リトル・ショップ・オブ・ホラーズ

劇場公開日:

解説

ニューヨークのダウンタウンに店を構える売れない花屋の店員と吸血植物の愛憎を描く。ロジャー・コーマン監督の未公開作品“The Little Shop of Horrors(61)のミュージカル舞台劇版の映画化作品。監督は「ダーク・クリスタル」の共同監督でマペット作家のフランク・オズ、製作はデイヴィッド・ゲフィン、脚本・作曲はハワード・アシュマン、撮影はロバート・ペインター、プロダクション・デザインはロイ・ウォーカー、特殊視覚効果はブラン・フェエレン、“オードリー2”デザイン・創造はライル・コンウェイ、音楽はマイルス・グッドマン、作曲はアラン・メンケン、編集はジョン・ジンプソンが担当。出演はリック・モラニス、エレン・グリーンほか。

1986年製作/アメリカ
原題または英題:Little Shop of Horrors
配給:ワーナー・ブラザース映画
劇場公開日:1987年4月18日

あらすじ

スキッド・ロウの花屋の店員シーモア・クレルボーン(リック・モラニス)は、小さい頃に拾われた主人のマシュニク(ヴィンセント・ガーディニア)に、まるで奴隷のようにこき使われている。孤独なシーモア青年のたったひとつの心のよりどころは同僚の女店員オードリー(エレン・グリーン)である。彼女はグラマーな金髪娘だがちょっとオツムが弱く、暴君の歯科医の愛人オリン・スクリヴェロ(スティーヴ・マーティン)に痛めつけられていた。シーモアの唯一の趣味はいろいろな花を可愛がることだが、ある皆既日食の日、不思議な鉢植えに出合った。彼は名前も知らないその鉢植えの植物を“オードリー2”と名づけて、地下室で育てることにした。ある日、シーモアがそのつぼみを何気なくつついたところ、何とそのつぼみは彼の指先に喰いつくではないか。それだけではなくまったく信じられないことに血をピチャピチャ吸いはじめたのだ。それからというもの、オードリー2は毎日血を求め、次第に大きくなっていった。オードリー2をウィンドーに飾ったところ、カンコ鳥が鳴いていた花屋は連日押すな押すなの大盛況で店主のマシュニクは、オードリー2の面倒をちゃんとみるように厳命した。そのためシーモアの体内からは血が減っていき、顔色が悪くなっていった。今やシーモアはマスコミの寵児になったが、店の存亡は彼がオードリー2にどれだけエサを与えるかにかかっていた。シーモアはある決断を下した。自分の身体とオードリーの愛を獲得するために――。それは歯科医のオリンを殺害してその死体をオードリー2のエサにすることだった。計画は成功したものの、死体を運んでいるところを主人に目撃され、彼をも殺害してオードリー2に食べさせてしまう。オードリー2の欲望は際限がなくなりシーモアはついに彼女を連れて逃げだそうとする。それを察知したオードリー2は怒り出し、ついには自らの身体を膨れあがらせて自爆、崩れ落ちてきた建物の下敷きになってしまう。

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スタッフ・キャスト

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受賞歴

第59回 アカデミー賞(1987年)

ノミネート

視覚効果賞  
主題歌賞

第44回 ゴールデングローブ賞(1987年)

ノミネート

最優秀作品賞(コメディ/ミュージカル)  
最優秀作曲賞 マイルズ・グッドマン
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写真提供:アマナイメージズ

映画レビュー

3.5宇宙からの吸血植物を描く、異色のミュージカル

2025年4月22日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

カワイイ

【イントロダクション】
B級映画の帝王、ロジャー・コーマンによる1960年の同名映画が、1982年にアラン・メンケンとハワード・アッシュマンによりオフ・ブロードウェイ・ミュージカル化され、本作はそのミュージカルの映画化&映画のリメイク版。映画からミュージカル、ミュージカルから映画にという変わった経緯を持つ。

貧民街の花屋で働く冴えない青年が、宇宙からやって来た吸血植物の鉢を手にし、成功していく過程を描く。
出演にコメディアン出身のリック・モラニス。舞台女優、歌手のエレン・グリーン。
監督は、『セサミストリート』や『スター・ウォーズ』シリーズのヨーダの声での声優経験も持つフランク・オズ。
脚本に、『美女と野獣』(1991)、『アラジン』(1992)等の作詞家で、舞台版も手掛けたハワード・アッシュマン。

【ストーリー】
1960年代。貧民街《スキッド・ロウ》の小さな花屋。店主のムシュニク(ヴィンセント・ガーディニア)は、繁盛しない店に嫌気が差していた。孤児で引き取った従業員のシーモア(リック・モラニス)は要領が悪く、もう1人の従業員オードリー(エレン・グリーン)は恋人からのDVに悩んでいる。

ムシュニクは、とうとう店を畳むかと口にする。慌てたシーモアとオードリーは、皆既日食の日にシーモアが花市で手に入れた不思議な植物を見せる。シーモアは、密かに想いを寄せるオードリーの名を取って、植物に“オードリーⅡ”と名付けた。

オードリーⅡを店先のウィンドウに置くと、たちまち客が押し寄せ、店が繁盛するようになる。ムシュニクは喜びはしゃぐが、オードリーⅡは閉店後に枯れかかってしまう。シーモアは、あらゆる手を尽くしてオードリーⅡを甦らせようとするが、どれも上手くいかない。しかし、シーモアが不注意から指を負傷し出血すると、オードリーⅡはそれを欲しがった。
シーモアが恐る恐る血を与えてみると、オードリーⅡは活気を取り戻した。オードリーⅡは、読みも珍しい生き血を啜る吸血植物だったのだ。

やがて、店は繁盛し、オードリーⅡを育てた事でシーモアは有名人になっていく。しかし、想いを寄せるオードリーは、恋人のオリン(スティーヴ・マーティン)からのDVに悩んでおり、オードリーⅡは更なる血を欲するばかりである。

ある夜、遂に人語を話せるまでに成長したオードリーⅡは、シーモアにオリンを殺害するよう焚き付け、更なる血を得ようとする。

【感想】
地球侵略が目的の吸血植物との出会いから対決までを描くという異色のミュージカル。

アニマトロニクスを駆使して表現されるオードリーⅡが素晴らしい。手作り感満載ながら、動きの滑らかさは抜群。鉢植えに収まっていた時は可愛らしく、肥大化して店内の天井に届くほどの大きさに至ってからは太々しく、それぞれ違った魅力を放っていた。
人語を話し始めてからの我儘で禍々しい本性を表し始めたキャラクター性も面白い。声の出演によるリーヴァイ・スタッブスの演技と歌唱もノリが良く楽しい。

手作り感と言えば、時代を感じさせるセットの美術も愛着が湧く。街の向こうに見える電車は、実際に走らせているというから凄い。その更に奥に広がる空は、どう観てもボードに描かれた絵なのだが、その質感は全てをCGで表現出来てしまう現代にはない温かみすら感じさせる。

エレン・グリーンの歌唱力は、流石歌手といったところ。ただし、そういう演技指導なのだろうが、普段の会話のトーンがワザとらしいのはマイナス。

ロネット(ミシェル・ウィークス)、クリスタル(ティチナ・アーノルド)、シフォン(ティーシャ・キャンベル)の3人組コーラス隊によるメインテーマが印象的で耳に残る。また、作中度々登場してはストーリーを盛り上げてくれていた。

オーディオコメンタリーによると、ラストの展開はバッドエンドになる予定だったそうだが、テスト試写の反応が芳しくなく、急遽再撮影をしてハッピーエンドに作り直したそう。
だからこそ、オリンや(事故とはいえ)ムシュニクをオードリーⅡの犠牲にしたシーモアが、オードリーと幸せな生活を手に入れる事に違和感を抱く。しかし、庭の花壇の中に再び小さくなったオードリーⅡが紛れ込み、不適な笑みを浮かべているのが完全なるハッピーエンドとは言えない塩梅を演出している。

【総評】
ミュージカルにしては珍しいSFやホラーを扱っているので、ミュージカルとしても異彩を放っている。また、手作り感満載の美術やセットの魅力がクセになる。基になった映画やミュージカルと共に、カルト的な人気を獲得した事も頷ける。

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緋里阿 純

4.0素晴らしい

2025年3月22日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

クリーチャー造形

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映写機おじさん

3.5旧新宿ピカデリーで鑑賞

2024年6月30日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

印象に残っているのはビル・マーレーだ。

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ムーラン

3.0小さい頃は可愛かったのに・・・

2024年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

楽しい

怖い

単純

兎にも角にも吸血植物オードリーⅡの造形が素晴らしいです。特に唇(花弁?)の動きの繊細さは一見の価値があります!
小さい頃の指にチューチュー吸い付くシーンが可愛いので、おどろおどろしい姿に成長してしまうのが軽くショックですが、その代わりに軽妙な節回しが小気味良い、イカした唄声を披露してくれます。

物語的にはそんなに…な映画ですが、セットで組まれたスキッド・ロウ(貧民街)は汚いスラムなのにどこか幻想的な雰囲気ですし、オリジナル版からのキャラクターも上手くアレンジされています。特にスティーブ・マーティン演じる「ワル」のサディスト歯科医は、彼の名演もあっていいアレンジだと思いました。この調子でオリジナル版にいた主人公の母親も上手くアレンジして登場させてくれたら良かったのになぁと少し残念に思いました。

ラストシーンは終わったようで終わらない恐怖が描かれ、正しくホラーしていますが、主人公にはもっと自分の行いへのペナルティがあっても良かったのかなと思います。

余談ですがスーパーファミコンソフト「スーパーマリオRPG」(1996年)のCMはこの映画の影響がありそうですね。

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モアイ

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