猛進ロイド
解説
ロイド喜劇のあらゆる長所を打って一丸にしたロイド喜劇傑作中の傑作といっても過言であるまい。八巻という喜劇にしては空前の長編を些かのゆるみもなく観客を引張って行くところ、いつもながらフレッド・ニューメイヤーとサム・テイラーの頭の良さに感服の他はない。「恋愛の秘訣」の各章に現される各種の女性の解剖も痛快皮肉を極むれば、後半の馳せ付けの技巧も、下手な連続や活劇に優ることしばしば。殊に電車の使い方は感嘆の他なし。最後に、笛を吹いて新婚旅行の汽笛を思わせ以心伝心に抱擁するところなどは全編を生かしている。あの“Yes”という字幕に何ともいわれぬ妙味がある。ロイドのヘラヘラ笑いといって嫌っていた人も必ず本映画を見れば好きになるに違いない。ジョビナ・ラルストンは「巨人征服」の時より大分慣れてきた。
1924年製作/アメリカ
原題または英題:Girl Shy
ストーリー
婦人の前に出ると恥ずかしく口もロクにきけないはにかみやのロイドが、婦人を研究して書き上げた「恋愛の秘訣」の草稿を持って都の出版社に来る。途中の列車中で知り合いになった大家の娘さんに恋したが、例のはにかみのために打ち明けることが出来なかった。出版会社の社長は折角の苦心の草稿を見てもくれなかったので、無論金も手に入らぬ、そこで総てをあきらめて田舎へ帰って来ていると、出版会社から思わぬ送金、加えて彼の令嬢が悪い男に欺されて結婚することを知り、一目散に式場めがけて馳せつけ、花嫁を奪って直ちに新婚旅行に上った。