだ」と言っていた。神格化される彼の死を冷めた目で見ていた彼らしい見解である。そして大槻ケンヂは「生きていくだけだろ?」と歌い続ける。著書でも「死んだら伝説、狂えばカリスマ、生き残ったらただのおっさん。しかし、生きてる奴の勝ちだ。」と書いてある。なるほどと思う。

さて、カート・コバーンは私がロックにはまった時にはすでに亡くなっていました。なので特に思い入れはありませんし、なんならニルヴァーナの曲は「スメルズ…」と「リチウム」以外全く好きになれず、むしろ嫌いな部類の音楽でした。しかし、なぜか鬱の時は無性にニルヴァーナを聴きたくなる。ぶっちゃけ歌詞なんか聴いちゃいないのですが、不思議と「死」に引っ張られる音楽なのです。少なくとも私にとってはニルヴァーナ、カート・コバーンとはそんな存在でした。

鬱の時にだけ寄り添ってくれる(悪い意味で)変な音楽。なぜだろう?カート・コバーンの死が関係しているのだろうか?本作「ラストデイズ」を観れば何かわかるだろうか?……長々と書きましたが鑑賞動機はそんなとこです。

結果、観たことを少し後悔しています。ニルヴァーナの音楽同様、「死」に引っ張られる作品。せっかく最近ハッピーな感じだったのに勘弁してほしい(自分で勝手に観といて何言ってんすかね…)。ニルヴァーナを聴いて死を意識するやつなんて私しかいないかも知れませんが、本作における鬱々とした空気はなかなかきついです。

ストーリーらしいものは皆無、ひたすらカートをモデルにした主人公がダラダラと無気力にフラフラしているばかり。唯一、弾き語りで叫ぶシーンは胸にくるものがありました。

「生きていくだけだろ?」確かにそうなんだけど、それがなかなか難しい。本作ではその生きる難しさはあまり伝わって来ませんでした。ただただ死に引っ張られていく、まさに「ラストデイズ」の様子が淡々と描かれているのみでした。

※追記
レビュー投稿した後に、初めて歌詞の和訳を読んでみたのだが、めっちゃ暗い。びっくり。学生の頃、周りでニルヴァーナを聴いていた奴らはみんなパリピみたいな奴らばっかりだったから不思議。彼らはニルヴァーナの音楽を本当に聴いていたのだろうか?おしゃれ感覚で聴いていた…というより「ニルヴァーナを聴いている自分かっこいい」と思っていただけなのではなかろうか…。まぁ、歌詞も読まずに嫌いとか言ってた私も大概だが。

※追記2
本作を視聴してからずっと「引っ張られて」いる。淡々とし過ぎてつまらない作品だが、それだけのパワーがあるということ。落ち込んでいるときに観たらやばかったかも。少し加点。

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吹雪まんじゅう

3.0【人気絶頂のなか、命を絶ったニルヴァーナのカート・コバーンをモチーフにした彼の死の前二日間を描いた陰鬱な映画。ニルヴァーナのファン(過去形ではない!)であれば、響くモノがある作品だと思う。】

2024年5月16日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

悲しい

知的

難しい

■深い森の中を独り言をブツブツつぶやきながら、当てどなく散歩する若者。
 彼は麻薬の矯正施設を抜け出した、若者の間でカリスマ視されるミュージシャン・ブレイク(マイケル・ピット)。
 彼は現役の頃の自分を慕う人々がたむろする家に戻るが、時はゆっくりと終結に向かっていた。

◆感想

・名匠の粋にあるガス・ヴァン・サント監督は高校銃乱射事件を描いた「エレファント」を20年以上前に公開しているが、作品の幅がとても広い。

・今作もどこからみてもカート・コバーンにしか見えないブレイク(マイケル・ピット)の麻薬に侵された姿を只管に追っている。

■印象的なシーン

・森の中をブツブツと独り言を言いながら彷徨う様は、何とも陰鬱だが印象深い。

・後半、彼が歌う”ヴェルヴェットアンダーグラウンド”の”毛皮のビーナス”のシーンも彼の晩年の破滅的な人生を象徴するようである。

<〇坊の時代に、ニルヴァーナを聞き、一発で惹き込まれた者としては何とも陰鬱で、切ない映画である。
 美しいメロディの中、ヴァーブを利かせた名曲”Smells Like Teen Spirit"が収められた駄曲なしの超名盤”Nevermind"からの”IN UTERO"を聞いた時は、勿論名盤なのだが、カート・コバーン病んでいるんじゃないか、と思ったもんな・・。
 あの悲しき衝撃は今でも覚えている。>

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NOBU

4.0退廃的なものに魅かれる心理ってなんなのだろう

2023年6月9日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

夭折した天才ミュージシャン・カート・コバーンをモデルに、彼がショットガンで自殺するまでを描く。

ガス・ヴァン・サントらしく、余計な科白、説明、演出効果を排除した、情景と役者の演技主体の映像と音楽だけで描ききる。大胆かつ勇気ある映画作りは称賛に値する。

退廃的なものに魅かれる心理ってなんなのだろうと考える。劇中のブレイク(コバーン)の所作はいちいち危うい。椅子に座るだけの動作で数十秒を要し、なおかつ座らず、床にへたり込む。女性ものの下着を身に付け、ショットガン片手に屋敷をうろつき、ワークブーツの靴ひもが通っていないくせに、コーンフレークにミルクの量を細部にまでこだわりながら注ぎ、突然、死んだように寝る。

全世界を熱狂の渦に巻き込んだニルバーナの作品群は、こうした彼自身ののもつ、如何ともしがたい退廃・狂気と社会との「間」を埋めようと試みられた営為の副産物。

その創造をもってしてもなお、彼を社会に生かしむには至らなかった。ただ、それは悲劇なのかといえば、そうとも思えない。

非常に重要なシーンである宅録デモの場面で演奏される曲名は「Birth to Death」ではなく「Death to Birth」。ここに象徴されるように、僕らとは死生観が根底から真逆なのだからこそ、そうやって生きるべくして生きたのであろう。

タイトルもLast Day(最後の日)ではなく、Last Days(末路)。彼は最期に何を視たのだろうか。印象的な演技だった。

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えすけん

3.5ファンじゃないと、正直、つらい。

2021年12月2日
PCから投稿

カート・コバーンの最後の2日間を描いた映画。
つらいというのは、同じようなシーンが延々と続くというつらさ。
そして、物語としてのつらさ。
どこまで事実なのかは知らないが、
一緒に過ごす取り巻きが違っていたら、こういう
エンディングにならなかったんじゃないかな。

考えてみると、ファンにとっても、
とてもつらい作品なのかもしれませんね。
グッと入り込んでしまうだろうし、
自分が好きなミュージシャンがこんな最後を
迎えていたとしたら………。

ミュージシャンのエンディングをここまで
深く掘り下げた作品は、他にないかもしれません。
ガス・バン・サント監督らしい作品だとも思いました。
「エレファント」のあの重苦しい感じを
思い出すなあw

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tochi06