ヘッドライト

劇場公開日:

解説

監督は「禁断の木の実」のアンリ・ヴェルヌイユ、原作はセルジュ・グルッサールの“しがない人々”脚色は「禁じられた遊び」の原作者フランソワ・ボワイエ、撮影は「恋路(1951)」のルイ・パージュ、音楽はジョゼフ・コスマ。主演は「首輪のない犬」のジャン・ギャバン、「肉体の怒り」のフランソワーズ・アルヌール、「嵐の女」のダニ・カレール。

1956年製作/フランス
原題または英題:Des Gens Sans Importance
配給:新外映
劇場公開日:1956年10月5日

ストーリー

トラックの運転手ジャン・ヴィァール(ジャン・ギャバン)はボルドオに近い国道のそばにある“キャラバン”という運転手達の常宿の一室に疲れた身体を横たえる。だが彼の頭はさえきって思い出が次々にかすめて行く。--彼は丁度一年前のクリスマスの晩、この“キャラバン”にくたくたになって辿りついた。この前泊った時とは違う新しい女中クロチルド(フランソワーズ・アルヌール)がいた。二人はお互に心惹かれるようになり、その後この国道を通る度に、ジャンはクローに会い、二人の仲は益々深くなる。ジャンの家庭は、冷く陰気だった。下町の貧しいアパートへ幾日ぶりかで帰ってくる彼を迎えるものは冷い家庭だった。パリとボルドオ間を行く大型トラックの定期便を運転して、五十に手の届くまで働き通してきた鬱積した不満は、若いクローへの愛情となって燃え上る。ジャンは暗い家庭を振りすてて、新しい人生に踏み出そうと決心した時、些細のことから傭主と云い争い、職を失ってしまう。ジャンはクローへの連絡をぱったり絶った、クローは心配のあまり手紙で、身重になったと知らせる。それでも何の返事もない。パリに出てきたクローはジャンの失業を知り、妊娠を打明けずに立去り、ルピック街の連れ込み宿の女中となり、女将のすすめで、堕胎医のところへ行く。その不吉な日の翌日、ジャンは、自分の娘がクローの手紙を勝手に開封していたことを知って憤然として家を飛び出した。丁度その時、昔の同僚から新しい勤め口が見つかったという知らせがあり、ジャンはその夜のうちに、再びトラック運転手としてパリを離れることになった。よろこび勇んだ彼はルピック街の安宿からクローを連れ出し、トラックに乗せる。雨と風と濃霧に包まれた夜の国道を、幾時間も幾時間もトラックは走り続ける。途中クロチルドの容態が次第に悪化してきた。“キャラバン”まではまだ遠い。風雨はますます烈しく、見通しは利かなくなる。明方近く、トラックはやっと“キャラバン”に辿りつく。一年前のクリスマスの夜、初老のトラック運転手と二十の可憐な女中がめぐりあった“キャラバン”の前--だが、その時クローはもうこの世の人ではなかった。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

3.0誰も微笑みすらしない

2020年1月2日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル
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Cape God

4.0ヘッドライト:ラムをくれ 一杯飲んで眠りたい【洋画名言名セリフ】

2018年8月5日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

悲しい

興奮

幸せ

【ヘッドライト:おすすめポイント】
1.ジャン・ビヤール役ジャン・ギャバンの男っぽさが最高!!!
2.クロチルド・ブラシェ役フランソワーズ・アルヌールも素敵!!
3.1950年代のパリを白黒映像で堪能できるのもいいなぁ!

【ヘッドライト:名言名セリフ】
1.ジャン・ビヤール役ジャン・ギャバンの名言名セリフ
 →「ラムをくれ 一杯飲んで眠りたい」
 →「君は大きすぎて靴下に入らない」
 →「有り難いが隠居には早い」
 →「俺は出て行くべきだな」
2.クロチルド・ブラシェ役フランソワーズ・アルヌールの名言名セリフ
 →「イブの夜のこと 私にはいい思い出よ」
 →「楽しく散歩中に見えない?」
 →「何でも真に受けちゃダメ」
 →「止まらないんだ いいわ飛び降りて自殺する」
 →「10分間の休暇ぐらい許されるわ」
 →「愛じゃなくて”習慣”だわ」
 →「今日も”習慣”を交わす」
 →「悲しいくらいいい人ね」

【ヘッドライト:個人評価=★★★★】
★★★★★:今すぐ観るべき‥人生を生きる為の何かを教えてくれる貴重な映画
★★★★:早めに観るべき‥観る人だれにでも何かを与えてくれる大事な映画
★★★:まあ観ても良し‥観る人によっては全く意味を持たない普通の映画
★★:観なくても良し‥単に時間だけを浪費してしまう可能性が高い映画
★:観てはいけない‥観た後に非常に残念な気持ちを感じてしまう映画

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【喜伝会】会長

4.0今も昔も

2018年5月17日
iPhoneアプリから投稿

その瞬間はホンモノだった
現実とは違う本物
本音でぶつかり合いささやかな幸せを抱きしめて現実を生きることが本当の幸せなのでしょうがほんのすこし隙間ができると
その隙間を埋めてくれる何かがタイミングよく来てしまうと
運命とか定めとか言ってそちらの世界へ行ってしまう
どっちに転んだって最後にみんなが笑えることは無いと分かっていても

60年以上も前の作品とは思えないほどの美しさ
奇しくもジャン・ギャバンの誕生日は今日のこの日、5月17日
やっとこの頃海外の古い映画を楽しめるようになりました。

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カルヴェロ

4.5人生の無常

2018年5月10日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

泣ける

悲しい

単純

人生の労苦と悲哀にうちひしがれ、苦労の辛酸を嘗め尽くし、それを額に刻んで生きてきた役柄を演じさせたらジャン・ギャバンの右に出る者はいないのではないか。ふとした演技の瞬間にそれが何気なく、ごく自然に表れる。勿論、彼の演技はそれにとどまらず、他のどのような役を演じてもそれを見事にこなしてしまう。そこがジャン・ギャバンのすごいところだと思う。この作品では初老のトラック運転手として仕事をしてゆくうちに、また冷たく暗い家庭に生きていくことによって、鬱積した不満や苦悩から、今流に言へばブラックドライブインで、けなげに働くクロチルド ( フランソワーズ・アルヌール ) と恋仲になるのは必然な成り行きあったかもしれない。それでは何故クロはジャン ( ジャン・ギャバン ) に魅かれたか、思うにジャンの所作に人生の年輪を見て取ったからではないか。細かいストーリーは省く。クロがジャンに自分の妊娠を結果的に伝えられなかったことは、彼女の内向きなやさしい性格のためではなかったか。これらの事実はやがて悲劇的 結末へと収斂されてゆく。まだ充分な説明になっていないが、最後にジャンの相棒ピエロ ( ピエール・モンディ ) やジャンに再就職を斡旋した友人達がこの作品の脇を固めている。

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細谷久行