青い棘

劇場公開日:

解説

1927年ベルリンで起きた、19歳の青年が知人を殺害し自らも頭に銃弾を撃ち込んで死亡した「シュテークリッツ校の悲劇」を映画化。主演は「グッバイ、レーニン!」のダニエル・ブリュール。

2004年製作/90分/ドイツ
原題または英題:Was Nutzt die Liebe in Ged asken
配給:アルバトロス
劇場公開日:2005年10月29日

ストーリー

1927年、ベルリン。パウル・クランツ(ダニエル・ブリュール)とギュンター・シェラー(アウグスト・ディール)は、寄宿学校での卒業試験を間近に控えていた。パウルは労働階級出身で、詩を愛する内気なタイプ。上流階級の出で恐いもの知らずのギュンターとは、あらゆる面で水と油の対照的なふたりだったが、ともに“歓喜に満ちた偉大な瞬間”と“大いなる愛”、そして“人生の頂点”。そしてそれらが一度に終わる瞬間を、探し求めていた。ギュンターの両親の留守中である週末を、二人はベルリン郊外のシェラー家の別荘で過ごす。パウルはギュンターの16歳になる妹ヒルデ(アンナ・マリア・ミューエ)に出会い、たちまち彼女の魅力の虜になる。シェラー家の贅沢な暮らしとヒルデの美しさは、貧しい環境に育ったパウルにとって、まさにこの世の楽園のように思われた。しかし、ヒルデは自分の魅力とそれが男たちに及ぼす影響を充分に意識し、恋愛経験のないパウルを誘惑する。パウルのシャイな性格、メランコリックな彼の詩、人生や愛、そして死についてのロマンティックな考え方すべてが、ヒルデを惹きつけた。その夜、庭で二人きりでヒルデと会っている時、パウルは幸せを感じるのだった。しかし、翌土曜日の朝、ヒルデはベルリンに戻ってしまう。失望したパウルはギュンターと草原をぶらつき、語り合ううちに誓う。愛をもはや感じなくなった瞬間に自分たちの命を終わらせること、その時には彼らの愛を奪った者を、道連れにすることを。夕刻、別荘ではギュンターの指示の下、ガーデンパーティーの準備が進んでいた。庭は中国風の提灯で飾られ、キッチンではヒルデと女友達が、女性の解放と男性について熱っぽく語っている。ギュンターがワインを取りに地下のセラーに降りてゆくと、そこにはかつての恋人であり、今はヒルデの秘密の恋人のハンス(トゥーレ・リントハート)が待っていた。思わず情熱的な抱擁とキスを交わす二人。キャンプファイヤーの周りではアブサンを飲む儀式が行われている。ワイン、ダンスと音楽の効果で、場の雰囲気はさらに激しく狂い、乱雑になってゆく。

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映画レビュー

3.01927年の蓄音機でスクラッチ♪ズキュズキュシュイーン。

2019年11月23日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

 美青年だかなんだか知らないけど、ダニエル・ブリュールって俳優は庶民的ですよね。退廃的なパーティであっても“大いなる愛”を求めることに躍起になるポール(ブリュール)だったけど、どことなく仲間に入れない疎外感が漂っていました。彼と仲のよいギュンター(アウグスト・ディール)は上流階級らしいけど、なぜだかウマが合う。愛を求める美しい青春時代に愛に裏切られたら、この世を去るべきなんじゃないかと、虚無的な甘酸っぱさを恥ずかしげもなく語る二人。もちろん退廃的なドラッグ、拳銃なども登場し、R15になっているのも納得です。

 好きになってしまったのはギュンターの妹ヒルデ(アンナ・マリア・ミューエ)でしたが、彼女には恋人ハンスがいて、そのハンスはギュンターの元恋人だった・・・またゲイだ。今月に入ってゲイに関する映画は3本目。この映画ではあまりにもドロドロしすぎた関係に共感もできなかった。また、「両手いっぱいに男が欲しいの」と悪女ぶりを発揮するヒルデのどこがいいのかと、ポールのセンスを疑ってしまったのも事実です。

 自ら死を選びたいといった思想にはついていけなかったのですが、ポールを健気に愛するエリちゃんが素敵だったのです。“以前あったことがあるかどうか”というポイントからも、彼ら5人の運命は決まっていたような気もしたし、妖しげな占いが対象となる人物が違っていた意外性も面白かった。その占いが彼らのその後の運命をも変えてしまったような・・・しかし最後の事件の真相はアルコール摂取過多が原因だったという史実に基づく内容らしい。

 麦畑を自転車で戯れながら進む光景や赤みがかった映像によって情感たっぷりだったと言いたいところですが、何しろ退廃的な上流階級のご子息たちが中心です。デカダンスという言葉で装飾するよりは、事件を起こして現れるのは“刑事(デカ)ざんす”と言ったほうがスッキリするかもしれません・・・

〈2006年鑑賞〉

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kossy