ルートヴィヒ 完全復元版
劇場公開日 2016年5月14日
解説
イタリアの巨匠ルキノ・ビスコンティが、バイエルン王ルートビヒ2世の人生を描いた歴史大作で、ビスコンティ監督が当初意図した編集が実現した、初公開版よりも100分近く長い「完全復元版」。1972年の製作当時は、配給会社の意向で約140分に短縮されて公開。日本では80年に劇場初公開され、「ルードウィヒ 神々の黄昏」の邦題で約180分のバージョンが上映された。その後、ビスコンティ監督の当初の構想に近い約4時間のバージョンで実現したのが「完全復元版」となる。日本では89年のビデオ発売時に「ルードウィヒ 神々の黄昏 復元完全版」のタイトルで特別上映。2006年の「ヴィスコンティ生誕百年祭」では、「ルートヴィヒ 完全復元版」と改題され、オリジナルネガの修復版プリントで公開された。さらに16年、ビスコンティ監督生誕110周年、没後40年を記念した特集上映「ヴィスコンティと美しき男たち アラン・ドロンとヘルムート・バーガー」で、初のデジタルリマスター版での公開が実現。物語は1864年、父の後を継いで18歳でバイエルン国王に即位し、「狂王」と呼ばれ、40歳で謎の死を遂げたルートビヒ2世の、音楽家ワーグナーへの傾倒やオーストリア皇后への実らぬ恋、戦争からの逃避など波乱に満ちた生涯を描く。「地獄に堕ちた勇者ども」(69)、「ベニスに死す」(71)とあわせてビスコンティ監督の「ドイツ3部作」と呼ばれる。
1972年製作/237分/イタリア・西ドイツ・フランス合作
原題:Ludwig
配給:クレストインターナショナル
日本初公開:1989年3月24日
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2020年10月5日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD
ビスコンティ監督が制作したオリジナル4時間版のデジタルリマスター版。
主要キャスト3人を始め脇役に至るまで、若者は全員イケメン。女性陣も美人揃い。衣装もセットもロケも豪華で監督のこだわりが満載。特にオットー役のジョン・モルダー・ブラウンの病んでいく演技がよかった。
ストーリーは判明している範囲の史実にほぼ忠実で、豪華な歴史絵巻を見ているような気になれた。
それと、大作曲家ワーグナーが曲は素晴らしいのに本人がいかにカスだったか⁉︎が詳しく描写されているのも興味深かった。
2020年7月13日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
とにかく映像が優美。
いま、予算をかけて豪華に撮っても出せない美しさがある。
ルートヴィヒが公務に関心を示さなくなっていったあたりからのヘルムート・バーガーが良い。
前半の何をしでかすか分からない危ない感じから、顔も青白く周りが狂気と呼ぶ精神状態に向かってゆく様が見事だった。
2018年11月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館
耽美的な雰囲気の、ルートヴィヒ2世の髪型に惹かれて観た作品。
日本では89年のビデオ発売時に「ルードウィヒ 神々の黄昏 復元完全版」のタイトルで特別上映。
おそらくこの時に観たんだろう。
たしかインターバルもあってなかなか難解な作品だなと思って観た記憶が残る。
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「騎士伝説」を愛していながら、戦争に行かない王の苦悩は 我々には伝わり難い
映画はほとんど 室内劇の模様を呈するので(笑)
視覚的にも少々退屈する
外からの訪問者(エリザベート、神父、公爵、大佐など)の叱責と行動が 波紋を起こすのみ
後半 王が不安定になってから、ドラマ性もたかまり 結末へと突入する
「血の同盟」というが ヨーロッパでは上層部
(王や貴族)が 所詮、親戚縁者という意味であろうか
ビスコンティは この王に 血の近さ、血の濃さ、を感じたのだろう…
二人とも 女性よりも、美青年を好むのは(エリザベートは別格、監督にとってのシュナイダーもそう)
この血の濃さへの忌み、もあるのだろうと考える
(弟が錯乱するのは、戦争のせいだけではない… )
神々がたそがれる、訳である
王の嗜好で(監督も) 美男子、美青年が多々 配されている
この映画製作の時点では 男色ということを表現するのに限界があって(しかし、誰が見ても明らか… なのだが)暗示にとどまり、もう一つ 踏み込めなかったことが 前半の王の苦悩の伝わり難さの一因でもあるだろう
バーガーは この難役をよく頑張っている、後半から凄みが出て 感情移入も出来た
しかし、美男子揃いの俳優陣の中で 一番 輝いているのは、女性であるエリザベート役のシュナイダーであろう
得な役柄とはいえ、演技にもめりはりがあり、煌めくように美しい(思わず 目で追ってしまう!)
彼女の登場で 映画も締まり、女優としての成熟が感じられる
ドイツの歴史の知識がもっと有れば、 また違う見方も出来るかもしれないと思う
ちなみに かの国では、この王は「メルヘン王」と呼ばれているらしい
美男子のオンパレードなのも、お花畑を見てるみたい!
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