ラヴェンダーの咲く庭で
劇場公開日:2005年6月4日
解説
穏やかに暮らしていた2人の老姉妹が、突然現われた異国の若者に生活をかき乱されながらも、次第に心がときめいてゆく美しい人間ドラマ。主演は、2人のデイム(大英帝国勲位受勲者)、ジュディ・デンチとマギー・スミス。謎めいた青年を「グッバイ、レーニン!」のダニエル・ブリューが演じる。ベテラン俳優のチャールズ・ダンスが本作で監督業に進出した。
2004年製作/105分/イギリス
原題または英題:Ladies in Lavender
配給:日本ヘラルド映画
劇場公開日:2005年6月4日
ストーリー
1936年。イギリス、コーンウォール。ヨーロッパでは歴史的な大きな出来事が起ころうとしていたが、美しい景観や柔らかな日差しに恵まれた海辺の小さなこの町は、外界と遮断されているかのように静かな時を刻んでいた。アーシュラ(ジュディ・デンチ)とジャネット(マギー・スミス)、初老にさしかかろうとする2人の姉妹も、両親が残してくれた屋敷と財産に恵まれて、町の人々と同じようにつつましく、日々を過ごしていた。ある嵐の翌日、アーシュラは屋敷の眼下の浜辺に、若い男性(ダニエル・ブリュール)が倒れているのを発見する。彼女は急いでジャネットと一緒に屋敷へ連れ帰り、ミード医師(デヴィッド・ワーナー)を呼び懸命に看病する。衰弱し足に骨折を負っていた彼はしばらくして意識を取り戻すが、こちらの言うことが理解できないらしい。ジャネットが古いドイツ語の辞書を取り出してどうにか聞き取ったところ、どうやら彼はポーランド人で、渡米途中に船が難破しこの海辺へ流れ着いたらしい。数週間が経ち、手振り身振りに加え片言ながら会話ができるようになると、アンドレアが才能溢れるヴァイオリニストであることが分かり、かつて静寂に包まれていた家の中は楽しい空気と美しいヴァイオリンの音色で満たされていく。そして、家の中に才能豊かな若い男性が存在するという事実が、ふたりの姉妹の生活に、とりわけアーシュラには予期せぬ影響を与えていく。叶うわけもないと、もう何年間も心の奥底にしまいこみ、表に出すことのなかった感情が、にわかに沸き起こってくるのを誰も止めることはできない。短い夏の間に、アンドレアは音楽の才能とその人柄で町の暮らしにも馴染んでいったが、一方で少しずつ不協和音が鳴り始めていた。それは、オルガという若い女流画家(ナターシャ・マケルホーン)の存在だった。世界的に著名なヴァイオリニストを兄に持つ彼女は、ぜひ兄へ彼の才能を知らせたいとアーシュラとジャネットに手紙をしたためる。が、若く美しいオルガへの嫉妬とアンドレアを失うかもしれないという恐れから、2人はとっさにこの手紙を隠してしまうのだった。しかし、ドイツ語という共通言語を持つオルガとアンドレアは自然と話をするようになり、手紙の一件は、アンドレアの知るところとなってしまう。姉妹に対して不信感をぶつけるアンドレア。折悪く、美しいオルガに袖にされたミード医師が彼女を独占しているアンドレアを煙たがり、外国語を話すオルガとアンドレアに対して、スパイ嫌疑を抱き始める。そんな時、別れは突然訪れた。オルガの兄、ボリス・ダニロフがロンドンに滞在すると電報が届いたのだ。この偉大なヴァイオリニストの滞在は1日だけとあり、オルガは今すぐ発たなければ間に合わないとアンドレアを説得する。彼はアーシュラたちに伝言すら残せずに旅立つことに後ろ髪を引かれながらも、夢への切符を手に列車へ乗るのだった。何も知らない姉妹は警察に捜索願いを出すが、村人からオルガとアンドレアがロンドン行きの列車に乗ったと聞かされ、埋めようのない喪失感が2人を襲う。冬が訪れる頃、ロンドンから小包が届いた。アンドレアからの手紙と、オルガが描いたアンドレアの肖像画だった。手紙の中でアンドレアは、何も言わずに旅立ったことの謝罪と、まもなくロンドンでコンサートを開く予定であることを知らせてきた。
スタッフ・キャスト
- 監督
- チャールズ・ダンス
- 脚本
- チャールズ・ダンス
- 原作
- ウィリアム・J・ロック
- 製作総指揮
- ロバート・ジョーンズ
- 製作
- ニコラス・ブラウン
- エリザベス・カールセン
- ニック・パウエル
- 撮影
- ピーター・ビジウ
- 美術
- キャロライン・エイミス
- 音楽
- ナイジェル・ヘス
- 編集
- マイケル・パーカー
- ソロ・ヴァイオリン
- ジョシュア・ベル