ベニスで恋して

劇場公開日:

解説

家族のために人生を捧げてきた主婦がベニスでの一人旅でときめく心を取り戻すロマンティック・コメディ。監督・脚本はシルヴィオ・ソルディーニ。撮影はルカ・ビガッツィ。出演はリーチャ・マリェッタ、「永遠の一日」のブルーノ・ガンツほか。2000年ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞9部門、シルヴァー・リボン賞5部門、ゴールデン・グローヴ賞2部門、ゴールデンCIAK賞受賞。

2000年製作/115分/イタリア・スイス合作
原題または英題:Pane e Tulipani
配給:ギャガ・コミュニケーションズ
劇場公開日:2000年12月23日

ストーリー

イタリアの地方都市ペスカーラに住む主婦ロザルパ(リーチャ・マリェッタ)は、家族とローマ旅行中にはぐれてしまい、ひょんなことからベニスに一人旅することに。そこで人生に絶望を感じている、親切なトラットリアの主人フェルナンド(ブルーノ・ガンツ)と出会う。彼の家に居候することになったロザルパは、独身時代の特技を生かして花屋での仕事を見つけ、隣人でアロマエステティシャンのグラツィア(マリーナ・マッシローニ)とも仲良くなる。それを知った夫は怒り心頭、ちょうど会社の面接で不採用にした男、コスタンティーノ(ジュゼッペ・バッティストン)に捜索を依頼。一方、ロザルバは自由を満喫し、フェルナンドに徐々に惹かれていく。しかしそこへコスタンティーノ、さらにおせっかいな義姉ケティ(ヴィタルバ・アンドレア)もやってきて、ロザルバのバカンスは終わった。彼女は家族の待つペスカーラへと帰郷するのだった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

5.0この映画のブルーノ・ガンツが一番好きだー!

2024年5月8日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

笑える

楽しい

幸せ

こういうブルーノ・ガンツが居るなんて。ガンツ演じるフェルナンドは少し悲しい部分と優しい部分を最初から持ち合わせていた。忽然と現れたイタリア人主婦を丁重に扱う。

ガンツのイタリア語は本当に素晴らしい。『狂えるオルランド』を年だから忘れてしまったと言いながら素敵に暗誦する。イタリア人もびっくりの語彙と表現と教養だ。アイスランド人設定というのもよかった。ロザルバのために用意した朝食がどーんとしたパンで、イタリア式朝食でなかったことに結構感動した。

ロザルバは典型的主婦で夫にも息子にも家庭にも日々の生活にも(こんなものなんだろう、人生、程度に)満足していた。ただ家族との旅行でテンパっていたのかドジで行き当たりばったりが引き金になって、いつの間にか怖いもの知らずのベニスを夢見る少女になっていた。そうしたら自分の中にあったものがドンドン出てきた:草花を育てるのが上手い、それをアピールして花屋に雇ってもらってお金を稼ぐ、アコーディオンを弾ける、人懐っこくて色んな人に出会って仲良くなれる。逆に言えばイタリアで生まれた女はよほどのことがない限り、結婚→主婦の選択しかなかった。ロザルバの父親はナポリの超有名なお城「カゼルタ宮殿」(「スター・ウォーズ」などの映画でも使われている!)の庭園の庭師でロザルバの植物知識&ガーデニング能力は父親から。アコーディオン演奏はおじいちゃんから教わった。

一方で、フェルナンドは自殺を考えていた。試みようともした。でもロザルバが現れてから変化が起きた。ロザルバは家族のもとに戻って良き母親として今までの生活を続けるタイプだ。それはわかっていた。そしてロザルバがくれた最後の花束、チューリップの花びらの最後のひとひらが落ちたところでフェルナンドは決心する。自分を死から引き上げ、生きる喜びをプレゼントしてくれたロザルバをこの手に戻さなくては!

花屋のオヤジから借りた車で仲間と共にアブルッツォに住むロザルバのもとへ!スーパーの駐車場で買い物袋を車に入れている所に花束持って現れたフェルナンド!ロザルバはびっくりしたけれど、行き当たりばったりが得意だから大丈夫。二人の息子はしっかりしている。旦那は・・・何も言えないでしょう。「配管工&私立探偵」の彼とエステティシャンの女性との出会いには涙と笑いがいっぱいだった。

原題「パンとチューリップ」がとても洒落ている。「フェルナンド🍞とロザルバ🌷」だね。あと音楽の入れ方が笑えて素敵!いろんな種類の音楽を楽しめます。イタリアが絡む映画の邦題にはとりあえずイタリア観光地名が入ることが多い。この映画もそうだ。細い道、小さい広場、沢山の階段付き橋に運河、木の杭など、確かにベニスの風景が押しつけがましくなく映されていた。でもやっぱりタイトルは「パンとチューリップ」がいいなあ。

おまけ
ブルーノ・ガンツはスイス国籍。父はドイツ系スイス人、母はイタリア人!ブルーノはヴェネチアやベルリンにも住んでいたが生まれも亡くなったのもスイスのチューリッヒ。知らなかった。DVDおまけの「監督インタビュー」で、監督がブルーノに会いにチューリッヒへ行きイタリア語があまりに上手で驚いたと言っていた。チューリッヒ❓️と思いちょっと調べたら色々わかった。ガンツはドイツ語、スイスドイツ語を話し、フランス語もイタリア語も流暢に話す。彼は映画俳優である前に舞台俳優だ。私が愛するイタリア人俳優トニ・セルヴィッロは舞台と映画の関係を「寝室を別にしている夫婦」と言った(2023年のイタリア映画祭にて)💕ガンツは映画「ハイジ」でおじいちゃん役を演じることに。その時の言葉:私はスイス人で、今ちょうど相応しい年齢だ。それでこの役を演じなかったら後悔したに決まっている。
おまけもあるからお家でのDVD鑑賞悪くない!

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talisman

4.0ブルーノ・ガンツ

2018年11月28日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

 ドジな主婦ロザルバ。トイレにイアリングを落としたことから、バスに乗り遅れ、ヒッチハイクであれやこれやとベニスまで。その晩で閉めてしまう宿屋、コックがいない料理店。そして、帰りの汽車に乗り遅れ、その料理店の初老のウェイター、フェルナンドが親切に彼女を泊めてくれる。家に残された旦那は旦那で浮気中だが、女房がいないと何かと面倒。そこで会社に面接に来た太ったマザコン男に探偵役を任せる。

 イタリア映画らしからぬ脱力系のコメディ。登場人物誰しもがドジだったり、ちょっと変わった人たち。ロザルバの見る夢さえもが脱力系なのだ。

 アコーディオンを弾くロザルバ。自殺しようとしていたフェルナンド。なんとなくカウリスマキ風の展開。にわか探偵コンスタンティーノは彼女の指名手配写真を貼りまくるという恐ろしい手段にまで訴えてくるが・・・結局は息子が麻薬をやっていると騙されて・・・

 途中までは良かったけど、家に帰るところの心理描写が弱い。ほんの旅行のつもりだったと思えばなんともないが、ラストに引っ張るためにはその辺りの展開が不可欠。でもブルーノ・ガンツの渋さに対して1ポイントアップ。チューリップを前にした映像はなかなか凄い。

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kossy