オーバー・ザ・レインボー(2002)
劇場公開日:2004年11月6日
解説
交通事故で記憶の一部を失った主人公が、愛する女性の記憶を探し求めて女友達の助けを借りながら過去を取り戻していくラブ・ファンタジー。「情事」「ラスト・プレゼント」のイ・ジョンジェと、「反則王」「菊花の香り」のチャン・ジニョンが共演。監督は、本作で劇場映画デビューを飾るアン・ジヌ。
2002年製作/109分/韓国
原題または英題:Over the Rainbow
配給:タキコーポレーション=リベロ
劇場公開日:2004年11月6日
ストーリー
お天気キャスターのイ・ジンス(イ・ジョンジェ)は、雨の夜に交通事故に遭う。しばらくして職場復帰した彼は、自分の状態に不安を抱く。逆光で顔の見えない女性の幻覚がフラッシュバックしたり、ここ数年の記憶の一部が抜け落ちていたり。さらに、部屋の電話に身に覚えのない女性からのメッセージが入っていたり…。大学時代からの大切な友人、ヨンミン(コン・ヒョンジン)の恋人が、数年前に亡くなったことすらも記憶から消えていた。そんなとき、現像ミスで、顔の見えない幻覚そっくりの女性の写真が出てくる。写真の裏には、8年前の日付と「日差しの跡」という文字が。どうやらジンスが大学時代に撮ったものらしい。病院で、ジンスは“部分記憶喪失”と診断された。「失われた重要な記憶を、夢や幻覚によって、蘇らせようとしているのです」と、担当医師は語る。ジンスの心の奥底には、誰かを死ぬほど愛していた切ない感情の痕跡だけが、ありありと残っていた。留守電の女性に会うジンス。彼女は大学の写真サークルの同級生、カン・ヨニ(チャン・ジニョン)だった。ジンスの部屋には、以前親友でやはりサークル仲間だったサンインが住んでいた。ヨニは、恋人だったサンインがすでに引っ越してしまったことを知らずに、メッセージを残していたのだ。ジンスは、愛していた女性の記憶を取り戻すため、ヨニに助けを求める。しかし、大学時代の記憶をさぐることは、サンインに去られたばかりのヨニには辛いことだった。それでもジンスとともに、髪の長い女性の記憶をたどることに。レストランで、夜景を臨む遊覧船で、屋台で、ふたりは何度も会い、記憶を再構築してゆく。みんながたむろするサークル部屋にジンスが初めて入ってきた日のこと、英詩の授業でジンスが作った虹を意味する「The Trace of Sunshine(日差しの跡)」という詩が、愛する人を想って書いたものだとばれてしまったこと、誰も知らないジンスの愛する人を、皆で「虹」と呼んでからかったこと…。求める女性はまだ見つからず、記憶も戻らないけれど、共に過ごした青春の日々が、ヨニの語る言葉で輝きだす。ジンスは、会うたびに今ここにいる現在のヨニに惹かれてゆく。ヨニにとっても、ジンスとの時間は、穏やかな心癒される時間になっていた。愛する人探しが壁に突き当たり、ジンスは探すことを止めようとヨニに言う。未来を語る天気予報士のジンスと、忘れ去られたものを保管する地下鉄忘れ物センターで働くヨニ。ジンスが失った過去をヨニが蘇らせる、という時間を過ごし、ふたりは互いをかけがえのない存在と感じながら、現在から未来へ、ゆっくりと一歩を踏み出そうとしていた。そんなとき、かつてジンスが愛する人と最後の夜を過ごすために、軍隊に向かう列車から飛び降りたという話を、人づてにヨニは聞いてしまう。それほど激しく愛する人ならば、探しつづけることがジンスにとって最善のことと思ったヨニは、身を引こうと決心するが……。