レディバニッシュ 暗号を歌う女
劇場公開日:1980年3月1日
解説
第2次大戦勃発直前の30年代のヨーロッパを背景に、ドイツからロンドンに向うSL特急内で展開されるある英国婦人をめぐる政治的陰謀に巻き込まれたアメリカ娘と青年記者の活躍を描く、アルフレッド・ヒッチコックの「バルカン超特急」(38年)のリメイク。製作はトム・サックス、監督はTV出身のアンソニー・ペイジ。エセル・リナ・ホワイトの原作を基にジョージ・アクセルロッドが脚色。撮影はダグラス・スローカム、音楽はリチャード・ハートレイが各々担当。出演はエリオット・グールド、シビル・シェパード、アンジェラ・ランズベリー、ハーバート・ロム、アーサー・ロウ、イアン・カーマイケル、ジェラルド・ハーパー、ジーン・アンダーソンなど。
1979年製作/イギリス
原題または英題:The Lady Vanishes
配給:ワールド映画
劇場公開日:1980年3月1日
ストーリー
1939年、南ドイツバーバリア。こののどかな田舎町にも戦争の空気がたちこめ、今日も旅客列事が軍用列軍に仕立てられ、一軒しかないホテルの部屋も軍に占拠されるという情況だ。明朝の列事を待つ旅行者の中には、ソファーで仮眠しなければならない者もいた。翌朝、ロンドン行き最終列車に乗り込んでいく旅行者の中に、白いシルクのイブニング・ドレスに黒いミンクのコートをはおった若い女性がいた。彼女アマンダ・ケリー(シビル・シェパード)は、アメリカの富豪の娘で、前日の二日酔いのために、ふらつく頭をかかえてようやく列車に飛び乗ったところで、そのまま行きずりのコンパートメントに座り込んでしまった。そのコンパートメントには、キスリング男爵夫人(ジーン・アンダーソン)と名乗る厳格そうな婦人が座っており、召使い夫婦とその子供を同伴していた。そこに、ミス・フロイ(アンジェラ・ランズベリー)という陽気な英国婦人が入ってきて、雰囲気はがらっと変った。彼女はアマンダにあれこれと気を遺い、食堂車へお茶を飲みに行こうと誘った。ミス・フロイは、ウェイターに持参した“へリマンズ・ハーバル”というメキシコ紅茶を渡し、それをアマンダにも勧めるが、アマンダはそこでもウィスキーを口にした。昼食を予約して、ひとまず席にもどったミス・フロイは、昼食までの間にひと眠りするようアマンダにすすめ、時問になったら起すと約束してアマンダを眠らせた。数時間が過ぎ、アマンダが目をさますと、しかし、ミス・フロイの姿はなく、いなくなったとあわてる彼女に、同席していたキスリング夫人らはそんな女性ははじめからいなかったと言いはった。食堂車でも、他のコンパートでも英国女性を知らないという言葉を間き、驚いたアマンダは、ホテルで知りあったライフ誌の記者ロバート(エリオット・グールド)のことを思い出し、そのことを彼に話した。だが医師ハーツ(ハーバート・ロム)とチェスに興じていたロバートも、アマンダの話しを受け入れず、単なる酒のための幻覚に違いないと言い放った。釈然としないアマンダは、誰かに信じてもらおうと焦った。一方、ロバートは、列車の窓にはりついた1枚の紙を見た。それはキチンから捨てられた紅茶のパッケージで、アマンダの話にあった英国婦人の持参した“へリマンズ・ハーバルの文字がはっきりと読みとれた。アマンダの話しが事実であると思い直したロバートが彼女の元に行こうとすると、コンパートメントに同席していたキスリング夫人らに殺されかけ、その場を逃げてきたアマンダと出くわした。彼女に協力することを告げたロバートは、彼女と2人でミス・フロイの捜索を開始した。貨物車輌でフロイのめがねを発見した2人は、途中乗り込んだ包帯の事故患者を怪しいとにらみ、ドクター・ハーツにそのことを相談した。しかし、ハーツはその予想は当っていると平然と答え、2人にピストルを向けた。彼は、次の駅で待ち受けるナチスの親街隊に包帯で隠されたフロイを渡す予定になっているという。しかし、必死のロバートの活躍で、包帯の人物をすりかえフロイ救出に成功し、ナチスの目をごまかし、列車はハーツらをおろして出発した。しかし、すり替えられたことに気がついた親街隊員ら一行は、列車のポイントを切り替え乗客ともども引き込み線に入れ、列車を停車させた。ミス・フロイを渡しなさいという親街隊の要求を断ったため乗客との間で銃撃戦が姶まるが、その最中、フロイは2人に暗号の歌を教え、ロンドンに着いたら情報部のカレンダーにこの歌を歌うようにと告げ、列車を降りていった。ポイントを再び切り瞥え、ロンドンに無事到着したアマンダとロバートは、そのまま情報部に行き、カレンダー氏を訪ねた。すると、そこにはあの歌のメロディをピアノで弾くミス・フロイの姿があった。この暗号の歌こそ、ドイツ将軍からのメッセージで、ドイツが開戦を決意したことを示すものだったのだ。
スタッフ・キャスト
- 監督
- アンソニー・ペイジ
- 脚色
- ジョージ・アクセルロッド
- 原作
- エセル・リナ・ホワイト
- 製作
- トム・サックス
- 撮影
- ダグラス・スローカム
- 音楽
- リチャード・ハートレイ
- 字幕監修
- 岡枝慎二