パリのランデブー
劇場公開日:1995年11月23日
解説
ヌーヴェルヴァーグの映画手法をもっとも忠実に守りながら、70歳を越えてなおシンプルでみずみずしい作品を連発し続けるエリック・ロメールが3話構成のオムニバスで描く恋愛コメディ。前作「木と市長と文化会館 または七つの偶然」に続き、スタッフは、製作のフランソワーズ・エチュガレー、撮影のディアーヌ・バラティエ、録音のパスカル・リビエ、編集のメアリー・スティーブンがそれぞれ担当。出演は、人気モデルで映画出演は「アリア」のロバート・アルトマン編以来となるベネディクト・ロワイヤン、これが日本初公開作になるクララ・ベラール、演劇を勉強中の新人のオーロール・ロシェほか。三話のうち最後の挿話の題「母と子1907年」はパブロ・ピカソの絵画の題名から。
1994年製作/フランス
原題または英題:Les rendez-vous de Paris
配給:シネセゾン
劇場公開日:1995年11月23日
ストーリー
〈第一話:7時の約束〉法学部の学生エステル(クララ・ベラール)は試験を控えているが、恋人のオラス(アントワーヌ・バズレル)が自分に会わない日の7時ごろに喫茶店で別の女の子とデートしているという話を聞かされて勉強も手に付かない。朝、市場で買い物中のクララは見知らぬ男に愛を告白され、ふと思いついてオラスがデートしていたという例の喫茶店に夜7時に来るように言う。その直後彼女は財布がないのに気づき、さてはあの男にスラれたと思う。夕方、アリシー(ジュディット・シャンセル)という女の子が財布を拾って届けてくれた。彼女は7時に例の喫茶店で待ち合わせがあるというので、エステールも件のスリとの待ち合わせの話をして一緒にいく。予想どおり、アリシーのデートの相手はオラスだった。エステルは彼に愛想が尽きる。アリシーも事態を察して去ると、そのテーブルに朝の市場の青年が腰掛け、人を待つ風でビールを注文する。 〈第二話:パリのベンチ〉彼(セルジュ・レンコ)は郊外に住む文学教師、彼女(オロール・ローシェール)は同棲中の恋人が別にいるらしい。9月から11月にかけて、二人はパリの随所にある公園でデートを重ねる。彼は彼女を自宅に連れていきたいが、彼女は貴方の同居人がいやといって断る。彼女の恋人が親類の結婚式で留守にするとかで、彼女は観光客になったつもりでホテルに泊まろうと提案する。いざ目的のホテル前で、彼女は恋人が別の女とホテルに入るのを見る。別れるのは今がチャンスという彼に、彼女は恋人がいなければあなたなんて必要ないわ、と告げる。 〈第三話:母と子1907年〉ピカソ美術館の近くに住む画家(ミカエル・クラフト)を知人の知り合いのスウェーデン女(ヴェロニカ・ヨハンソン)が訪ねる。彼は彼女を美術館に連れていく。八時に会う約束をしてアトリエに帰るその途中、彼は若い女(ベネディクト・ロワイヤン)とすれ違い、彼女を追って美術館に入る。彼女は『母と子1907年』の前に座る。彼はスウェーデン女と合流し、その名画の前で例の女性にわざと聞こえるように絵の講釈を始める。彼女が席を立ち、彼はあわてて別れを告げて女を追って美術館を出て、道で声をかける。彼女は自分は新婚で夫は出版業者、今度出る画集の色を原画と比べに来たのだという。彼はめげず、彼女も興味を覚えて彼の絵を見にアトリエに行く。二人は絵画談義を交わし、結局何もないまま女は去る。画家はしばし絵筆を取って作品に手を加え、スウェーデン女性との待ち合わせの場所に行く。だが時間が過ぎても女は現れない。家に帰った画家は絵の中の人物を一人完成させ、「それでも今日一日まったく無駄ではなかった」と呟く。
スタッフ・キャスト
- 監督
- エリック・ロメール
- 脚本
- エリック・ロメール
- 製作
- フランソワーズ・エチュガレー
- 撮影
- ディアーヌ・バラティエ
- 録音
- パスカル・リビエ
- 編集
- メアリー・スティーブン
- 字幕
- 寺尾次郎