プレイス・イン・ザ・ハート

劇場公開日:1985年3月16日

解説

夫を殺された妻が家族を守るためにひたむきに闘う姿を描く。製作はアーレン・ドノヴァン、監督・脚本は「クレイマー、クレイマー」のロバート・ベントン、エグゼクティヴ・プロデューサーはマイケル・ハウスマン、撮影はネストール・アルメンドロス、編集はキャロル・リトルトン、音楽と作曲・編曲はジョン・カンダー、衣装はアン・ロス、プロダクション・デザイナーはジーン・キャラハンが担当。出演はサリー・フィールド、リンゼイ・クルーズなど。日本版字幕は戸田奈津子。カラー・ビスタサイズ。1984年作品。

1984年製作/アメリカ
原題または英題:Places in the Heart
配給:コロムビア映画
劇場公開日:1985年3月16日

あらすじ

1935年、テキサス州ワクサハチの朝。エドナ・スポルディング(サリー・フィールド)は、先ほど送り出した保安官の夫ロイス(レイ・ベイカー)が死体となって戻って来たのを知って、あまりのショックに口がきけなかった。銀行の預金残高は116ドル、借金3681ドル、とりあえず数カ月後に銀行に返さなければならない返済分が240ドル、エドナにできることといえば子供の世話と家事だけだ。美容院を経営している姉のマーガレット(リンゼイ・クルーズ)も親身に心配してくれるが、金銭面では無力だった。葬儀が済むと銀行は、この家を売り借金をゼロにして、子供を親戚に預けて働いたらと勧める。しかし、夫のにおいが染みたこの家と2人の子供フランク(ヤンクトン・ハットン)とポッサン(ジェニー・ジェームズ)なしに生きていくことはできない。数日後、流れ者の黒人モーゼス(ダニー・グローヴァー)がやってきて仕事をくれと申し出たが、断わった。その夜、保安官に連れられたモーゼスが再びエレナの家にやってきた。スポルディング家の銀器を盗んだので逮捕されたのだ。エレナはウソの口実でモーゼスを助けてやつた。その日から、彼は一家には欠かせぬ働き手として綿畑を耕した。同じ頃、銀行員は厄介払いするように眼の不自由な彼の弟ウイル(ジョン・マルコヴィッチ)を下宿人として押しつけてきた。エドナとモーゼスは綿作りに励んだ。一家を守るにはそれしか方法がないのだ。しかし、テキサス特有の大竜巻は小さな町の建物をあらかた破壊しスポルディング家にも甚大な被害をもたらした。姉の夫ウエイン(エド・ハリス)と親友の妻ビオラ(エイミー・マディガン)との情事も、この大竜巻によって終りを告げた。10月が近づき綿の収穫の時期になった。収穫一番のりに対する100ドルの賞金を得るために、エドナとモーゼスはもとより、フランク、ポッサム、マーガレットまで畑に出て綿つみに精出した。賞金がもらえなければ一家は離散してしまうのだ。盲目のウイルが料理を受けもった。皆、綿の木の針で指を刺され、曲げっきりの腰がのばせないほど働いた。出荷の日の朝が明けた。エドナが一番のりだった。綿つみの後のダンスパーティの夜、フランクは一人前の男として母エドナにダンスを申し込み、マーガレットも夫の情事を許す気になった。が、モーゼスはK・K・Kの一団に襲われて町を出ていくよう脅迫される。エドナに危害の及ぶことを恐れたモーゼスは、翌朝町を離れた。「あなたが最高の綿つみだってことを忘れないで」、モーゼスを送るエドナの言葉には愛する家族を失う悲しみが充ち充ちていた。(コロムビア映画配給*1時間51分)

全文を読む(ネタバレを含む場合あり)

スタッフ・キャスト

全てのスタッフ・キャストを見る

受賞歴

第57回 アカデミー賞(1985年)

受賞

主演女優賞 サリー・フィールド
脚本賞 ロバート・ベントン

ノミネート

作品賞  
監督賞 ロバート・ベントン
助演男優賞 ジョン・マルコビッチ
助演女優賞 リンゼイ・クローズ
衣装デザイン賞 アン・ロス

第42回 ゴールデングローブ賞(1985年)

受賞

最優秀主演女優賞(ドラマ) サリー・フィールド

ノミネート

最優秀作品賞(ドラマ)  
最優秀脚本賞 ロバート・ベントン
詳細情報を表示

関連ニュース

関連ニュースをもっと読む

映画レビュー

3.5 穏やかなラスト

2025年7月12日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

悲しい

怖い

 1935年、保安官の夫を亡くしたエドナは、幼い子どもたちと生活するために奮闘しなければならない。借金があり貯金も少なく、姉を頼ることもできない。そんな時、流れ者の黒人モーゼスが現れる。彼の知恵を借りて、エドナは綿畑を耕し始める。また盲目のウイルを、下宿人として同居させる。
 姉の夫の不倫や、竜巻の襲来、KKKなど、エピソードが多いものの、意外に絡みが少ない。ただ、いなくなった人たちも登場して迎えるラストが、穏やかで良かった。「ごめんなさい」「お前も大変だったな」という会話が聞こえてきそうです。
 竜巻が来たら、家が飛ばされないように窓を開ける。綿花の収穫は、トゲがあって大変。それぞれ知りませんでした。

コメントする (0件)
共感した! 0件)
sironabe

4.5 勇気と感動をもらいました。

2025年7月12日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

勇気そして感動をもらえるとても素敵なフューマンドラマでした。
人種にも障害者にも分け隔たりなく力強く生きる主人公のエドナの人柄がとても魅力的。演じているサリー・フィールドもとても魅力的。
唯一残念だったのは姉夫婦のサイドストーリーはいらない気がした(それがなかったら☆5個つけたかったんたけど)。

コメントする (0件)
共感した! 4件)
光陽

5.0 映画で初めて心を震わせた名作、マルコビッチが衝撃だった。

2025年5月15日
iPhoneアプリから投稿

映画で初めて心を震わせた名作、マルコビッチが衝撃だった。

コメントする (0件)
共感した! 1件)
JOHN DO

4.0 後が無い人間の覚悟

2024年11月18日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

 夫に先立たれた女性が、残された子供二人を育て、借金返済まで行わなければいけない絶望的な状況が胸に迫る。自分だったら相当に焦って自棄になりそうだ。今まで夫の役割だと考えていた仕事や厳しい教育を、本当にこれで良いのだろうかと自問自答しながら試行錯誤して行っていく。綿花で稼げると聞いて、銀行員に否定されながらも開始して、手を血まみれにしながら長時間綿を摘む。そんな彼女の姿に、もう後は無い人間の本気を感じさせられた。同時に、自分が絶望的な状況だと思っていても、生きていく手段は様々であり、自分次第で人生は切り開けるのだと励まされる思いがした。

 今作は女性、黒人、視覚障害者の共同生活を通じて、現代以上に社会的弱者だと考えられていた人々が、自分達なりに強く生きていくことをテーマにしているのだろう。立場の弱い人々が、それでも努力して現状を打開していく姿にはやはり感動する。

 『クレイマー・クレイマー』のロバート・ベントン監督らしく、素晴らしいヒューマンドラマだった。

コメントする (0件)
共感した! 3件)
根岸 圭一