レディ・カロライン

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解説

十九世紀のイギリス貴族社会を舞台に、天才詩人バイロンに恋した人妻の悲劇を描く。製作はフランコ・クリスタルディ、監督・脚本は「アラビアのロレンス」「ライアンの娘」などデビッド・リーン監督とのコンビで有名な脚本家ロバート・ボルト。撮影はオズワルド・モリス、音楽はリチャード・ロドニー・ベネット、編集はノーマン・サベージが各々担当。出演はサラ・マイルズ、ジョン・フィンチ、リチャード・チェンバレン、ジョン・ミルズ、マーガレット・レイトン、ラルフ・リチャードソン、ローレンス・オリヴィエなど。

1973年製作/イギリス
原題:Lady Caroline Lamb
配給:東京第一フィルム

ストーリー

十九世紀初頭のイギリスは、ナポレオンの野望を、ウエリントンが、ワーテルローの戦いにくだいて、ヨーロッパの盟主であった。そうした国家のあり方が国民に反映しないはずはなく、中でも貴族社会の空気は嬌慢に酔って乱脈そのものだった。そんな頃、若い国会議員ウイリアム・ラム(J・フィンチ)とカロライン(S・マイルズ)が結婚した。だが、結婚式の日から、情熱的な妻と学者肌の夫の感情のいきちがいは、そこここに表われた。そんなある日、カロラインは一人の男と運命的な出逢いをした。男の名はジョージ・バイロン(R・チェンバレン)。カロラインはレストランで食事を共にし、さそわれるまま、彼の部屋へ行った。落魄貴族で詩人だというこの男の正体を知りたくなったのだ。部屋には友人の首だというどくろと安いチェリー酒が一本あるだけだった。わが家へ帰ると、ウイリアムは、カロラインがバイロンとレストランにいたことを知っていた。彼女の心を見抜いているようだった。が、とがめなかった。ほっと安堵の胸をなでおろしたものの、感情を表わさない夫の態度を物足りなく思い、悪魔的な詩人の顔が脳裡に浮かんでは消える。数カ月後、バイロンは「チャイルド・ハロルド卿の巡遊」を出版し、詩壇の注目を一身に集めた。ホランド卿主催の舞踏会の夜、バイロンは四頭立ての馬車を借り、小姓姿の少年たちのたいまつを先頭に邸へ向った。彼らしい演出だった。彼をみつめる女たちの熱っぽい視線の中にカロラインのそれもあった。夜が明けて、広間には昨夜の歓楽の残り香がただよっている。その中をカロラインの肩を抱いてバイロンがすり抜けて行った。その日から、バイロンの行くところ、必ずカロラインがいた。彼らの噂は社交界中にひろがり、人々の非難の的となった。だが、しばらくすると移り気なバイロンは他の女に眼をつけ始めた。ウエリントン卿(L・オリヴィエ)の晩餐会で、カロラインはバイロンが女とたわむれているのを目撃した。晩餐を終え、談笑する男たちの前へ現われた彼女の右手に光るものがあった。カロラインの左手首にナイフがつきささる。とり押さえられ、運び出される彼女を見ながら、ウエリントンはつぶやく。「自殺は簡単だ、その気なら」。醒めた皮肉な男の目がそこにあった。激しかったカロラインの恋は深い傷あとを残して終った……。ウイリアムはそんな彼女をやさしく迎えいれた。夫の愛の深さを知ったカロラインにとって、今では夫の心づかいだけが頼りだった。が、そんなある日、彼女は自分の存在が夫の昇進を妨げていることを知った。政治家は妾がいてもいいが、不貞の妻を持ってはならない……それが皇帝自身の意志でもあるという。カロラインは再び馬を駆る。ウエリントンは彼女に忠告した。「夫を助けたいなら別れなさい」。カロラインは弁護士を呼んで離婚のための合意書を作らせた。ウイリアムは、その頃、突然家を出て行った彼女を探しあぐねていたが、すべてが行きちがいだった。嵐の夜、カロラインは吹きつける水滴と荒々しい木々の咆哮の中に音もなく倒れた。

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