スティーブン・キング/マングラー

劇場公開日:

解説

モダン・ホラー界の巨頭スティーブン・キングの短編小説「人間圧搾機」(邦訳・扶桑社文庫『深夜勤務』所収)を映画化したホラー。悪魔が取り憑いたマングル(洗濯用プレス機)が人間を襲う奇想天外な恐怖譚。監督は「スポンティニアス・コンバッション」『ボディ・バッグス』(V)のトビー・フーパー。製作は「サラフィナ!」のアナント・シン、エクゼクティヴ・プロデューサーはハリー・アラン・タワーズ、シュダール・プラジー、サニィーヴ・シン、ヘレナ・スプリングの共同、脚本はフーパーとスティーヴン・ブルックス、ピーター・ウェルベックの共同、編集はデイヴィッド・ハイトナー、美術はデイヴィッド・バーカム、SFXは「ディック・トレイシー」のスティーヴン・ブルックス、「マングラー」のデザインをフーパーの息子のウィリアム・フーパー、特殊メイクはスコット・ウィーラーがそれぞれ担当。出演は「エルム街の悪夢」シリーズのロバート・イングランド、「羊たちの沈黙」「ラスト・アウトロー」のテッド・レヴィンら。

1995年製作/アメリカ
原題または英題:The Mangler
配給:ワールド・ピクチャーズ=エスピーオー・エンターテインメント
劇場公開日:1995年6月17日

ストーリー

アメリカ、ニューイングランドはライカーズバレー。この小さな町の主要産業は時代遅れの巨大マングル(洗濯用プレス機)が鎮座するブルーリボン・ランドリー社のみ。町の実力者にして社長のウィリアム・ガートレー(ロバート・イングランド)は老齢の上両足が不具。にもかかわらず、今なお会社を独裁、大半が女性である社員には暴君として振る舞い、リン・スー(リサ・モリス)という愛人まで囲っていた。そんなある日、作業員の一人ガートレーの姪シェリー(ヴァネッサ・パイク)が運搬中の製氷機にぶつかり怪我をする。マングルにしたたる血。これをきっかけに、マングルに作業員が引き込まれ圧死する原因不明の事故が起こる。事件を担当するハントン刑事(テッド・レヴィン)は隣人で義弟でもあるオカルト狂のジャクソン(ダニエル・マトマー)も巻き込み、捜査を続けるうち、あの日ランドリーから運ばれた製氷機が子供を窒息死させたことを知る。怪現象に混乱し、製氷機に斧をふるったハントンは来合わせた老カメラマンとともに、それから怪光が発するのを目撃する。死期間近だった老カメラマンはハントンに驚くべき事実を遺言に残して死ぬ。町の近隣の多くの処女たちが16歳の誕生日に失踪しており、その中には件のガートレー社長の実の娘もいたのだ。事件の謎を解くためハントンはジャクソンとガートレーの下へ押しかける。何とガートレーは事業の成功のため、悪魔と取引、おのれの足ばかりか実の娘まで生贄にささげ、悪魔の魂を持つマングルを造り上げたのだった。ガートレーは16歳の誕生日を迎えたシェリーを生贄に捧げようとするがハントンらに阻まれ、代わりに自分がマングルに呑み込まれる。ジャクソンはマングルの悪魔払いをはじめるが果たせず、突如として床から剥がれ上がり生命を持って動きはじめたマングルに惨殺され、ハントンとシェリーはからくも逃げのびる。マングルは外へは出なかった。数週間後。何事もなかったかのようにマングルが稼働するブルーリボン・ランドリー。指揮をとるのは悪魔と取引したシェリーだった。

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映画レビュー

3.5素敵な不意打ち

2021年8月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

笑える

楽しい

興奮

新文芸坐boid sound映画祭にて

怪優の共演で送るS・キングB級映画群の1本

変な気分が最後まで持続するクレイジーな展開

マトモな神経では作れない非日常感に痺れる

*黒沢清のトビーフーパー話も面白かった

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労働4号

2.5戦慄! 血を吸う業務用プレス機!!

2018年10月15日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

怖い

寝られる

久々も久々に、勝手にスティーヴン・キング原作映画特集その20!
今回は『悪魔のいけにえ』等で知られるホラー界の巨匠
トビー・フーパ―監督作、『マングラー』をご紹介。

あらすじ。
舞台はクリーニング工場『ブルーリボン』。
その工場の真ん中には、シーツなどを乾燥させて折り畳む為の巨大なプレス機が鎮座している。
ある日、工場で働く若い女性が手に怪我をし、彼女の血がそのプレス機に流れ込んだ。
その日を境に、プレス機の周囲で次々と怪異が発生!
従業員がプレス機に巻き込まれて死んだり、スチームが吹き出して大火傷を負ったり……。
事件を捜査する刑事ハントンはやがて、一連の事件がプレス機そのものの仕業であると気付く。
なんと、人の血によってプレス機に邪悪なものが憑依し、人を襲い始めたというのだ……。

...

ほああ、とんでもないあらすじである。
自宅の洗濯機や食器乾燥機が襲ってきたら、そりゃ実際に起きたら怖いが、想像すると笑えてくる。
まあごくごく身近なブルーカラーの生活に超自然的な存在が介入する点は実にキング的ではある。

こちらは短編集『深夜勤務』の一編『人間圧搾機』(邦題もすげえ)の映画化だが、
元が短編なので、100分の映画にするために本作では相当に話を膨らませてある。
一番大きな追加要素は、ロバート・イングランド演じる邪悪な工場長の陰謀が描かれる点か。
人を人とも思わぬ悪どい工場長と、劣悪な環境で休む間もなく働かされる従業員たち……
という描写には、「利益優先で人間性を無視する現代」という社会的テーマを感じる気がしないでもない。
また、原作では挿話程度の扱いだった冷蔵庫が本編とリンクする形で登場したり、
イヤーな感じで終了する原作ラストのその後も描かれる点は、原作ファンには面白いかな。

えげつなく派手なショックシーンは随所に登場するし、邪悪なプレス機“マングラー”の
クライマックスの“変身”や謎の地下空間での逃亡劇ははなかなかの迫力だ。
また、主人公の刑事ハントン役はテッド・レヴィン、
邪悪な工場長がロバート・イングランド、
とくると……イエス! バッファロー・ビル&フレディ・クルーガーという名殺人鬼2人の対決!
(まあテッド・レヴィンは『ヒート』や『名探偵モンク』
 で刑事役を演っているので本作はそっち寄り)

...

けど、まあ、ね……。本作、正直そんなにエキサイティングな出来ではないです。

“マングラー”の大暴れを期待していたのだが、いちばん暴れてるのはその邪悪な工場長さん。
両足のギプスをガシャコンガシャコン鳴らし、ニタニタ笑いを浮かべてセクハラ・パワハラ三昧。
ロバート・イングランドのハイテンションなハッチャけぶりに、逆に“マングラー”が食われとる。
彼の気持ち悪~い怪演を延々と見せられることに乗れるかどうかがミソだ。

あと、クライマックスでは“マングラー”に対してエクソシズムを試みる展開となるのだが、
大の大人が必死の形相でプレス機に怒鳴りまくる画はものっすごいシュールである。
主演陣は一体どんなテンションでこのシーンをこなしたんだろうか……。

謎の新聞記者J・J・J・ピクチャーマン(しらふでつけたとは思えない役名)という
物語上での役割がサッパリわからないじいさんがやたら存在感を放っていたり、
工場長が登場するシーンが長ったらしかったり、色々とバランスが悪い映画という印象。

...

以上!
なんだかんだ原作をしっかり踏襲してはいるし、主演陣の怪演やザッツB級ホラー!な雰囲気は
楽しめるので、その手の映画が好きな人には割とオススメかしらん。
けどまあ、全体的には冗長な出来かなあ。個人的な評価はイマイチです。

<了> ※2018.10初投稿

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浮遊きびなご

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