ブラック・ライダー(1972)

劇場公開日:

解説

南北戦争直後のテキサスを舞台に、自由の天地を求めてやってきた黒人移住者が、白人の偏見や暴力と戦いながら目的を達するまでの物語。製作はジョエル・グリックマン、監督はこれが第1回作品となるシドニー・ポワチエ、アーネスト・キノイとドレイク・ウォーカーの原案をアーネスト・キノイが脚本化した。撮影はアレックス・フィリップス・ジュニア、音楽はベニー・カーター、編集はペンブローク・J・へリングが各々担当。出演はシドニー・ポワチエ、ハリー・ベラフォンテ、ルビー・ディー、キャメロン・ミッチェル、デニー・ミラーなど。

1972年製作/アメリカ
原題または英題:Buck and the Preacher
配給:コロムビア映画
劇場公開日:1972年6月28日

ストーリー

南北戦争が終わって間もなく、アメリカに新しい時代の夜明けが近づいている。しかし北軍の勝利によって奴隷制度は廃止されたものの、偏見は根づよく残り、南部を逃れて西部に渡る幌馬車の黒人たちの心を暗くしていた。そんな彼らの心の支えになったのは、黒人ガイドの元北軍騎兵隊軍曹バック(シドニー・ポワチエ)だった。黒人の移住者を目の仇にする白人は多く、中でもディシェイ(キャメロン・ミッチェル)に率いられる無法者たちの行動は目にあまった。今夜も、ルイジアナからきた幌馬車隊のテントが襲われ、リーダーが射殺された。そして、久しぶりに我が家に向かうバックを先回りして、彼の家でバックの帰りを待ちうけた。編み物をする妻ルース(ルビー・ディー)の表情がなぜかかたい。「逃げろ!」銃をかまえて飛び出すと、バックは妻に呼びかけた。銃弾の雨をかいくぐり、敵をけん制しながら、バックは追手をまいた。翌朝、疲れ果てたバックは砂漠の中で人影を見た。そっと忍びよると、自分の馬とひきかえに彼の馬を盗む。その男、ミシシッピーのルサフォード牧師(ハリー・ベラフォンテ)は、あっという間に遠ざかっていくバックの後ろ姿を見ながら地団駄を踏んだ。数日後、彼はディシェイ一味に追われているという幌馬車隊に同行していた。同じ頃、ルサフォードはやっとの思いで近くの町にたどりついた。彼がひいている馬を見た一味は、ルサフォードに、バックの居所を教えれば500ドルやるという話を持ちかけた。なまぐさ牧師のルサフォードにとって、こんなうまい話はまたとない。そのチャンスは意外に早くきた。フラリとまぎれこんだ幌馬車隊にバックがいたのだ。バックは、インディアン領の通行税を払うために隊を離れた。その後を追うルサフォード。やがて2人は奇妙な友情で結ばれる。その2人が隊に帰ると、悲しい知らせが待っていた。ディシェイ一味の襲撃で何人かが殺され、血と汗の結晶である1400ドルが盗まれのだ。2人は一味を追い、町の酒場まで追いつめた。バックの散弾銃が、ディシェイを壁にたたきつけた。金を取り返したものの500ドルそこそこしか残っていなかった。そして今度は2人が追われる番だった。距離はどんどん縮まったが、その時前方にインディアンが現われ、彼らのために退路を開くと、追手の前に立ちふさがった。しかしインディアンの力は借りられない。彼はルースを幌馬車隊に連絡に行かせると、ルサフォードと敵を迎えうったが多勢に無勢、傷ついたバックとルサフォードに最後の時が迫った。と、遠回しに見ていたインディアンたちが2人を援護した。ルースにひき連れられた黒人たちもかけつけ一味は逃走した。何日か後、幌馬車隊は目的地につきバック、ルース、ルサフォードは自由を求めて旅立った。

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スタッフ・キャスト

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映画レビュー

4.0『全力で闘い続けるのよ、それしか道はないの。』

2023年6月27日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

ラザフォード牧師の演技が奇抜で強烈で、彼が出てくるシーンだけは覚えていた。

なんだかんだで黒人開拓者側につく牧師は最後まで、闘った。

法的には解放されながらも、根強い奴隷意識が残っていた時代、

この映画は、危険があるとも新天地を目指した先祖たちを忘れるなという、

黒人へのメッセージなのだろうか。

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藤崎敬太

2.5厳しい旅

2022年8月7日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

シドニーポワチエ扮するバックは、解放された奴隷を西部へ送る案内人をしていたため命を狙われていた。しかし、バックもハリーベラフォンテ扮するラザフォード牧師の馬を盗んでいた。行きがかり上、ふたりは一緒に行動する事になった。

案内人の重要な仕事は先住民との通行料交渉だ。その上で追っ手がかかるは厳しい旅だね。

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重

4.0へえー

2019年9月28日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波

こういうお話もあったんだ。
まだアメリカで偏見と差別は実態として残っていた70年代。この映画は解放された黒人たちと、アメリカ原住民、虐げられた人たちが主役。いつも悪役や敵役にされがちな人たちが自分たちの生活を守るだけ。
シドニー・ポワチエの戦う姿勢に変わりがない。この姿勢に拍手したい。

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Bluetom2020

3.0ブラック・パイオニア

2018年7月9日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

興奮

南北戦争後、西部に新天地を求める黒人たち。
元北軍軍曹の案内人。
旅に同行する事になった牧師。

ジャンル的には西部劇ではあるが、言わば“ブラック・ウエスタン”。
話の中枢となる登場人物が皆、黒人。
白人が主人公で善玉、黒人が悪玉など粗末に扱われる事が多い西部劇に於いて、同じく敵役として描かれる事の多いインディアンとの関係も絡め、人種差別の偏見や暴力など現在にも通じる問題を浮き彫りにしている。
勿論、馬に乗って荒野を駆けたり、派手なガンファイトなど西部劇としての見せ場や醍醐味もそつなく。

黒人スターのパイオニア、シドニー・ポワチエの初監督作。
主演も兼任し、飄々とした牧師役で存在感を発揮するバリー・ベラフォンテとのやり取りはコミカルな要素を滲ませる。

本作のポワチエの真面目な役柄を見ていたら、後の黒人スターの代表格、デンゼル・ワシントンを思わずにいられない。いや、デンゼルがポワチエを彷彿させると言った方が正しい。
改めて、ハリウッドに於ける黒人俳優の偉大なパイオニアであると痛感。

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近大

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