ARAHAN/アラハン
劇場公開日:2005年10月22日
解説
何をやってもダメな若者が“七仙”と呼ばれるカンフー・マスターたちと出会い、自らの内なる力に目覚めてゆく姿をワイヤーワークとCGを使って描くカンフー映画。主演は、韓国の若手個性派俳優リュ・スンボム。監督はリュ・スンボムの実兄であり、「ダイ・バッド/死ぬか、もしくは悪(ワル)になるか」で一躍注目されたリュ・スンワン。マスターの一人に扮する韓国映画界の重鎮アン・ソンギが、珍しくコミカル演技を見せる。
2004年製作/114分/韓国
原題または英題:Arahan
配給:UIP
劇場公開日:2005年10月22日
ストーリー
若き警察官のサンファン(リュ・スンボム)は、熱血漢で仕事熱心ではあるけれど、要領が悪くてドジばかり踏んでいる男。今日もひったくり犯を追いかけて街を走っている。やっとのことで犯人を追い詰めたと思った時、そこには先客が…高層ビルの間を飛びまわり、同じく犯人を追いかけてきたイジン(ユン・ソイ)が仁王立ちしていたのだ。拳の修行中である彼女はめっぽう強いが、“掌風”のコントロールは少々苦手。誤ってサンファンを倒してしまう。気絶したサンファンが担ぎ込まれたのは、“七仙”と呼ばれるカンフー・マスターたちの道場。その中でも最高の悟りを開き、<マルチ>といわれているジャウン(アン・ソンギ)だけは、サンファンの持つ「気」の強さに驚いていた。「世界には不思議な『気』がいくつも存在している。我々はその『気』を呼び覚まし、人々を正しい道に導いている。自分の力を恐れるな」…と修行を勧められても、サンファンには何のことだかよく分からない。しかも“七仙”なのに、マスターは5人しかいない。1人はかつて世直しのために倒れたらしいが、もう1人は…? 結局サンファンは逃げるように道場を後にするのだった。そんなサンファンにとって、カンフーをマスターしたくなるような事態が訪れる。世間知らずに仕事熱心が災いし、勇み足からヤクザに徹底的に殴られてしまったのだ。警官としての自信を失った彼は、七仙のいる道場へと足を向ける。そこで聞かされたのは、最終解脱者<アラハン>になるための祭壇と、その時に必要な“カギ”のこと。手っ取り早く喧嘩が強くなりたいだけの若者に、その素質と資格があるのだろうか? 一方、そんな彼らの知らないところで、世界を暗黒に覆う邪悪な力が数千年の時を超えて目覚めようとしていた…。サンファンの厳しい修行が始まった。それは7つの教えに基づいている。「女亘娥者 先仰自心」とは自分の心を制し、自己の心を捨てること。「順」とは敵の勢いに乗って敵を倒すこと。「工」とは武術を習得し、心と体を自在に操ること。「疾」とはスピード。自分が速ければ相手が遅くなる。「勇」とは決断力。精神統一すれば一瞬が永遠に長く感じる。「痕」とは情け容赦なく相手を倒すこと。「真」とは自分を欺かず、無我の境地に達すること。決して近道はない。たとえ世間からは見向きもされない技だとしても、全てを習得した時、最後に悟りへの門が開かれるのだ。掌風を教えてもらえない不満はあるけれど、サンファンは次第に甘えを捨て、自分でも気づかない内に<マルチ>への階段を上り始めていた。そんな時、彼は街で謎の男を目にする。信じられないスピードで走り、闇の中に飛び去るその姿を目の辺りにして、何故かサンファンは胸騒ぎを覚えるのだった…。翌日、七仙の中の2人が何者かに襲われ、仮死状態で発見される。それはかつて七仙のひとりであったにも関わらず、戒律を破って力で乱世を治めようとしたフグン(チョウ・ドゥホン)の仕業だった。自ら<アラハン>を名乗った彼は七仙によって力を封じられ、地価に閉じ込められていたのだ。フグンの目的はただひとつ。真の<アラハン>になるため、悟りを開く“カギ”を探すことだった。丁度その頃、サンファンとイジンは修行の合間の休息を楽しんでいた。サンファンはイジンに誕生日のプレゼントを渡し、少しだけ心が通い合う気がした―と思った時、以前サンファンを徹底的に痛めつけたヤクザたちがそこに現れる。挑発に乗ったサンファンはイジンの制止を振り切り、修行で身につけた力を怒りに変えて暴れ回る。「俺は技に興味があって修行しているんじゃない。どうせ役に立たない技なら、あんな奴らにでも使えばいいんだ!」と激昂しながら、サンファンは我を忘れた自分の心の弱さを改めて知るのだった。気分が晴れないまま道場に戻るサンファンとイジン。そこに待ち構えていたのは、何とフグンだった。「悟りを開く”カギ”はどこだ?!」―善と悪の「気」が激突し、壮絶な闘いが始まった。しかしフグンの強さは圧倒的。若い2人は次第に傷つき、追い詰められていく。そこに駆けつけたジャウンたちも圧倒され、フグンに深手を与えたものの、またひとりマスターが悪の刃に倒されてしまう。これで残されたのはサンファンとイジン、そしてジャウンだけとなってしまった。