ソン・フレール 兄との約束

劇場公開日:

解説

オペラ『ニーベルングの指輪』『ヴォツェック』、映画「王妃マルゴ」「愛する者よ、列車に乗れ」の鬼才パトリス・シェロー監督作。難病に冒された兄と、その最期を看取る弟の「死と再生」の物語。ヴァンサン・ペレーズらとともにシェロー組の中核といっていいブリュノ・トデスキーニが兄トマに扮し、12キロもの減量で難役に挑んでいる。弟リュックを演じるのは、フランソワ・デュペロン監督の作品で知られるエリック・カラヴァカ。

2003年製作/90分/フランス
原題または英題:Son frere
配給:クレストインターナショナル
劇場公開日:2005年2月12日

ストーリー

夏の終わり、ブルターニュの海辺。近くに住むらしい老人(モーリス・ガレル)とともに、穏やかに海を眺めるトマ(ブリュノ・トデスキーニ)とリュック(エリック・カラヴァカ)。兄弟は、幼い頃のヨット遊びやフェリーでの旅の思い出を話す。冬のパリ、2月。トマは、血小板が破壊される難病が再発したことを知る。不安なトマは、もう長く会っていなかった弟リュックの家を訪ね、自分の病状を打ち明け、病院に付き添ってくれるよう頼む。リュックは、ずっと背を向けあってきた兄が、今になって助けを求めてきた真意を測りかねたまま、兄の頼みを受け入れる。怪我の傷も生々しい患者。病に力尽きたようにベッドに横たわる患者病院の雰囲気は、リュックの気持ちを不安にさせた。ベッドに寝かされたトマの姿は、まるですべてを諦めたかのように、か弱く見える。故郷のナントから両親が見舞いに来るが、トマは心を開かない。ブルターニュ、7月。すでに死の足音を感じているトマ。力なく歩くトマを、リュックは気遣う。やがてトマは、リュックが同性愛者であることについて尋ねる。リュックの同性愛については、これまで一度も話したことがなかったというトマ。リュックは、話したことがある、と言う。二人のズレは大きな溝を思い出させ、兄弟は思わず激しい言葉を投げ合う。パリ、3月。リュックは、同居している恋人ヴァンサン(シルヴァン・ジャック)に、兄の病気について話す。トマと同じ病気の友人がいたヴァンサンは心配し、リュックとトマの兄弟の関係にも関心を示すが、リュックはその心遣いに何故かぎくしゃくした感情を覚えた。トマの病気とリュックの看護は、二人の互いの恋人との関係にも変化をもたらした。トマの恋人クレール(ナタリー・ブトゥフ)は、トマの病気が自分に強いる役回りに傷つき悩み、リュックにつらい胸中を訴える。一方リュックは、ヴァンサンとの親密な関係に距離を置こうと思いはじめる。治療は苦しいものだった。副作用の強いコーチゾンという薬を投与するのだ。トマは病気と闘う気力を、今や失っていた。ブルターニュ、8月。老人と、トマとリュック。海のそばで眠りたい、というトマ。「ものには終わりがある」と老人は言った。トマは「人は生きるか死ぬかだ」と、返す。パリ。病院で、リュックはマニュエル(ロバンソン・ステヴナン)という青年と出会う。まだ19歳の彼は、大きな手術跡の傷を見せ、「また手術だ。もう切り刻まれたくない」と慟哭する。その夜、リュックはトマの枕元で、少年の頃の思い出を話す。トマが15歳。リュックが11歳。巣からいっせいに飛び出した蜂の群れに追いかけられた時、「兄貴は俺を抱えて走り出し、家まで飛んで帰った」。頼もしかった兄。優しかった兄。だが、絆はこじれてしまった。話し終え、リュックがトマに目をやると、兄は眠っているようだった。そして、トマの手術が行われる。果たして最後の時は、いつどんなふうに二人に訪れるのか。

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