真昼の決闘

ALLTIME BEST

劇場公開日:1952年9月16日

解説・あらすじ

ゲイリー・クーパー扮する保安官が4人の無法者にたった1人で立ち向かう姿をリアルな描写で描き、1953年・第25回アカデミー賞で主演男優賞など4部門を受賞した傑作西部劇。ジョン・W・カニンガムの短編小説を基に「戦場にかける橋」のカール・フォアマンが脚色を手がけ、「地上より永遠に」などの名匠フレッド・ジンネマンがメガホンをとった。1870年、西部の小さな町ハドリービル。保安官ウィルは結婚を機に退職し、町を出ようと考えていた。そんな彼の元に、かつて逮捕した無法者ミラーが釈放され、仲間を引き連れて復讐にやって来るという急報が届く。ウィルは町の人々に加勢を頼むが、誰もがミラーを恐れ協力を拒否。ウィルはたった1人で4人を相手に戦うことを決意する。ヒロイン役には当時ほぼ無名だったグレイス・ケリーが抜てきされ、一躍注目を集めた。

1952年製作/84分/G/アメリカ
原題または英題:High Noon
配給:ユナイテッド・アーチスツ
劇場公開日:1952年9月16日

スタッフ・キャスト

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受賞歴

第10回 ゴールデングローブ賞(1953年)

受賞

最優秀主演男優賞(ドラマ) ゲイリー・クーパー
最優秀助演女優賞 ケティ・フラド
最優秀作曲賞 ディミトリ・ティオムキン

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀脚本賞 カール・フォアマン
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写真提供:アマナイメージズ

映画レビュー

4.0 真昼の決闘

2026年1月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

フレッド・ジンネマン監督再評価の気運が高まる中、昨晩、約25年振りに「真昼の決闘」をDVDで観直してみた。デジタルリマスター版の画質も申し分なく、しかもレナード・マーチン氏司会のメイキング映像付きで、生前のフレッド・ジンネマン監督のインタビュー映像等もシッカリと収められている永久保存版である。
まさにジンネマンならではのドキュメンタリー・タッチの魅力に満ち溢れた、当時としては、いや今観ても異色中の異色作であり、且つ映画史上に残る傑作ウエスタンである。
まずタイトルの渋いこと。字体も渋ければ、テックス・リッターの歌声も、ディミトリ・ティオムキン作曲の主題歌自体も今聞くと随分と渋い。しかも効果音もセリフも一切無く、ただ暗くて重い程静かなこのタイトル曲をバックに、復讐者が次々と荒野に集結していく様を淡々と描いていく。この導入部からしてもう「山河遥かなり('47)」や「暴力行為('49)」を想い起こさせるフレッド・ジンネマンならではのドキュメンタリータッチで、すっかり魅せられてしまった。
ところで余りにもリアルで、余りにも現実感溢れるこの映画のヒーローを、仮にゲーリー・クーパー以外の役者が演じていたら、絶対に映画の最後まで持ちこたえられなかったであろう。
所謂当時のハリウッド製の一般的な西部劇のヒーロー像から遠く掛け離れている上に、全編に渡るショットからは夢や希望や開拓者精神も一切見い出せず、唯ひたすら現実的で切羽詰った状況のみが描かれていく。「闘うのか?それとも去るのか?」或いは「協力するのか?それとも協力しないのか?」といった問い掛けに対する答えを、主人公のみならず登場する全ての人間が、上映時間とほぼ同時進行していく僅か80分強の現実時間の内(午前10:40から正午までの間)に迫られるのだ。刻一刻と正午に近づいていく時計の針の動きと共に、息苦しい程の緊張感と主人公の絶望感が加速度的に増幅していく。人々は皆、自宅か或いは教会等の屋内で、良心の呵責にさいなまれながら、じっと頭を垂れて時が訪れるのを待つ。晴天の真昼であるにもかかわらず屋外を行き交う人々の気配は無く、もはや完全に孤立無援となった絶望的なクーパーの顔を捉える俯瞰気味のクローズアップが一気にクレーン撮影によるトラックバックで町全体を見下ろす大俯瞰ショットに変化していく時、決定的にこの状況が表現されていて悲しくも美しい。
復讐者の到着とすれ違いで、この町を出て行こうとする過去の女(ケイティ・フラドー)とクーパーの新妻(グレース・ケリー)。黒い衣装を纏ったこの女と純白のドレスに身を包んだ新妻との対比。文字通り "真昼の決闘'' の開始を知らせる銃声が列車の座席まで轟いたまさにその瞬間、クーパー以外でこの町で唯一人屋外へ飛び出し、ドレスの裾をたくし上げて必死にクーパーの元へと駆け寄っていくケリー。その光景を凍りついたように列車の座席で身動きもせず、ただ走り行く列車の車窓から、横目で冷たく後を追うだけのフラドー。
絶対絶命のヒーローを救ったのは、結局この健気でか弱い結婚したばかりの新妻だった。初々しい程に若いデビューして間もないグレース・ケリーによる出番こそ決して多くは無いものの力強く存在感のある確かな演技が、この余りにも重苦しい絶望的な物語を最後の最後で救い出している。
後に、巨匠ハワード・ホークス監督が描いた痛快ウエスタンの傑作「リオ・ブラボー ('59)」を擁護する為に、「真昼の決闘」はよく引き合いに出されてはけなされて来たりもした。そして他のジンネマン監督作品をも含め、あたかも映画史から彼の名を永久に抹消しようとするかのようなあからさまな発言が数多く成されて来た事実もある。
確かに「真昼の決闘」と「リオ・ブラボー」とは、とても比較し易い。共に一保安官が数の上では遥かに優勢な悪人グループと対決するという一見似たような構図の映画だからだ。
しかしながら「リオ・ブラボー」では、絶望感などとは無縁な腕利きで愛嬌のあるジョン・ウェイン演じる主人公の保安官に、アル中の保安官補、脚の悪い年寄りの牢屋番、その上若いガンマンや女賭博師、酒場のバーテンまでもが皆協力していく。欠点だらけだが人間味溢れる連中が、一致団結して悪を撃退するという爽快感、アクションとユーモア、明るい銃声と歌声に貫かれたアメリカ映画ならではの夢と希望と開拓者精神に満ち溢れた上に、美しいテクニカラーで撮影された傑作ウエスタンなのだった。
「真昼の決闘」は、その冷徹なリアリズム故に、決して後味も良くなければ、見たくない人間の本性を見せつけられるようでもあり、気分も滅入ったりする。
しかしながら「真昼の決闘」は、オーストリアからアメリカへ渡った一映画監督が、ハリウッドで赤狩り時代の恐怖の中で描いた名作ウエスタンなのである。
赤狩りとは全く無縁なハワード・ホークス監督が描く世界とは本質的に異なるのだ。
我々は「リオ・ブラボー」を評価する為に「真昼の決闘」を否定するのではなく、共にアメリカ映画史上に残る名作ウエスタンとして、この異なる2つの映画を存分に楽しめばそれで良いのだ。

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ナオイリ

5.0 グレイス・ケリー。なんて美人なんだろう

2025年12月12日
PCから投稿
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KIDOLOHKEN

4.5 「ハーヴェイ、疲れていただけだ」

2025年4月11日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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komasa

4.0 痛快娯楽西部劇かと思いきや!?

2025年1月15日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD
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Duchamp