無防備都市

ALLTIME BEST

劇場公開日:

解説

ロベルト・ロッセリーニがナチスドイツに抵抗するレジスタンスの戦いを描き、イタリア・ネオレアリズモの原点にして代表作となった記念碑的作品。第2次世界大戦末期。レジスタンスの指導者マンフレーディは資金調達のため、ナチス支配下にあるローマへやって来る。ゲシュタポに追われているマンフレーディは同志フランチェスコの家に匿ってもらい、神父ドン・ピエトロに連絡役を頼む。フランチェスコとピーナの結婚式の日、彼らはゲシュタポに襲われ、マンフレーディは逃げ延びるが……。若き日のフェデリコ・フェリーニが脚本に参加。1946年・第1回カンヌ国際映画祭で、当時の最高賞にあたるグランプリに輝いた。

1945年製作/103分/イタリア
原題または英題:Roma citta aperta
配給:イタリフィルム
劇場公開日:1950年11月7日

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映画レビュー

3.5あの時の出来事を

2024年5月7日
PCから投稿

イタリア側から そして 作者の視点から 忠実に描いたもの
それだけ。我々は多少なりともあの戦争の勉強をしているので ここで描かれてるものがその中のほんの一部 、ほんの一面性でしかないことを知っている。 そしてそのことが大きな要因となって映画を見終わったあと、余韻が強く残った
そしてあの頃の出来事、 あの辛さをあの憎しみを忠実に描いたはずのこの映画の写真的 芸術性の高さは 何だ? 本当に伝えたいから作ったのか、作品を作りたかったから作ったのか この人は? ・・・という変な矛盾のようなものも そこに感じた。

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タンバラライ

3.5素晴らしかった

2023年7月8日
iPhoneアプリから投稿

2部構成となっており
一人の死をも淡々と描く姿勢が良かった。

最初の方ではどこをどう描きたいのか
飲み込むのが難しいんだけど、
2部になってくっきりとわかった

それと、2部の女性たちよ
あれは結局、騙されたってことなんだよね

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JYARI

5.0ローマ解放へ!! 映画の力強さを感じる。

2023年6月3日
PCから投稿

製作は1945年
物語は第二次世界大戦中のローマ。
イタリアを支配する非情なドイツ軍と
傷つく国を守るローマ市民。

この映画には「名画とは…」の答えのひとつが有る。

恐怖と怒りと叫びと勇気。
国を支配されたら
黙り、言いなりになるか
レジスタンスになるか。
そのどちらかしか無い。

死ぬことより、生きることの方が難しい。

映画は神父と子供達の衝撃的なシーンで終わる。
観ている誰もが、この後のことを想像する。
それが、更なる強い感情を呼び起こす。



過去の出来事では無い。
今、彼の国で行われている戦争。
侵略のためなら簡単に引き金を引く。
本当に占領されたらもっと残酷だろう。

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星組

4.5占領下のレジスタンスを冷徹に描いたネオレアリズモ映画の衝撃作

2022年5月6日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

第二次世界大戦末期にイタリアは混乱と苦難の特殊な事情に置かれて、それは占領したナチス・ドイツ軍の残虐性を如実に表していると思う。敗戦国イタリアに対してナチス・ドイツが補強した政治は、主人としての地位を思う存分悪用するものだったという。それに対するレジスタンスの記録として制作されたのが、この映画史に画期的な変革をもたらしたネオレアリズモを象徴する『無防備都市ローマ』である。ゲシュタポと戦う反ファシスト地下運動の記録を基に、小説家セルジョ・アミディがまとめた脚本には、まだ無名のフェデリコ・フェリーニも参加している。デ・シーカやヴィスコンティとはひと味違うロッセリー二の演出には、敗戦後の社会不安の悪条件の中、現実を直視した映画制作を敢行する意欲と情熱が直に伝わる。題材は違うが、同じ戦時下に作られたフランス映画の大作「天井桟敷の人々」に感じた映画に賭ける力強いエネルギーに圧倒されてしまった。

それは俳優たちの真剣な表情を観れば明らかであろう。レジスタンスの緊張した心理状態は刻々と変化を見せて、インサートされる残虐非道なナチスのベルクマン少佐のシーンと対比されて緊迫感を深めていく。地下運動の指導者ジョルジオがゲシュタポに追われ同志フランチェスコのアパートに逃げ込む発端から、彼らの良き協力者でもあるドン・ピエトロ神父が反逆者の宣告を受けて無残に銃殺刑にされるラストまでの男も女も、そして子供たちまでも、それは演技の枠を超えて迫真の表情を見せる。ロッセリーニの演出力と、この状況下にいたイタリア人が本来持っている表現力の豊かさの賜物であろう。特にフランチェスコがナチスに連れ去られ、追い掛ける婚約者ピーナが殺されてしまうシーンのアンナ・マニヤーニの演技と、それを捉えた臨場感のある鋭敏なカメラワークは、残虐そのもので衝撃的だった。劇映画(フィクション)のドラマティックな演出とは違う、このリアリズムの迫真性に公開当時はもっと衝撃を受けたのではないだろうか。そこに至るまでのピーナの行動力や生活感が確りと描かれているからこそ、そのシーンが更に訴える力を持っている。そしてピーナの息子マルチェロが泣き叫ぶ悲劇の場面は、イタリア映画のひとつの特性を表していると思った。オペラの国イタリアの正しくドラマの感情表出。
恋人マリーナの裏切りによってゲシュタポから凄惨な拷問にあうジョルジオ、対してピーナの孤児との別れを惜しんで逮捕を逃れたフランチェスコと、緊迫した攻防の中のそれぞれの命運がリアリズムの真実味とドラマの両面を構築している。ロッセリーニ監督の演出は、室内シーンを安定したカメラワークで撮り、屋外ではカメラの揺れを意識したドキュメンタリー技法で張り詰めた臨場感を印象付ける効果を狙って、独特なドラマを創作することに成功を収めたと言えるだろう。

冷徹な視点によるリアリズムの映画ではあるが、その根底には敗戦から占領の混乱を経験した母国イタリアの人々に対する、作家としての熱い想いがある。そこに私は、ロッセリーニ監督の良心を見た。イタリアが最悪の状態から、このような感動と衝撃のネオリアリズモを世界に知らしめた時代の証明は、とても意味があると思う。レジスタンス運動で命を落とした人々への鎮魂歌も含めて。役者では、名女優アンナ・マニャーニを筆頭に、ドン・ピエトロ神父のアルド・ファブリーツィ、ジョルジオのマルチェロ・パリエーリが特に素晴らしく、称賛したい。

  1978年 6月5日  フィルムセンター

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Gustav