夕陽のガンマン

劇場公開日:2024年3月22日

夕陽のガンマン

解説・あらすじ

「荒野の用心棒」で世界中に“マカロニ・ウエスタン”ブームを巻き起こしたセルジオ・レオーネ監督と主演のクリント・イーストウッド、音楽のエンニオ・モリコーネが再結集し、2人の賞金稼ぎの共闘と友情をスタイリッシュに活写した西部劇アクション。

凶悪犯エル・インディオが刑務所から脱獄し、1万ドルの賞金が懸けられた。インディオ一味を追う若き賞金稼ぎ・モンコと商売敵のモーティマー大佐は、一味全員の賞金を山分けすることを条件に手を組むことに。2人は反発し合いながらも次第に絆を深め、インディオを追い詰めていくが、大佐にはある別の目的があった。

「真昼の決闘」のリー・バン・クリーフがモーティマー大佐を存在感たっぷりに演じた。同じくレオーネ監督とイーストウッド、モリコーネがタッグを組んだ「荒野の用心棒」「続・夕陽のガンマン 地獄の決斗」とあわせて「ドル3部作」と呼ばれる。

1966年製作/132分/イタリア・スペイン・西ドイツ合作
原題または英題:Per qualche dollaro in meno
配給:アーク・フィルムズ
劇場公開日:2024年3月22日

その他の公開日:1967年1月20日(日本初公開)

原則として東京で一週間以上の上映が行われた場合に掲載しています。
※映画祭での上映や一部の特集、上映・特別上映、配給会社が主体ではない上映企画等で公開されたものなど掲載されない場合もあります。

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映画レビュー

4.5 実は今年(2025)は100周年

2025年12月10日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

興奮

斬新

 前作『荒野の用心棒』(1964)の成功を受けて製作されたセルジオ・レオーネ監督のマカロニ・ウエスタン第二弾。

 前回、まともなプロデューサーに巡り会えずろくでもない出資者と関わったせいで、盗作の汚名を背負う羽目になったレオーネ。
 本作で組んだアルベルト・グリマルディは、のちにフェリーニ作品や多くの大作を手掛けることになる「まともな」プロデューサー。
 もっとも『荒野の用心棒』の時もレオーネは彼に脚本を送っていたのに、レオーネと仲が悪かった事務所のスタッフが見せずに隠してしまったんだとか。

 配給もアメリカの大手ユナイト映画(UA)が担当することが製作前に決まり、60万ドルの製作資金を手に入れスケールアップした作品に仕上げている。

『用心棒』(1961)の筋書に倣い主人公が単独で二つの勢力に立ち向かう構図だった前作と異なり、あらたに登場した凄腕ガンマンと同じ標的を巡って繰り広げる丁々発止の見せ場が本作の特徴。
 以降、連携と離反を繰り返す男二人の複雑な関係はレオーネの遺作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』(1984)に至るまで全作に共通するテーマとなるが、一人っ子で兄弟ゲンカの経験もなく育った彼が厳格な母親に近所の悪ガキとの接触を禁じられていた子供時代の原体験が影響しているともいわれる。

 ほかにもエンニオ・モリコーネの音楽をバックに盛り上げていく劇的な決闘シーンや、効果的なフラッシュバックの挿入もレオーネ作品の定番に。ロングショットと極端なクローズアップを対比した独特の演出、いわゆるレオーネ・スタイルも本作で確立している。

「ハリウッド西部劇のファン」と単純化して語られることの多いレオーネだが、通常“bounty hunter”と称される賞金稼ぎが本作では“bounty killer”に統一されており、そんなところにも彼ならではのアイロニーが読み取れる気も。

 犯罪グループの凶悪なリーダー、エル・インディオが劇中で吸っているのは煙草ではなく、マリファナ。西部劇というジャンルに留まらず、メジャーな作品に麻薬を持ち込んだことも画期的。

 主演のクリント・イーストウッドと前作でも敵役を演じたジャン・マリア・ヴォロンテに加え、のちのヴェルナー・ヘルツォーク作品の常連俳優クラウス・キンスキーがワイルド役を怪演。

 前作のコメディリリーフ的存在だったヨゼフ・エッガーは、汽車嫌いの情報屋を今回もコミカルに演じている。
 翌1966年に他界し、本作が遺作に。

 作品冒頭で殺されるお尋ね者のガイ・キャラウェイを演じている俳優は『続・荒野の用心棒』(1966)のリンゴ役など、マカロニ・ウエスタンの多くに顔を出してるのに、ノンクレジットだったり別名義で表記されるせいか日本の媒体でも間違った名前で紹介されることが多いが、本名はホセ・テロン・ペニャランダ。
 本業はスタントだったそうだけど、確かにあのご面相じゃ顔出しで使ってみたくなるよね。
 2019年没。

 スタイリッシュな衣裳とエル・パソの街並みをデザインしたカルロ・シーミがエル・パソ銀行の頭取役でカメオ出演している。

 前作で主役のキャスティングに手間取ったのに続き、本作のモーティマー大佐役も例によってヘンリー・フォンダ、チャールズ・ブロンソンらに断られた挙げ句、ほぼ本決まりだったリー・マーヴィンは欠員の出た『キャット・バルー』(1965)に掻っさらわれる始末。

 その後の展開は当事者の証言に微妙な異同はあるが、単なる消去法的選択ではなく、マーヴィンに逃げられた時点で『リバティ・バランスを射った男』(1962)で彼と共演していたリー・ヴァン・クリーフをレオーネが明確にロックオンしていた節が窺える。

 ヴァン・クリーフは名作西部劇『真昼の決闘』(1952)で印象的な銀幕デビューを果たした後も、セリフがなかったり物語の本筋に絡むことなく途中で出番のなくなるような端役ばかりで、本作の出演が決まる前には交通事故で膝を痛めて乗馬が出来ない状況(つまり西部劇には出られない)。
 俳優として引退同然の身だったが、実年齢40歳で初老のガンマンを貫禄たっぷりに演じたことが評価され、一気にマカロニ・ウエスタンのトップスターに。
 TV俳優で燻っていたイーストウッドに続き、万年端役の彼を抜擢したレオーネの慧眼はやはり凄いと思う。

 前作では機知に富んだ飄々たる雰囲気の流れ者を演じたイーストウッドが今回演じるモンコは、思慮深く周到なモーティマー大佐との対比から短慮でやや粗暴な設定。
 それを反映して、前作で哀愁漂う『さすらいの口笛』を作曲したモリコーネも、主題曲を硬派な感じに仕上げている。

 劇中の音とBGMがシンクロしていくモリコーネのスタイルも本作以降、定番に。
 オルゴールの音色を引用した『ガンマンの祈り』は今でもたまにCMに使われたりしている。

 子供の頃からマカロニ・ウエスタンの大ファンだが、特にリー・ヴァン・クリーフは中学から大学卒業して地元を離れるまで彼の特大パネルを部屋に飾っていたほど大好きな俳優(その後、パネルは実家を離れてる間に物置と化した自室でお陀仏に。トホホ)。

 学生時代、今はなき地元の映画館、大宮コマ・ゴールドで本作を上映してることを知りながら、諸般の事情で観に行けなかったことがずっと心残りだったので、昨年「ドル三部作4Kレストア特集」で拝見出来て感謝感激。3回観ました。
 劇場の大スクリーンで観たヴァン・クリーフのクローズアップは痺れるほどキマッていた。
 そして、本作のレビューで多くの方も彼の事を「カッコいい」と評価してくれてることが、そのときの気持ちと同じくらい嬉しい。

 NHK-BSにて視聴。

 2025年も間もなく暮れようとしているが、実は今年はリー・ヴァン・クリーフ生誕100周年の節目。
 そんな思惑で放送したのではないと思うが、2週続けて彼の出演作が観られることにも感謝。

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TRINITY:The Righthanded Devil

4.0 去り際の夕日

2025年9月13日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

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しゅうへい

5.0 映画劇場の空間で観る至福は特別。

2025年5月28日
Androidアプリから投稿

テレビ放映(たぶん放送時間に合わせてズタズタなショートバージョン)が初体験。その後、雨の降りまくったフィルム上映の名画座。レンタルビデオやDVD。コンディションの良い映像音声で、大スクリーンで堪能するのは初体験。セルジオ・レオーネの洒脱な演出、エンニオ・モリコーネの血湧き肉躍る圧巻の口笛テーマ曲。そしてクリント・イーストウッド、リー・バン・クリーフ、ジャン・マリア・ヴォロンテ!映画ってコレだよねえ。

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t2law

3.0 マカロニ

2025年5月18日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

久しぶりに西部劇を観ようかなって思って、マカロニ・ウェスタンを観ました。クリント・イーストウッドもリー・ヴァン・クリーフも格好よかったです。問答無用に撃つ!ほんのちょい役でしたが、ローズマリー・デクスターも魅力的でした。今作と「続・夕陽のガンマン」(66)がクエンティン・タランティーノ監督のお気に入りというのも頷けます。「キル・ビル」(03)や「ヘイトフル・エイト」(15)があるのもこれらの作品のお陰といっても過言ではありませんね。西部劇というと、個人的には「荒野の決闘」(46)、「荒野の七人」(60)、「3時10分、決断のとき」(07)などが好きですが、まだ観てない名作もたくさんあるので、時々観ようと思いました。

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赤ヒゲ